DCS


減圧症

 減圧症についておさらいします。減圧症は体内組織に吸収された窒素が肺から排出されることなく体内で気泡化することにより起こります。
 気泡化する原因はみっつあります。ひとつめは急激な圧力変化で体内組織に吸収されている窒素がいっきに排出されるケースです。処理できる量以上の窒素が排出された場合、これが体内に気泡として残ります。ふたつめは海面に戻るまでに気泡化することなく排出できる窒素量を超えた窒素を体内組織が吸収してしまったケースです。この限界値をM値といいます。M値を超えた場合でも適切な排出手順をとれば安全に海面に戻ることができます。M値を超えるダイビングを減圧潜水(テクニカルダイビングの一分野であり筆者の専門領域)といい、特別なトレーニングが必要になります。レジャーダイビングでは、この限界量以下でダイビングをします。みっつめは水中では常に体内組織に窒素が吸収されたり、排出されたりの動作が繰り返されています。このとき、ごくごく小さい気泡ができることがわかっています。これをマイクロバブルといいます。マイクロバブルは少量ならば、そのまま消えてしまったり、肺から排出されます。マイクロバブルが大量に発生すると気泡化します。
 気泡は体内でいったん発生すると消えることなく、これが体内組織を傷つけます。気泡を消すには加減圧チャンバーに入り治療を受ける必要があります。後遺症がのこると二度とダイビングのできない体になります。
 ダイビング人口からすると発症例が少ないため、多くのダイバーは他人事のように考えています。「ダイブコンピューターを持っていれば大丈夫です」という安易な教え方ではなく(後述しますが、これは間違っています)、現実を知っておくことは減圧症の自己防衛につながります。

最新の20件

2023-09-10 2023-08-13 2023-07-29 2023-07-01 2023-03-18 2022-12-22 2022-12-18 2022-11-10 2022-09-13 2022-08-10 2022-02-27 2022-01-03 2021-12-26 2021-07-12 2021-07-01 2021-06-30

今日の20件

  • counter: 127
  • today: 1
  • yesterday: 0
  • online: 1