Overhaul


オーバーホール

 子供のころから機械いじりが好きでした。学生時代は単車のキャブレターをオーバーホールしたり、車のサスペンションを交換したりも自分でやっていました。社会人になってからは大学の電子工学科の研究室並の計器類が部屋にところせましと置かれていたくらいです。
 筆者にしてみればダイビング器材のオーバーホールなど朝飯前です。一部のメーカーのオーバーホール講習も受講しています。必要な専用工具も、いつの間にかに揃っています。唯一手に入らないのが交換パーツ(サービスキット)です。汎用部品は常備しているのですが、メーカー独自の専用パーツだけは入手できません。自分でオーバーホールするときは中途半端な作業になってしまいます。「命にかかわる器材を自分でオーバーホールして怖くないですか?」と聞かれることが多いです。命にかかわる器材だからこそ、自分でやりたいというのが本音です。日本でオーバーホール専門業者に依頼すれば、丁寧な仕事をしてくれます。海外だと雑な結果になると思っておいたほうが良いです。エアーを通して音を聞けば「あっ、これ、どこどこの部品を交換していない」というのがすぐにバレるような作業をしています。必須交換パーツを平気で交換しないで完了するくらいです。それなら筆者の作業とかわりありません。
 本題に入ります。普通の人は器材の内部など見たことがないと思います。かなり汚れています。セカンドステージをバラしてみたらわかります。こんなものを口にくわえていたのかと思うと気持ち悪くなります。1年に1回あるいは100本がオーバーホールのタイミングと言われています。100本くらい潜ると、内部はかなり汚れますし、バネ類の調整もずれてきます。全然使わない器材はオーバーホールしなくても良いのかと質問されます。シリコンやゴム類は経年劣化があります。使わなければパーツが吸着してしまい、いざ使うときに破損します。実は使っていない器材こそオーバーホールが必要です。1年以上放置していた器材をいきなり使うのは命にかかわります。数か月放置していた器材ですら、吸着している箇所がありますので、少し水浴びさせるなりの方法でやさしく取り扱ってあげましょう。
 高価な器材ほど確実にオーバーホールをしておかなければ性能が発揮できません。一般に高価な器材ほど部品点数が多く、複雑な構造になっています。少しでもずれるとエアー漏れの原因になります。逆に安い器材は単純なつくりゆえに多少雑にあつかっても平気です。筆者が持っている一番安いレギュレーターは、だいたいの感覚でバネをしめても正常値に入るくらいわかりやすく単純な動きをします。逆にテクニカルダイビングで使っているAPEKSの器材は1回ごとに丁寧に洗い、頻繁にオーバーホールに出すようにしています。5本同時なので、かなりの出費になります。
 オーバーホールをどこに依頼するかです。昔は月に2度ほど日本出張していたので、日本の専門業者に出していました。値段は高いのですが、信頼できるところを使っています。ベトナムはいまだに国内でオーバーホールできる信頼できる窓口がわかりません。これが今一番の課題です。

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