Navigation2


ナビゲーション(2)

 ナビゲーションの講習ではコンパスナビゲーションとナチュラルナビゲーションを学びます。筆者の教え方は少し違います。相対位置移動と絶対位置移動です。ナビゲーションとはある地点から別の地点へ移動することです。このふたつの位置関係を相対位置でとらえるのか、絶対位置でとらえるのかです。相対位置移動は方角と距離で移動します。コンパスを使った移動が相対位置移動です。移動を何度も繰り返すことでコースができあがります。相対位置での移動は誤差があった場合、誤差のずれが少しづつ積み重なりコース全体で考えると正しくゴールに到達できなくなります。なぜならば誤差を補正する方法がないからです。絶対位置移動は頭の中の地図の目印を基準に考えます。船上で島や地形を観察し、大まかな地図を頭に描きます。エントリーしたら自分が見たものを頭の中の地図に書き加えていきます。そして泳ぎにあわせて自分の軌跡を地図に書き込んでいきます。この軌跡を正確に記載できるようにします。そのためには水中で目に留まった景色と水深を次から次へと頭の中の地図に書き込んでいきます。特別なスキルのように思えますが、これは陸上を歩いて駅から家に帰るスキルとまったく同じです。水中では水深によって見え方が違うため脳が混乱します。それゆえに目標物を設定するときは水深が重要になるわけです。帰りは行きの途中で記憶した目印が役にたちます。たくさん記憶しておけば、途中で一つや二つ、通りすぎる、あるいは間違ったコースをとったとしても、わかっている目印を見つけてコースの補正ができます。何よりゴールは絶対に移動しませんので、ゴールの近くまで行けば水深をたよりにさがすことができます。
 自分の絶対位置、船の位置、浅瀬の方向(島の方向)を頭の中の地図に常に書き込んでおくのが絶対位置移動の必須スキルです。しかしながら水中で迷子になることもあります。迷子とは、どのような状態のことでしょうか? 船の位置や島の方向がわからなくなることと思いがちですが違います。自分の絶対位置がわからなくなることをいいます。なぜならば島や船は船上で確認したとき(エントリー前)から移動しておらず、絶対位置はかわっていないからです。浅瀬ならばいったん浮上して自分の位置を確認します。焦ってしまい船のある方角を確認しがちですが間違っています。360度見渡して、自分がどこにいるかを確認します。船の方角を確認しただけでは、ここからの移動がコンパスを使った相対位置移動になってしまいます。途中で浮上するのは恥ずかしいし、面倒くさいと感じます。海面に出ることで、水中地形(水中での位置)と海面で見える景色との対応表を作ることができます。決して、無駄な行為ではありません。頭の中の地図に再び自分の位置がプロットできたならばナビゲーションを再開します。浮上せずに迷子状態を脱出するにはどうしたら良いでしょうか? 知っている場所に戻るのが鉄則です。ユーターンし、今、来たルートを逆にたどります。わかる場所まで戻ります。心理的不安がでてきたら浅瀬(島側)に移動します。島側についたら、目標物(エクジットポイント)がある方向を目指して泳いでいきます。何度か潜ったことのあるポイントならば、知っている目標物が見つかります。いずれにせよ迷子になったときは自分の絶対位置、すなわち「今、自分がどこにいるか?」を知ることが解決の入口です。これは陸上で迷子になったときも同じです。
 ナビゲーションスキルは特別なものではなく、陸上での移動スキルと同じです。陸上で迷子になりやすい人は水中で何となくの感覚で進むため迷子になりやすいです。陸上でも頭の中に地図を描くのが得意な方は基本さえマスターすればナビゲーションスキルの上達が早いです。

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