土地への課税


連結決算のペテン?

■土地への課税  日本政府は労働者の労働には所得税を、製品やサービスを提供する企業には法人税を課している。(連結法人は例外。) しかし土地所有者の不労所得には課税しない。

 例えば新宿駅前の土地の所有者は、多くの不労所得を手にしている。なぜなら山形駅や鳥取駅の駅前よりもずっと地価が高く、その土地を貸す事で利益を上げられるからだ。

 ここでは土地を活用すること、例えば土地で作物を作ったりアパートや店舗、事務所を建てるなど付加価値をつけて得られる所得について述べているのではない。

 土地の所有者は地価を上げるために何かをしたわけではない。大地は創造主または大自然が作ったものであり、人間が作ったものではない。そして土地の価値が上がるか下がるかは運命にかかっている。

 徳川幕府が鳥取や山形に幕府をおいたのであれば、その地の地価は今ごろ新宿よりも高くなっていたであろう。JR、小田急、京王が、駅を代々木や大久保に作れば、新宿の地価は今ほど上がらなかっただろう。同様に伊勢丹や丸井が店舗を代々木や大久保に作っていれば、または東京都庁がオフィスを移転しなければ、新宿の地価は今よりも低かったであろう。

 労働という生産的な行為をしている社会の構成員に税金を課し、その一方で、何もしない構成員の利益に課税をしないことは不公平ではないだろうか。また、このような税法は社会の構成員がより生産的になるための動機付けになるだろうか。

 私は土地からの不労所得に課税し、製品やサービスを提供する労働者や企業への課税を軽減するべきだと考える。そのための簡単な方法は100年以上も前から一部の進歩論者によって提唱されてきた。それは現在の貸付金利と同じ利率で地代に課税することだ。

 これによって投資家や投機家の富を、お金で持っていても、土地で持っていても、それがもたらす利益の価値が変わりないようにすることができる。投資家や投機家は、富から期待される利益が同じであれば、保有する富の形には関心がないからである。

 金利とは、貸し出したお金から期待される利益である。もし土地からの利益が金利よりも高ければ、富を土地で持つであろうし、金利よりも低ければ、土地を所有する動機付けとはならないであろう。したがって、土地から得られる所得と金利を等しくすることはよい方法だといえる。

私はより平等な社会を築くためにも不労所得は認められるべきではないと思っている。したがって、地代に金利と同じ割合で税金を課すことを提唱する。

 表は、1981年から2005年までの利率を示している。最近は2%にまで下がっており、10年前には8%であった。過去25年間を平均すると約4.4%になる。

 2003年土地への課税(要約)は、土地の所有者が得る不労所得に課税することの利点を示している。

 地価(土地資産額)に2%課税すると、現在の個人所得税(国税と地方税)とほぼ同じ税収になるため、すべての個人所得税をなくすことができる。もし地価に3%課税すると、所得税(国税と地方税)と消費税あわせたものと同じ税収となるため、所得税と消費税をなくすことができる。つまり、土地の所有者の不労所得に課税して地価に3%の税金をかけることで、日本の生産的な国民やその家族が払っているほぼすべての税金をなくすことができるのである。

 そして地価に4.4%の税金をかければ、所得税、消費税、法人税の総額に等しい。つまり、不労所得として土地所有者が得ている金額に4.4%の税金をかければ、社会で労働している人々とその家族、企業が支払っているすべての税金をなくすことができるのである。

 ほとんどの国民は製品やサービスを提供し、それを他の国民が消費してくれることで所得を得ている。自分で働いていない人でも、労働者に扶養され生活をしている。

 この日本社会において、土地からの不労所得を得ている人の数はごくわずかである。労働への課税から不労所得に課税することを要求する時期にきているのではないだろうか。

http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/LandTax.pdf