読書メモ / 賢明なる投資家（財務諸表編）

グレアムがこの本で言っているのは，

• 投資する前に，財務諸表を何度も読んでおけ
• 財務諸表には本当のことが書かれていないことが多いから注意しろ
• 財務諸表を，くまなく調べろ

っていうことに尽きる。

いらんことを書いてないから，この本好き。しつこいくらいに，調べるのが好きというグレアムの性格もよくわかる。「しつこい」ということだけは，私も似てる。しつこく調べてるうちに，調べることに夢中になってしまい，成績なんてどうでもよくなってしまうかも。

第13章　運転資本 †

「流動資産−流動負債」で求められる運転資本は、特に、製造企業の財務力を見るときに重要だとされている。ここで、製造企業とは、売掛金の回収期間が長い業種のことを言っているのだと思っておけばいいだろう。

運転資本は、事業を拡大したり、設備投資したりする原資にもなるし、緊急に資金が必要なときの引き当てにもなる。

逆にいえば、事業を拡大する必要もなければ、設備投資の必要もなく、突発的な支払いの必要性のない事業に関しては、運転資本の額をそれほど気にしなくてもよいのだろう。

なお、この本には書いてないが、資金情報が

1. 総資本
2. 運転資本
3. 現金及び現金同等物

と変遷していることは覚えておこう。

第17章　現金 †

この章では、財務諸表における現金勘定の役割について説明がなされている。前半では、その安全性を確かめるために、後半では、魅力的な投資先を見つけるために、いかに活用されるべきかが。

企業にとって、必要な現金の額というのは、ある程度決まっている。複数年度のバランスシートを比較し、必要な現金の額がどの程度なのかを確かめ、手元現金の不足を来たしていないか、常に目を光らせておく必要がある。

企業の財務状態が悪くなると、銀行からの借り入れに頼ることが多い。その他、棚卸資産や売掛債権などの資産を処分・整理して、手元現金を確保する場合もある。手元現金の不足を来たした場合、同時に、これらの項目の変動をチェックすることが肝要だ。

株式の時価総額に比べて、現金保有額が異常に多い場合、その企業の株式は魅力的な投資対象である可能性が高い。仮に業績が悪かったとしても、増配により、または、その豊富な資金を投資することによって収益性の改善により、報われるだろうからである。

第21章　簿価の計算 †

ほとんど、数字そのままだけど、まずいかなあ　(^_^;)

普通株に優先する証券が全くないことに注意

額面１００円（って、額面株は今は存在しないけど）の普通株１万７０００株。

普通株の簿価＝資本金＋剰余金＝１８０万円

正味簿価＝簿価−のれん＝１３０万円

はい、これを読むと、証券分析の第４２章が読みやすくなるでしょう？

第22章　債券と株式の簿価 †

パンローリング社から苦情が来るまで続けることに　(^_^;)

債券の正味簿価＝債券＋優先株＋普通株＋剰余金−のれん代＝１３０万円

この場合、債券（額面５０万円）には、充分な裏づけがあるということになるので、投資GO!

優先株の正味簿価＝優先株＋普通株＋剰余金−のれん代＝８０万円

額面６０万円の優先株、まあ多少の余裕はあると言うべきか。もっと良い投資案件を探すべきかな？

普通株の正味簿価は、第21章のようには行かないらしい。

普通株の正味簿価＝優先株の正味簿価−優先株の清算価値

で、清算時において、優先株は額面よりも高く評価されるとのことで、この本では、５％増しで評価している。つまり、優先株の清算価値＝６３万円

なので、バランスシート上６０万円の普通株の正味簿価は、１７万円ということになり、投資は難しいという判断となる。

また、優先株に累積配当がついていたり、参加権利条項がついていないか注意すべきとのこと。

第24章　清算価値と正味流動資産価値 †

ここでも、特に取り上げられているのは、「製造会社」の清算価値。

「資産の性質や資本構成によって注目すべき数字になることもある」という記載のされ方に注目。この記述、かなり奥が深いと思うよ。

ちなみに、製造会社の清算価値を求める式は、

流動資産−流動負債−上位証券のすべての請求権

読書メモ