平衡の条件から温度や化学ポテンシャルや圧力の定義ができました。 平衡状態ではあらゆる場所の温度、拡散的な系ではさらに化学ポテンシャルが 等しくその時に状態数が最大であること分かりました。
それでは実際に理想気体では化学ポテンシャルやエネルギー等がどう表されるのか見てみましょう。
理想気体の化学ポテンシャルは原子の総数 N から決めることができます。
いま、L の長さをもつ立方体の中にあるスピンゼロの自由粒子を考えます。 並進運動をするスピンがゼロの自由粒子の量子数 n と n+dn の間にある軌道の数は
なので、古典分布*1を仮定すると
エネルギーは
これを上の積分に代入すると
よって絶対活力は次式のようなシンプルな表現になります。
量子体積 VQ は粒子のドブロイ波長程度の体積なので 絶対活力は粒子が空間をどれくらい占めているかを表しているようです。
化学ポテンシャルは
理想気体の温度と全エネルギーの関係は
で、前と同様に計算できますが分配関数から求めるほうが見通しがよいかもしれません。
これより全エネルギーは非常にシンプルな形で表されます。
並進運動の1自由度のエネルギーが 1/2τ だからその自由度(3)倍になっています。
化学ポテンシャルの定義は次式です。
これを U,V を一定にして積分すると
となります。理想気体のエントロピーと体積の関係を考察する の式と非常に似通っています。
圧力の定義式は次式です。
これにエントロピーを代入すると
となり、状態方程式が得られます。
ここで初めて統計力学と高校で習った気体の運動論から導かれた圧力が一致しました。
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