カンタンジェイピー 売れっ子漫画家の実態


漫画家の実態?

単行本一冊で消える漫画家の実態

 まずどういうわけか一般作品を描く漫画家よりも、アダルト作品を描く漫画作家の方がはるかにこの恐るべき罠には まりやすいことを明記しておきます。

 毎月のように出版される大量のアダルト漫画の単行本。実はあまりなじみのない作家名も数多く羅列されております。それというのも、それがその作家の初単行本だったりすることも多いからです。そしてその作家達の中で次の単行本を出版できる方は、けっこう限られてしまうのが現状みたいです。

 その後、作家が漫画を描かなくなったためというケースも、もちろんあると思いますが、実は出版社側の思惑がからんでいることが主な要因です。

 ある新人漫画家が初単行本を出版したとします。ところが本の売り上げが悪かったのです。こうなると、その本を出した出版社は、この新人漫画家の漫画は売れないと判断し、なかなか次の単行本を出してくれません。その後、雑誌にどんどん作品を発表し続け、単行本にまとまる本数を描いたとしてもです。

 嫌になったその新人漫画家は、他の出版社で漫画を描くことにしました。しかしその出版社でもなかなか単行本を出してくれません。

 どうしてなのでしょう?

 実は単行本の売り上げ実数は、出版業界内では知ることができるのです。そのためこの新人漫画家が出版社を変えてみたところで、調べれば初単行本が売れなかったことはわかるので、結局、どこへ行っても相手にされないということ になってしまいます。かくして、次の単行本を出すチャンスがなくなってしまうのです。

 つまり、初単行本というものは、売り上げ次第でその後の作家の運命をも左右しかねないほど重要なものだ