それでは二つの系を熱的に接触させた時どの様に非平衡から平衡に移るのでしょうか? 熱的に接触しているという意味は二つの系が壁を通してエネルギーのやり取りができるけれど粒子は行き来ができない状態をいいます。
平衡な状態になるのは正味の熱エネルギーδQの移動が0になる時です。
それではどういう条件の時移動が0になるのでしょうか?
もちろん二つの系の温度が等しくなる時です。
なぜなら温度はそのように定義されているからです。
一番大きな状態数が取れるような状態になるまで熱交換をする。もう微小の熱交換をしてもこれ以上は状態数が増えない状態が平衡な状態です。
今複合系の縮退関数g(N,U)は
で、U2=U-U1です。
今、この和の中の最も多い状態数 最も現れる状態 だけを考えます。
系の性質がこれで代表されるのでこれだけ考えればよかろうという立場に立ちます。
今微小の熱エネルギー移動に対してgが最大値を取るには微分がゼロでなければなりません。
g1g2で両辺を割ると結局このように書けます。
log g はエントロピーですからこれをσとします。これが実は温度τの定義なのです。
この式を見ると、エントロピーの増分は温度τに反比例しているので、温度τが高くなるに連れて内部エネルギーUをdUだけ変化させてもdσの伸びが鈍ってきます。
つまり、高温の時は熱を抜いても低温時に比べてエントロピーは減少しづらく、
低温の時は熱を加えると高温時に比べてエントロピーが増加しやすいのです。
よって、熱が高温から低温へ移動した方がエントロピーが大きくなります。
最大エントロピーは温度が等しいときに達成されることになります。
地球は高温(Th)の太陽からエネルギー(Q)をもらい、姿を変えながら最終的には低温(Tl)の宇宙にそれと同じだけのエネルギーを捨てています。(そうしないと火の玉になる。)
太陽からエントロピーQ/Th が流れこみ、宇宙にQ/Tl を捨てています。
流れ込むエントロピーよりも捨て去るエントロピーの方が大きく、
その差分、Q(1/Tl -1/Th) のエントロピーを使うことができます。
それを気象現象や生物が消費しています。
これが環境をエネルギーだけで考えてはいけない理由です。
ここでの結論は
温度は熱エネルギーを相手に与える能力の指標である
熱的に接触している2つの系の温度が等しい時, 平衡である。
です。 しかし、これが温度といわれてもピンときません。 具体例を理想気体の場合について見てみましょう。
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