熱的な接触だけでなく粒子を互いに交換できる接触を拡散的な接触をしているといいます。
この時、平衡条件に温度の他にもう一つ化学ポテンシャルμが足されることになります。
粒子の交換と熱エネルギーの交換に対して複合系の縮退関数が最大値を取る条件を入れると、前の式に
Nの微分項が足されるので、以下の式に見られるように
もう一つ平衡の条件が加わります。化学ポテンシャルは次式で定義されます。
二つの系を接触させた時、熱エネルギーが高温から低温へ流れるように粒子は化学ポテンシャルが高い方から低い方へ流れます。
粒子を拡散させる能力の指標が化学ポテンシャル
といったところでしょうか。
半導体のP型とN型を接触をさせると電子とホールが濃度差によって自然に拡散します。電子が移動すれば移動された方はプラスに移動した方にはマイナスの電場ができるのでポテンシャル差ができます。拡散と電場で釣り合う時が平衡な状態です。この時、両方の系の化学ポテンシャルが一致します。
一般に濃度が高い方から低い方へ移動します。
しかし、上の例のようにポテンシャルを考えないとどちらに移動するかはわかりません。
一般的に化学ポテンシャルは濃度とポテンシャルの和になっています。
高度が上がると大気圧が減少するのは次の理由によります。
化学ポテンシャルは重力によるポテンシャルと濃度によるポテンシャルの和で定義されます。
平衡状態では化学ポテンシャルがいたるところで一定でなくてはいけません。
高いと重力ポテンシャルは大きくなるのでその分濃度が低くなければなりません。
力学的には濃度拡散を重力が押さえ込んでいます。
拡散的な接触をしている2つの系では温度と化学ポテンシャルが等しい時平衡である。
二つの系が自由に動ける壁で仕切られていて、V1+V2=V をいつも保っている時、この系は機械的に接触しています。 今までと同様にエントロピーが最大になるところで壁は止まります。
なので、圧力が同じであることが平衡の条件となります。
圧力は単位面積当たりにかかる力ですが、このような側面があるとは驚きです。
これが圧力であることは理想気体のところででてきます。
エントロピーを微分すると
上記の定義より
変形すると
が得られます。
δQ=τdσ とおくとこの式はエネルギー保存則のようにみえますが、δQ=τdσ が成立する可逆の時にしか成立しません。
化学ポテンシャルは粒子を加える時に必要なエネルギーとなっています。
エネルギー保存則は
です。
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