越後獅子


演目

基礎データ

  • 読み:ちごじ
  • 別名:角兵衛獅子?
    • 読み:?くべえじし
  • ジャンル:長唄?歌舞伎舞踊?
  • 本名題:遅桜手爾葉七字?
    • 読み:?そざくらてにはのななもじ
  • 成立:文化8(1811)?年3月
  • 初演:江戸中村座?
    • 三代目中村歌右衛門?による七変化?の一齣
  • 調子:三下り?
  • 作者:篠田金次?
  • 作曲:九代目杵屋六左衛門?
  • 振付:市山七十郎?
  • 譜本:三味線文化譜?研精会譜?

内容

概要

越後から米搗きという言葉があるように、江戸時代から越後(新潟県)は江戸の労働力供給地であり、とくに冬期の季節労務者は、越後出身が圧倒的に多かったといわれる。 雪国の長い冬、子どもといえども遊んではいられず、角兵衛獅子として曲芸を身につけ、諸国の街角を舞台に稼がされていた。その角兵衛獅子の風俗を舞踊化した作品。

設定

  • 大道具?:江戸の街屋、越後屋?前の町並み、日本橋?の前といった設定がある。
  • 扮装?:浅黄色の石持?の着付に、納戸色の帯を男結び、茶色地に黄八丈の裁付?、赤のあぶらや前垂?、黒足袋に赤の手甲・襷。髪は、すっぽりの袋付き髷、獅子頭をかぶり、前に太鼓をつけ、一本歯下駄をはき(麻裏草履の場合も多い)、手に太鼓の撥をもって出る。

囃子

  • 通り神楽?で幕開き
  • 締太鼓のオロシ?に続いて、短い前弾きから~\打つや太鼓の〜となる
  • \何たら愚痴だえ から太鼓地?

  • \見渡せば/\、西も東も花の顔 「サラシ?

詞章

\打つや太鼓の音も澄みわたり、角兵衛/\と招かれて、居ながら見する石橋の、浮世を渡る風雅もの、唄うも舞うも囃すのも、ひとり旅寝の草枕、おらが女房をほめるじゃないが、飯もたいたり水仕事、麻よるたびの楽しみを、ひとり笑みして来たりける。

\越路潟、お国名物はさま/\あれど、田舎訛りのかたこと交り、しらうさ(ししうた)になる言の葉を、雁の便りに届けてほしや、小千谷縮のどこやらが、見え透く国のならいにや、縁を結べば兄やさん、兄じゃないもの夫じゃもの。

\来るか/\と浜へ出て、見ればの、ほいの、浜の松風、おとや増さるさ、やとかけの、ほい松風とな。

\すいた水仙、すかれた柳のほいの、心石竹気はや紅葉サ、やとかけの、ほい、まつかとな。

\辛苦甚句もおけさぶし。

\なんたらぐちだえ、牡丹は持たねど越後の獅子は、おのが姿を花と見て、庭に咲いたりさかせたり、そこのおけさに異なこといわれ、ねまりねまらず待ち明かす、ござれ話しましょうぞ、こん小松の蔭で、松の葉のよに、こんこまやかに/\、弾いて唄うや獅子の曲。

\むかい小山の紫竹だけ、いたふしそろえて、きりをこまかに十七が、室の小口に昼寝して、花の盛るを夢に見て候。

\見渡せば/\、西も東も花の顔、いずれ賑おう人の山/\。

\打ち寄する/\、女波男波の絶え間なく、さか巻く水の面白や/\、さらす細布、手にくる/\と、いざや帰らんおのが住み家へ。

MEMO

  • 文化8年3月、ライバルの三代目坂東三津五郎?が市村座で「七枚続花姿絵?」という「願人坊主?」の七変化を踊って、大当たりしていたのに対抗した三代目中村歌右衛門?が踊った、七変化舞踊「遅桜手爾葉七字?」の中の一つ。
  • 一夜のうちに作られた曲とされる。
    • 歌詞と曲調は、地唄の「越後獅子」と「さらし」から採用したもの。
    • 上方から輸入して、江戸風に移したところに特色がある。
  • \そこのおけさに異なこといわれ〜の部分が、オペラ「蝶々夫人?」に使われている。

資料

音源

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活字

参考サイト

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