中性浮力の調整は肺でおこない、肺で対応できないときにBCDを使います。ダイビングの最初から終わりまで、すべて肺で対応できるならBCDは不要ということになります。実際、筆者はシングルタンクをラッシュガードで潜るときはBCDにエアーを入れることはありません。海面待機も肺を膨らませておけば浮いています。ときどきフィンキックをすれば沈むこともありません。このスキルを極めればBCDなしでのダイビングが可能になります。
BCDはハーネス、ブラダー、タンクアダプターのアッセンブリーに分解することができます。レクリエーショナルダイビング用のBCDはこれらが一体化しています。テクニカルダイビングではハーネスを自分の体型にあわせるところからはじまります。レンタル器材という概念は存在せず、みな自分専用のハーネスを持っています。これは自分の体型にあわせてタンクを固定する位置を決めるためです。タンクアダプターはシングルタンク用だったり、サイドマウント用だったり、タンクの数や形状によってあわせます。そしてブラダーが浮袋に相当します。ブラダーもタンクの本数にあわせて浮力にあったものを組み合わせます。
すべて肺だけで調整できるならばブラダーは不要です。ハーネスとタンクだけで潜ることができます。実際、BCDが発明される前のダイビングはハーネスとタンクだけで潜っていました。今でも海上保安庁の潜水士はハーネスだけで潜ります。筆者もたまに肺の訓練のためにハーネスだけで潜ることがあります。潜航前の適正ウェイトの調整を真剣におこないます。1-2kgなら肺で調整できるとはいえ、かなり緊張します。常に初心を忘れず、適正ウェイトや中性浮力がスキルの基本であることを再認識できます。