アウトライン


「日本語の反復疑問文とモジューラー・アプローチ」

0.Introduction

1.背景?

A.A-not-A疑問文について(中国語の疑問文)

Alternative, Yes/No, Wh, A-not-A。A-not-A疑問文のニュアンス。

B.モジューラー・アプローチについて

1)Huang (1988)の主張による分類方法

ABnot AB, A not AB, AB not A。A-notAというべきなのは後者2つで、主に議論の対象としやすいのはA-not-ABのもの。


2)Directionality Constraint

conjなどである要素が並立されるとき、その要素が両方の部分木に重複している場合、この規則に則って省略が行われる。

3)文節化規則

中国語のphonologyの面からの文法的制約。ただし、日本語には当てはめにくい。

2.中国語のA-not-A疑問文と日本語の反復疑問文?

A.形成過程(省略説)

Directionality Constraintに則って日本語のAlternative Questionを省略していくことでA-not-AB Questionと似た形を形成。

B.A-not-A化できる動詞の位置

埋め込み文を見ていったとき、Tree上で一番上の階層にある動詞(など)でないとA-not-A疑問文化できない。(中国語を示す→日本語を示す)


C.副詞節の分布制限

時間、結果などを表す特定の副詞を除いてはA-not-A Questionのセンテンスには副詞を用いることができない。(中国語を示す→日本語を示す) このポイントから、日本語の反復疑問文も中国語のA-not-A Questionと比較できる部分があるといえる。

3.中国語の可能補語と日本語の複合動詞?

A. 中国語の可能補語構文と反復疑問文?

ting de dong (can understand to listen)などの可能補語構文において、この3音節はセットでA-not-A化され、それを切り離すことはできない。

B. 日本語の複合動詞と反復疑問文

1)日本語の複合動詞?


2)自立語と付属語?

動詞本来の意味を失い、形式動詞化する現象がある。

3) 動詞の種類と反復疑問文への適合性

自立語、付属語という概念を使って、複合動詞の構成ごとに分類し、それぞれにA-not-A Question化を試すと、複合動詞を構成する2つ目の動詞のみを抽出してA-not-A化できる場合がある。 複合動詞のうち2つ目の動詞が自立語の場合に、中国語との差が出る。

4. 助動詞と反復疑問文

A.日本語の助動詞

B.助動詞の分類と反復疑問文への適合性


5.「よくもわるくも」のような表現とA-not-A疑問文

   

6. 総括(仮)

  • 日本語の反復疑問文も中国語のようにA-not-A疑問文と呼べる。
  • 中国語で言うA-not-ABタイプのものしか存在しない可能性が高い。AB-not-ABタイプのものとの区別は有用。
  • 統語的な構造上、日本語の反復疑問文の方が反復できる単位に柔軟性がある。
  • 「よくもわるくも」のような表現は日本語にも中国語にも有り、ある程度A-not-A疑問文と似た性質を示す。