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曇り止め

 マスクの曇り止めに関してはガイドやインストラクターでも間違った認識をしている人がいます。ここでは理論と正しい曇り止めの方法を説明します。
 マスクが曇る原因ですが、「鼻から息を吐くからダメだ」と注意されたことはありませんか? 安易にスキルのせいにするのではなく、もっと理論的に説明する必要があります。水中ではマスクの圧平衡をおこなうため、意識せずとも鼻から息が出たり、鼻にエアーが入っています。鼻から息が出ると体温と水温との温度差でマスクの内側に水滴ができるのは事実です。しかしこの水滴によりマスクが曇るか否かは別問題です。
 マスクが曇る原因はマスクの内側が撥水性になっているからです。マスクの曇り止めにシャンプーを使う方が多いです。あるいは船上でもシャンプーを用意しています。シャンプーに界面活性剤が含まれているためです。ここまでの理論を理解したうえでマスクの曇り止め作業を行う必要があります。シャンプーを使うのはマスクを洗ったり、磨いたりするためではありません。水ですすいだらせっかくの界面活性剤が水で流されてしまいます。原液のシャンプーを指先に一滴、米粒より少量でもかまいません。この一滴をマスクの内側に塗り付けます。薄い皮膜をつくります。塗ったあとは水で流さず、少し乾燥させて定着させます。エントリー前に流す必要はありません。界面活性剤を含む溶液はいろいろありますが、目に入っても害がないという理由でシャンプーとくにベビーシャンプーが愛用されます。市販の曇り止めも原理は同じです。
 マスクの内側が撥水性となってしまう原因です。一番の原因は油分です。新品のマスクはスカートのシリコンに付着した油分が染み出てきます。新品のマスクを買ったら歯ブラシと歯磨き粉を使いマスクの内側とスカートを良く洗います。ポイントはガラス目ではなく、スカートのシリコン部分です。2,3度洗ったら、次はBCDにぶら下げるなどの方法で数回海中に持っていけば完全に油分がとれます。
 船上ではサンオイルや日焼け止めクリームが大敵です。日焼け止めクリームを塗ったゲストがそのままの手で手すりを掴むとべっとりと油がつきます。その手すりに触った手でマスクを持つと、スカート部分に油がついてしまいます。日焼け止めの使用は個人の自由ですが、日焼け止めをあちこちに塗り付けるのはダイビングボードでは厳禁です。トーチやカメラのオーリングにグリスを塗った手をそのままにするのも危険です。筆者はグリスを塗るときは小指を使うことにしています。人差し指や中指だと何かの拍子に他のものを触ってしまう危険性があるからです。
 つばをマスクの内側にはきつけたり、マスクを海水で洗ったりするのは油分を落とすことには有効かもしれませんが、曇り止めという目的からすると不充分であることに気づかれることでしょう。正しい方法で曇り止めをおこなえば、少々鼻から息を出したくらいではマスクは曇らなくなります。

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