輸送されたエネルギーが負荷では消費しきれなくて反射します。反射波のポインティングベクトルの向きは当然入射波とは反対向きです。そのためには電場か磁場のどちらか一方だけ反転しなければなりません。よって電圧か電流のどちらか一方だけが反転しているはずです。*1
さらに、電磁波の電圧、電流の比は電場で運ぶエネルギーと磁場で運ぶエネルギーは等しいので同軸線の特性インピーダンスでなければならないので
入射波と反射波との間には
が、成立します。
それと、パワーバランスの式
より、反射係数は
となります。
この式より反射波は負荷 Rl が Z0より小さい時は電場の向きが反転し、Z0 より大きい時は磁場が反転することがわかります。
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Rl が Z0 より大きい場合スイッチをいれてから定常に落ち着くまでの様子を見てみましょう。 まず、電源は身近の抵抗 (Rs + Z0) を感じるのでケーフルの両端には Vb = V0Z0/(Rs+Z0)の電圧、V0/(Rs+Z0)の電流が流れます。
何回か電磁波が往復すると特性インピーダンスとは無関係の電圧 V0*Rl/(Rs+Rl)、電流 V0/(Rs+Rl) に落ち着くはずです。
さて、最初の電磁波が負荷に届くと反射係数 rl = (Rl-Z0)/(Rl+Z0) で電磁波が反射し電源に向かって進んでいきます。
定電圧源に到達すると(定電圧源の内部抵抗をのぞいた真の両端の電圧は V0) その電圧を V0 に保たなければならないのですから、反射係数が -1 の反射波、つまり定電圧源を負荷と見ると抵抗がゼロのように振る舞います。よって、電源側では等価的に負荷 Rs で繋がれているとしてよいのです。
電源に到達した反射波は反射係数 rs = (Rs-Z0)/(Rs+Z0) で反射します。これが負荷側に向かって進んでいきます。
反射係数は1より小さいのでこれらの反射波を無限に足し合わせると収束して電圧 V0*Rl/(Rs+Rl)に落ち着きます。(電源が一番最初に出した電圧 V0Z0/(Rs+Z0) の電磁波を常に出し続けていることに注意)
反射率をそれぞれ次式のように定義し、片道時間をT0とすると
#ref(): File not found: "Co10_05.png" at page "より一般的な場合の反射"
T0 時間では負荷での反射波の電圧はrl*Vbaseで、2T0後に今度は電源で反射してその電圧は rs*rl*Vbaseです。Vbase は長いのでVbとすると
Time | Voltage at Input | Voltage at Load |
0≦t<T0 | Vb | 0 |
T0≦t<2T0 | Vb | Vb+rl Vb |
2T0≦t<3T0 | Vb+rlVb+rs rlVb | Vb+rlVb |
3T0≦t<4T0 | Vb+rlVb+rsrlVb | Vb+rlVb+rsrlVb+rl rsrlVb |
4T0≦t<5T0 | Vb+rlVb+rsrlVb+rlrsrlVb+rs rlrsrlVb | Vb+rlVb+rsrlVb+rlrsrlVb |
5T0≦t<6T0 | Vb+rlVb+rsrlVb+rlrsrlVb+rsrlrsrlVb | Vb+rlVb+rsrlVb+rlrsrlVb+ rsrlrsrlVb+rl rsrlrsrlVb |
このように反射波が足されていきます。青字が入射波で赤字が反射波です。
結局負荷での電圧はすべての電磁波の和をとると負荷にかかる電圧は
#ref(): File not found: "Co10_07.png" at page "より一般的な場合の反射"
です。
このように電磁波を足し合わせると定常な状態に落ち着き、ケーブルの特性インピーダンスがあらわれなくなります。
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