活動報告　夏目房之助『マンガと「戦争」』の批判的読解と問題点の指摘（１）

８月２７日におこなった夏目房之助『マンガと「戦争」』の批判的読解と問題点の指摘（１）についての活動の目的と活動報告

活動の目的

　先行研究である夏目房之助『マンガと「戦争」』（以下『マンガと「戦争」』）を批判的読解をすることによって、

1. プロジェクトの研究方法の把握し、
2. その課題を発見すること

　なお、「１　プロジェクトの研究方法の把握」は、８月１８日におこなわれた「参考文献の分析と問題点の指摘、今後の方針の決定」にて、夏目房之助『マンガと「戦争」』の分析的読解をふまえたブックリポートをとおしておこなわれたので、今回の活動ではもっぱら「２　その課題を発見する」ことを重視した。　

活動報告

　「夏目房之助『マンガと「戦争」』の批判的読解と問題点の指摘」は予定通り８月２７日におこなわれた。

　今回の活動の参加者はプロジェクトリーダーであるＹ.Ｋ（３回生　史学科）とＵくん（３回生　史学科）Ｔくん（１回生　史学科）の３名であった。参加人数の減少はおおむねメンバーの帰省によるもので、それを原因とした参加人数の減少はこれからもしばらくつづく模様。活動の参加人数の減少による能率低下については、今後の対策が必要だろう。

　活動は、あらかじめ『マンガと「戦争」』について

1. 著者の資料情報は不足、不十分ではないか？
2. 著者は事実と違うことをいっていないか？
3. 著者の推理・論議は非論理的ではないか？
4. 論は著者の意図した計画をどのくらい実現したか？

という項目でまとめてきてもらい、それをもとに議論をした。

　その議論をかいつまんで紹介すると、

　「１ 著者の資料情報は不足、不十分ではないか？」および「２ 著者は事実と違うことをいっていないか？」については、「7 終末としての「戦争」―『デビルマン』と『宇宙戦艦ヤマト』」以降の資料情報は不十分であり、それにもとづくあやまった見解もあるということが批判された。（Ｙ.Ｋ、Ｕくん、Ｔくんによる）

　「３ 著者の推理・論議は非論理的ではないか？」については、著者の議論のキーワードとしてもちいられる名辞が、その定義を曖昧にしており、しばしば、同語多義的なものとなり、実質的に論理のすりかえが発生していることが批判された。（Ｙ.Ｋ、Ｔくんによる）

　「４ 論は著者の意図した計画をどのくらい実現したか？」については、著者の資料情報の不足に起因して「7 終末としての「戦争」―『デビルマン』と『宇宙戦艦ヤマト』」以降に関しては満足な結果を得られていないということが批判された。（Ｙ.Ｋによる）

　なお、上記の項目以外では、おもに「10 「戦争」と身体―『僕らはみんな生きている』と『新世紀エヴァンゲリオン』」について著者のアニメへの理解のうすさがとりあげられた。

　今回の活動は、全体的にはそこそこ議論ができたが、当初の目的をかんがみるに、十分な成果をあげられたとまではいえない。「著者の資料情報は不足、不十分ではないか？」「著者は事実と違うことをいっていないか？」「著者の推理・論議は非論理的ではないか？」についてそれぞれ一応に疑義をとなえることはできたが、先行研究の課題を発見するという目的にとって大切な問いである「論は著者の意図した計画をどのくらい実現したか？」という問いに十分に答えることができなかった。

　その原因としては

1. メンバーがあらかじめかされていた項目別のまとめに対して不徹底であったこと
2. 前回の「参考文献の分析と問題点の指摘、今後の方針の決定」で共通理解を得たはずの「著者の意図」がちゃんとふまえられていなかったこと

が考えられる。

　プロジェクトの研究方法の把握し、その課題を発見するためにはもう少し集まって議論する必要があるだろう。

報告者　Ｙ.Ｋ（３回生　プロジェクトリーダー）

備考

　活動の目的としたことは十分に達成されたとはいいがたいので、先行研究の課題を発見するという活動目的の重要性をかんがみ、もう一度、「夏目房之助『マンガと「戦争」』の批判的読解と問題点の指摘」をおこなうこととした。（９月７日に予定されている「夏目房之助『マンガと「戦争」』の批判的読解と問題点の指摘」（２）がそれである）