スズキ車における排気デバイスOHの重要性 †
- 次に該当する方、必ず排気デバイスを確認しOHをして下さい。放っておくとやばいです。
- 排気デバイスって何それ美味しいの?
- 「ガンマ・ウルフ=排気デバイス問題」ということを知らない
- 排気デバイスの蓋にホースを挿す部分が無い
- 排気デバイスの蓋のホースを挿すニップルが上を向いている。
- 排気デバイスの蓋を開けたことがない
- エンジンからピストンの動きに合わせて金属音がする
- 1万rpmから突然吹け上がらなくなる。
スズキの2st車が抱える排気デバイスの問題 †
- 通称「自爆装置・時限爆弾」
- スズキの排気デバイスシステムSAECは、構造上に大きな問題を抱えている。
- 他社のロータリーバルブ式に対し、SAECはでは3枚の長さの違う平板を摺動させながら排気ポートへせり出す。
- 排気漏れにより、3枚の平板(歯、バルブとする)の隙間を生ガス、カーボン、水蒸気が通過する
- 排気系で最も高温になる部分であるため、それらの液体が板と板の間で、そして排気バルブのヘッド部分にたまり、煮詰まり、そして固着する
- これがスズキ2st海苔専門用語?の「おたふくソース」である。見た目と固さはまさにそれだが、黒さは醤油並に黒い。
- 歯は消しゴムくらいの面積で接しており、これをモーターの力で剪断するように動かす。
- 上記理由により固着が発生すると
- サーボモーターのプラギアの歯が欠ける。
- 排気デバイスが動かなくなり、吹け上がりに問題
- 歯に無理な負荷がかかり、3枚の歯をつなぎ止め出てくる順番を決めている焼きばめピンの外れ。
- ピンの外れにより、3枚の歯の動きの制限が外れ、ピンの摺動溝が更に溝を作るデフレスパイラル。
- 歯がズレ落ち、ピストンに寄りかかり続け、ピストンの動きに合わせ金属音の異音を発する→ピストンに傷と欠けが発生。
- 最後にはピンが脱落し、シリンダー内部で一緒にシェイク
おたふくソースと卵さん、キャッチタンク †
スズキ2st海苔なら誰もが知っているかは知らんが、3大テクニカルターム
- おたふくソース
- 排気漏れ気体が冷却され、出汁みたいな色の液体となり、これが煮詰まり真っ黒なタールとなった物。
- 卵さん
- 排気デバイスのヘッドカバーには、上空に向けられたホースニップルがある。
- これは先述の気体を大気開放するためのホースが刺さっている。(ガンマの場合?無いのもあるらしい。その場合はWOLFの純正パーツを取り付ける)
- この排気デバイスのヘッドの抜けがエンジン性能に関係するらしく、開放ホース途中に卵形のチャンバーが挟んである=卵さん
- おたふくソース溜めと勘違いされるようだが、デバイスの部屋の圧力を調整するためのようだ。そもそもこの卵までソースが溜まることは位置的にあり得ない。
- キャッチタンク
- 漏れ気体は卵さんを経由し大気開放されるが、冷却された物は下へと下り、蓋そしてデバイスヘッドに溜まる。
- これが煮詰まらないように排出し、キャッチタンク経由で圧力を卵さんへ導くことで、延命することができる。
- 参考までにキャッチタンクには、10kmごとにペットボトルの蓋1杯の液体が溜まる。これを聞くと、蓋を開けたことの無い人はゾッとするのでは無いだろうか。
デバイスOH †
適切な工具が無いとネジを舐めて致命傷となる可能性があります。特に動作温度が高くカーボン固着している内部のネジは万全の策で望みましょう。でないと俺みたいな事にorz
ラジエターの取り外し †
- ラジエターホースを抜きさり、ラジエターを取り外す。
- 先にウォータードレンから抜いた方がいいかも。じゃないと水は当然だだ漏れ。
これがデバイスの蓋。ホースが上に向いている事に注目。前オーナーさんはデバイスに気を使っていなかったことが伺えます。
蓋の取り外し †
蓋。
- 4箇所のボルトを開けるだけ。トルクを緩めると既にソースが垂れてくること請け合い。下に何かを敷くべし。
ぱかっ・・・何じゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
ふ、蓋が・・・蓋の厚み以上に何かが堆積している!!
排気用の穴すら見えない!
これは予想以上。これが伝説のおたふくソースである。固形化しているけど。ちなみに冷蔵庫から出したばかりのバターよりも硬い。
そして本体は・・・
何が何だか分からない状態。ネジがどこにあるかも分からないし。
デバイスの取り外し †
- ここから先はネジ固着により頭を舐める恐れが超大です。特に+ネジは慎重に扱って下さい。
- 次の物を必ず用意して下さい。
- ガストーチ
- ホームセンターで1500円以下で売っているようなショックドライバー
- 電動インパクトレンチはNGです。完全に固着した+ネジに対し、ネジの頭がカーボンで詰まり気味、工具がまっすぐ入らない、体重をかけることができない等の悪条件が重なり、2人がかりで行いましたが見事に失敗、ネジが舐めましたorz その後とんでもない苦労を経てネジを外しましたが、ここは1500円投資すべきです。
- 状況が状況なので、ブレーキクリーナーでネジの頭を露出
- シリンダー内に流れ込むので最低限にすること。焼き付きの原因にもなりそうだし。
カム系の取り外し †
- シャフトとカムを止めるいもネジを外す。
- ネジロックで強固に噛み付いているので必ず焼いて膨張させてから。どんなトルクをかけてもそのままじゃ開くことはありません。
- ヘックスで開ける時はハンマーなどで瞬間的なトルクを与えること。基本です。じゃないとヘックスが折れるかも。
- 車種によってはプラスネジもあるらしい。更に恐ろしい・・・。
- デバイス側面のナットを外し、シャフトを挿したままプーリーを引き抜く(順序が怪しい)
- プーリー内部には巻きバネがあるので、シャフトが抜けると崩壊して面倒なので。
バルブ押さえネジの取り外し †
一番の難所。何より舐めないように気をつけて下さい。舐めてない状態ですら簡単には開かないネジ、舐めたら・・・orz
- トラスネジが3本。とりあえず下2本から外しましょう。説明の都合上。
- 中央上にあるネジは、爪付きの鉄板も一緒に止めています
- この鉄板の2箇所の爪の先にはバネが刺さっており、そのバネがバルブ内部を通り、バルブの動作順を決めています。
- バネ2本をバルブ内から引き出します。側面が擦れて粉々になっている恐れあり。正規品は38.5mmあります。
バルブの取り出し †
- バルブを止めている物がすべて取れたらバルブを引き出す。
- しかし固着している場合、容易に出てこない。
- 連結してるピンを持ち、ピンを曲げないように気をつけながら、何度も揺さぶりをかけて引き抜きましょう。
- ピンは鋼鉄製だったと思うので、ぐにゃっと行くことは無いと思いますが、気をつけて。
摘出済み排気バルブ。
バルブの洗浄とチェック †
- 真ん中の歯を90度回すようにすると、3枚下ろしにできます。
- カーボンを取り除く。本来、バルブはすべて同じ色です。軽くペーパーで油研ぎするなど。
- ピンと溝の点検
- ピンが溝を更に削って居ないか。焼きばめのピンがぐらぐらしていないか。
- ピン溝を綺麗にする。引っかかりとならないように。
エンジン側の洗浄 †
- クランクケース内に侵入することを最低限に抑えるようにウエスなどで掃除
- ブレーキクリーナーで焼き付き事例があるようなので、2stオイルをちょっとだけピストンに向かって流し込んでおいた。
組み立て †
- 順番に組み立てていく。
- カムのいもネジと、プーリーとシャフトをつなぐネジはネジロック指定です。後者は開けてないかもだけど。
- デバイスの穴にバネを入れ、板で押さえてねじ止めするとき、バネ紛失に注意。無くしました。orz
カム調整 †
準備 †
- デバイスプーリーの蓋だけ外し、プーリー自体はボルトで再び留めておく。
- キーON
- バッテリー付近の遊び線(メスのギボシかな?これ)をワニ口でGNDに落とす。→プーリーが2段階目に移動
- キーOFF→プーリー保持
調整 †
- プーリーの2つのネジを回し、ワイヤーをいじる。
- プーリーは2段目合わせ。地面側にあるプーリーケースの刻線と、プーリーの刻線を合わせる。
- 2つのネジを同角度回せばプーリー回転、そうでないなら張り調整。
- リアタイヤ側のワイヤーには遊び無し、フロントタイヤ側のアウターケーブルとその受けの間はカタカタ動く程度0.5mmの遊びを設ける。
蓋とキャッチタンク製作 †
- 蓋は排水を考え、下向きノズルとして付ける。
- ホームセンターで耐油ホースを買い、蓋のニップルに挿す。
- 卵さんホースは折れが生じやすいので確認する。デバイス→上→卵さん→下 という順序だったと思います。
- 350mlペットボトルの底あたりに2つ穴を開け、キャッチタンクとなるように卵さんホースと耐油ホースを挿す
- ホットボンドでホース周辺をシール
- シフトペダルの前あたりのフレームにタイラップで縛り付ける。
- 蓋を開けてエンジンをかけると、内部で脈動があり、排気漏れしていることが分かります。蓋を閉めて使いましょう。
- 内部のガソリンを含んだ雰囲気で、ホースはぶくぶくになります。気休め程度ですが、耐油ホースの方がいいかも。
スプリング †
- 覚え書き用
- 代替品検討、摩耗度の検討にどうぞ。
- 特に自由長には注意。スズキの排気デバイスはバネ周囲の摩耗により、1ターンずつ切れていき粉々になった状態が多いため、バネのスリーブ側にゴミが残っていたり、引き出したバネも、正規の長さより短い恐れあり。比較してみて下さい。
- 排気デバイスピストン用バネ(スズキ純正部品09440-03011-000)
- 新品スプリング実測値
外寸 | 3.75mm |
内寸 | 2.7mm |
線径 | 0.50mm |
ピッチ | 1.5mm |
自由長 | 38.5mm |
質問 †
- 手元にサービスマニュアルもあるので、かけなかった部分などの質問、お気軽にどうぞ。
- TS200にのってますがウルフ排気デバイスの蓋の品番を教えてください -- ねごろ
- TS200R 初期型のデバイス2枚刃のワイヤー調整方法ってわかりますか? -- AETC
- スポーツスター 空気圧 --
- はじめまして。 -- HANKU?
- 一点お聞きしたいのですが、固定部のプラネジ私もナメさせてしまったのですが対処法はどのようにされたのでしょう。現状バーナー、タガネでと考えておりますがお聞かせ願いたいです。 -- HANKU?
I just hope whevoer writes these keeps writing more!