主人の供をして吉原に来た奴が主人を見失い、当惑する姿を踊にしたもので、軽快ではなやかな曲。歌詞のなかに「成駒(芝翫?の屋号)やっとこよいやさ」とあるように芝翫の当たり芸の一つで、《芝翫奴?》ともよばれ、奴もの?の代表。二上りのもつはなやかさを十分に発揮している。クドキ?や六法?など変化に富んだ曲であるが、一番の見どころ、聞きどころは、奴の足拍子の部分で、三味線一挺と小鼓とでいろいろな足拍子をあらわす。三味線の旋律もおもしろいし、(囃子の作詞もすばらしい ?)。
『邦楽百科事典』(音楽之友社刊)