FinKick


フィンワーク

 水泳が得意な方、スポーツ万能な方のほうがフィンワークの上達が遅く、エアーを消費する傾向にあります。フィンの役割は楽に水中を泳ぐことです。いかに力を使わずに泳ぐかがフィンワークの肝になります。ところが水泳が得意な方やスポーツ万能な方は力で海と戦おうとします。ダイビングはすべてにおいて力を使わずにおこなうのが基本的な考え方です。それゆえに力の弱い方やお年寄りでも楽しめる遊びです。そもそもダイビングはスポーツではなく、ただのレジャーです。
 前置きが長くなりました。フィンは力を使わずに泳ぐためのものです。その理論は水の塊をフィンでとらえて、押し出すことにより反対方向(前方)に進むことです。この塊の量が推進力となり、いかに効率よく逃がさずに押し出すかがポイントです。これはバタ足だろうが、煽り足だろうが、すべてのフィンキックの基本です。バイオフィンはちょっと構造が違うので、ここでは従来型のフィンで説明します。
 まずは中性浮力がとれていることです。中性浮力がとれていないと無駄なフィンキックが増えてしまい、正しいフィンワークを身につけることができません。中性浮力は多くのスキルの大前提として存在します。次に水中姿勢です。水平を保ちます。水平状態を作るには適正ウエイトが前提です。このようにフィンワークを学ぶ前に身につけておくスキルがいくつもあります。
 では、ダメな例からいきます。まず膝を曲げてフィンを水平に動かすだけのフィンキックです。通称自転車漕ぎです。フィンで水の塊をとらえていません。これではいくらフィンを動かしても前にすすみません。バタ足の基本は膝を曲げず、足の根本から脚全体を使い、まるで脚もフィンの一部であるかのごとく動かします。足首に力を入れてフィンだけが動いているのも悪い例です。力任せに泳ごうとすると水の塊がフィンから逃げていきます。足首も疲れます。靴擦れならぬフィン擦れの原因になります。
 何度も書きますが、フィンワークを学ぶ大前提は中性浮力がとれて、体が水平になっていることです。フィンキックは瞬発力を必要とする場合以外は、ゆっくりが基本です。ダイビングスキルはフィンワークに限らず、すべてがゆっくり力を入れずに動かします。フィンで水の塊をとらえることを意識してゆっくりと押し出します。体が前に進み、慣性の法則でいつまでも進み続けたら成功です。煽り足も同様です。両方のフィンの裏側で水をとらえて、土踏まずが大きくなった(フィン全体になった)イメージでうしろに押し出します。このとき、水が逃げないようフィンを傾けずに真っすぐうしろに押し出します。キックするというよりも押し出す感じです。
 フィンをバタバタさせるのは中性浮力がとれていない証拠です。立ち姿勢は論外です。実は中性浮力と姿勢が正しければ、フィンワークを身につけるのは難しくありません。うまく泳げないのは中性浮力と姿勢に原因があることがほとんどです。水の塊をとらえて押し出したときに、思ったほど進まないのはフィンより脚力が勝っているからです。逆に疲れてしまうのは脚力が負けています。器材の選び方のところで詳しく解説します。
 優雅なフィンワークは見ていてカッコいいです。筆者のテクニカルダイビングのインストラクターは70歳を超えるお爺ちゃんです。陸上だと「手をかしましょうか?」と言いたくなるのですが、水中だとあの重いジェットフィンを華麗にあつかい何一つ無駄のない動きをします。後光がさしています。あんな風に泳ぎたいとずっと思っています。

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