ミケーリエ †
- 身長は170cmを超える程度、肩幅は広くないためガッシリとは見えないが、良く見れば
細く引き締まった筋肉質の体つきは、猫科の獣のしなやかさと俊敏さを思わせる拳闘士
らしいもの。一撃よりも手数で攻めることを主体とする彼女の流儀をよく物語っている。
- タレ目。髪はブロンド。ロングヘアーを2本のポニーテールにまとめている。
ナイトメアの平常時でも残る微妙な角は、己がナイトメアと知られることを極力避ける為に
ヘアバンド状のもの(幅が広く、上部は硬い皮素材で覆ったもの)でしっかりと留め隠して
いる。寝るとき意外は常に完全武装であるのは、彼女の過去が深く関わっている。
- 普段から鎧に外套、祭りのときででもない限りそのまま、身分は傭兵。そのが常の彼女。
目立つ服は避けるが、嫌いではない。舞台衣装等は見慣れているので、センスが無い訳
でもない。ただ普通にし、目立たないようにしている。
- 性格
- 基本的に明るくおしゃべりで温厚。人当たりは悪くない。でも身内以外には案外とパーソ
ナルエリアを遮る壁は厚い。後天的に培われてしまったものとはいえ、現実的で些細な
ことを気にかける性質は、本当に信用していない者に対して融通がききずらく、口うるさ
い対応をしてしまうことがある。
- 放浪するにいたるまで
- 冒険者の宿というシステムとは別の、辺境の一地方の傭兵派遣業を営むエルフの両親の元に生まれる。
不幸にもナイトメアとして生まれついてしまうも、両親のその地域でのカオと愛情の庇護の下、何不自由す
ることなく、まして迫害など受けることなく育つ。
――が、当時その傭兵団の腹心を勤めていたプリースト(人間)の陰謀によって、両親はあらぬ疑いをか
けられ、一家はその地域を離れなければならない事態に追い込まれた。そしてその後もその腹心は徹底し
てこの一家を追い詰め、ついには旅先で家族は散り散りにされてしまう。
家族の生死も分からぬまま、生まれて初めてほんとうにたった一人で生きてゆかねばならず、そして自分
が穢れある存在として世間から扱われることに直面した彼女が、心身ともに打ちのめされてゆくことになる
のにそう時間はかからなかった。
彼女の世界は一変した。
今までの美しくやさしい世界は崩れ去り、世界は醜さと悪意で塗り固められた。
己が身も世も恨み、その精神が悪鬼魔道に魅せられて、深い闇へとすべり込落ちようとした堕そのとき
運命のいたずらか一人の舞踏家と出会うことにより、また彼女の世界は変貌を遂げた。
その人は男であるのに美しかった。舞台にないときの彼の容姿はそう秀でたものではなかったが、その
踊りは卓越し、美しく、そして見るものの心を捉えて放さなかった。追い詰められ疲弊しきった彼女をすくい
同時に生きることを教える彼の心と、その踊りに触れることで、ミケーリエは、世界が決して汚いものだけで
できていないのだと思い出し、また新たに知ることができた。
そして月日は流れ彼女は癒されていった。
そして最後に生き残る術をもその舞踏家から教わった。彼は、その実類稀な拳闘士でもあったのだった。
彼は自らのことを多くは語ることはなかったが、たまに酔ったときなどに話してくれた。
今の自分があるのは拳闘士として明け暮れたそのときが在ってこそ、と誇らしく語る彼の言葉。それらの
逸話を聞くとき、ミケーリエは、その彼の見てきた景色を見てみたいと強く感じた
ミケーリエは彼の言葉と、その生き様を信じた。そして彼女は拳闘士となった。
彼女がひとりの拳闘士としてさまになり、なんとか世間に慣れ親しんだ頃、彼は突然目の前からいな
くなった。彼女の家族の消息を記した手紙を残して。
彼女はこの別れに涙することは無かった。なぜか、なんとなくこうなることが分かっていたからだ。
そして彼女は旅立つ。彼の見た景色を探す旅へ。そしてまた、家族と再会するために。
なに、時間なら沢山ある。センセイも"それだけはかなわない"と笑って言っていた。
――ミケーリエは流れてゆく、ゆっくりと、さがしものを見つけるために。