Balance Sheet Investing
本当の値段を知る手掛かり †
しかし，疑り深い私は，それでも落とし穴があるのではないかと考えてしまいます。
本当の値段はどうやって知ればいいのでしょうか。デタラメな値段と価格を比較して取引をしても，大した結果は出ないでしょう。もしかしたら，ひどい損失を被るかもしれません。
だからといって，何もせずに手をこまねいているのでしょうか。それも，一つの手でしょう。株式投資などせずに，ひたすら働いていたらいいのかもしれません。自信を持てないのなら，そうしたらいいでしょう。
でも，本当の値段そのものは知ることができなくても，それに近いものは全くわからないのでしょうか。あきらめるのは，それを検討してからでも遅くはないでしょう。検討するのに，お金はかかりませんから。検討するのも面倒なら，ここで，はい，さよならです。
あきらめの悪いあなた，こんにちは。では検討を始めましょうか。どうやら，本当の値段を知る手がかりは，大別すると２つありそうです。そのうちの１つ，又は２つを選択，あるいは何も選択しないことが考えられます。
もう，おわかりかもしれませんが，手がかりのうちの１つは資産，もう１つは収益です。もしも，分からなかったとしても問題ないですよ。今，知ったんだから，知っていた人との差は，もうありません。もう一度，言いますね。
本当の値段を知る手掛かり・・・
1.資産
2.収益
収益から考える †
まず，収益から本当の値段を知ることについて考えてみましょう。
収益から本当の値段を知るための計算式というのは，単純化すれば次のとおりでしょう。
本当の値段＝収益×係数
果たして，これらの要素は推定できるのか，仮に推定が間違っていた場合の誤差について考えて行きましょう。
収益 †
将来の収益 †
仮に収益が本当の値段を知るための手掛かりになるのだとすれば，間違いなく将来のそれが基礎になるのでしょう。過去の収益は，過去の値段を正当化するための根拠に過ぎず，企業のこれからの収益力を示したものではないからです。
仮に，企業Ａが過去１０年間，１年に１株あたり１００円ずつの当期利益を稼ぎ続けてきたとしても，今後１０年間もそうであるという保証はありません。他社で新商品が開発され，Ａ社が既に陳腐化している商品を扱っており，Ａ社では今後は新しい商品を開発することも期待できないという場合には，Ａ社が今後も１株あたり１００円の当期利益を稼ぎ続けることを期待することはできないでしょう。Ａ社の収益は右肩下がりの曲線を描いて行くことが予想されます。このようなＡ社に本当の値段を付けるとすれば，当然，１株あたり１００円の収益を基礎とするのではなく，将来の予想収益を基礎とすべきだということになります。
なんだ，将来の収益を予想して，それを基に本当の値段を付けて，それと株価を比較すればいいんだ・・・。それで納得する私ではありません。何故なら，私は時間を旅することができないからです。１０年後に旅することができれば，１０年後の収益を基にして本当の値段を付けることは理にかなっていると言えるでしょう。しかし，時間を旅する能力のない私が，現在から将来の収益を予想したとして，それはどれほど正しいものなのでしょうか。私がこの文章を書いているのは，２００８年１１月からのことなのですが，この時点で，企業の収益について正確な予想ができると断言できる人がどれだけいるでしょうか。
当期利益 †
過去の収益 †
係数 †
