Makky の日記 / 2006-09-18


Makky の日記

成長株投資に対する疑問(その2)

今日の日記は、一昨日の続きです。

勉強の進んでいる人ほど痛感することだと思うのだが、妥当株価を求める公式の要素の一つ一つが不確実なものであり、確かな結果・・そもそもそういったものはないのかもしれないが・・を求めようというのは、とても無理な相談というものだ。

割安でありながらも、一応は成長株投資なのだから、その企業の成長性に価値を見い出すことになるのだろうが、その場合、価値の見積の精度が絶望的に低くなってしまうことは、火を見るより明らかだ。

たとえば、成長性に価値を見い出す前提として、"ROIC > WACC" なことが挙げられる。この考え方は、企業価値評価の本(「バリュー投資入門」でも出ているが)などで紹介され、もてはやされているのだが、要は、コスト以上に利益を上げろということなので当たり前のことを言っているに過ぎない。ROIC は、果たして不変なものなのか、正確なWACC の値を求めることなど、果たして可能なのか、突っ込みどころ満載である。

#もちろん、企業が株主のためにその価値を高めるべく、ROIC > WACC な事業を展開する努力をする指針となるという意味では、もてはやされるべきだろうが。

その不確実性をうめるべく、様々な工夫が試みられるのだが、屋上屋を重ねた感が否めない。公式というのは、あくまで、結果の妥当性を確かめるためのツール・・ないよりは多少はましな・・に過ぎないのだという認識が必要だろう。もちろん、財務は重要だし、優れた事業を営んでいるかどうかを確認するためにも、また、優れている可能性のある企業を搾り込むのにも財務諸表の数字は役立ってくれる。しかし、財務諸表に並んでいるのは、所詮数字に過ぎないのだ。

数字を追いかけることに熱狂する前に、まず、見るべきなのは事業そのものなのではないだろうか。事業の強みは何で、それは簡単に陳腐化するものなのかどうか。そういう検討をふまえた上で、優れた事業なのかどうかをまず判断し、その後、財務諸表に現れた数字によって、財務の安全性や、収益力の強さ、価値を評価するというプロセスを経なければ、ただの数字オタクに陥るだけで、時間の浪費になりかねない。

そういうプロセスを経た上で選び抜かれた投資対象であったとしても、割安株投資よろしく、「その企業のオーナーにとっての価値よりもずっと低い価値、つまり割安価格で買ったときのみ、平均して満足のいく収益を得られる」のだ(「賢明なる投資家」7章より引用)と、心して当たるのが、割安成長株投資なのではないかと思う。

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