主量子数のイメージを掴む


量子力学超入門


普通我々が観測する電子やイオンは何かに閉じ込められています。例えば電子では原子や分子に,もしくはプラズマチェンバー(容器)といった具合です。

閉じ込められた空間の形もしくはポテンシャルの形によって波動関数は変化しますが、曲がり具合が大きければ運動量は大きく,値の2乗が存在確率を表す事に変わりはありません。

ここでわかる事は

  • エネルギーが飛び飛びの値しか取れない事
  • 主量子数の意味

です。

弦モデル

波動関数のおおまかな性質を知るにはこの弦モデルが便利です。有機物の中には長い鎖状の分子が存在し,自由電子(原子にトラップされずに分子全体に移動できる非局所電子)がその中を動くような場合に相当します。

一番緩やかな軌道が一番安定しています。緩やか度を基準にすれば波長が半整数倍ずつ増えていきます。

quantum02_02.png

もっともなだらかな基底状態は波長 λが L/2 の時です。次の準位は波長が L ですが、符号が反転している場所が一つあります。このような場所をとよんでいます。

電子の運動エネルギーはドブロイの関係を用いて節の数をkとすると

quantum02_03.png

節の数 k に1を足した値を主量子数 n と呼びます。粒子のおおよそのエネルギーは主量子数でわかります。 また、曲がり具合が重要なのですからエネルギーは閉じ込められた空間の長さ L の2乗に反比例します。

節は面白い場所です。まず節では粒子が存在しません。 符号の反転はe^(iωt) で振動している波動関数にかかる振幅が反転していることを意味しているので振動の位相がπだけそこでずれます。(cosωt と -cosωt の位相のずれはπ。)

準位間のエネルギー差が光のエネルギーに等しい時、光が吸収される可能性があります。地球が色にあふれている一つの理由に長くつらなる有機物の長さが可視光の光のエネルギーにマッチしているからなのです。

直交性

今,波長が n/2L, と m/2L の二つの波の重なり具合を見てみましょう。

quantum02_04.png

この積分は n=m 時以外、値は0です。また n=m のときは1になるようにAが規格化されています。 この時、それぞれの軌道は他の軌道の重ねあわせで作る事ができません。例えば,n の軌道を n 以外の1,2,.....の線形和で作れたとします。

quantum02_05.png

しかし、重なり具合を見ると完全にゼロです。

quantum02_06.png

よってこれらの軌道はお互いに根本的に違う軌道です。根本的に違う軌道が軌道として認められます。パウリの排他則は根本的に違う軌道の中に入れる同じ状態の電子はひとつであるという規則です。

直交している事を視覚的に見てみましょう。上図の左側の二つの波動関数を単純にプラス領域とマイナス領域に分けてかけると下図のようにプラスとマイナスの領域が半分ずつになり全領域で積分するとゼロになります。

quantum02_08.png

水素原子の例から方位量子数、磁気量子数のイメージを掴む

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