- 研究の成功・不成功は、研究のスタート時点で描くべきである、研究絵図の出来に左右されると言っても過言ではない。ここでは、その研究絵図の描き方について、私の哲学をまとめる。
ツール開発研究における研究絵図の描き方
- 研究の背景をサーベイする。
- 自らの研究の方向性と、具体的到達性能とを明確に定義する。
- この時点で、比較対象ツールの性能評価は終了しているべきである。なぜならば、比較対象の性能を知らずして、具体的到達性能を定義することは無意味だからである。
- 性能評価を行うときの視点として、最も基本的なものは、specificity (TP/TP+FP)、sensitivity (TP/TP+FN) の二つの視点である。しかしながら、FN を知りえないケース、TP と FP の差異を区別できないケースというのも考えられる。そのようなときは、如何に specificity と sensitivity の代替となる指標をセンス良く提案できるかが、腕の見せ所となる。
- 具体的到達性能を実現するためのアルゴリズム・実験プロトコルを考案する。
- この時点で、勝算を持っていなければ、次のステップへ進むべきではない。勝算はしかしながら、左脳で判断できない領域も大きい。そこで、自らの研究者としての感覚を最大限に発揮し、勝算をシビアに判断することが必要である。
- 新たに提案するアルゴリズムや実験プロトコルは、既存の手法と決定的に異なる点が一つ以上存在しているべきである。なぜならば、既存手法の性能をクリティカルに更新したいと望むならば、手法の階層においてもクリティカルな改良は必須だからである。
- 考案したアルゴリズム・実験プロトコルに基づき、ツールの初期バージョンを開発する。
- 現バージョンの性能を評価し、具体的到達性能を実現するまでアルゴリズム・実験プロトコルの詳細のリファインを繰り返す。
- この時点で、どうあがいても具体的到達性能を実現することが不可能であることを確信するかもしれない。その場合、新たな研究絵図を描く必要がある。研究者として、自らの感覚が外れたときには、絵図を描きなおす覚悟と勇気は常備しておくべきなのである。
- 自らの研究を、いかに世の中にインフォームしてゆくかを計画する。
- このとき自らが選べる選択肢は、自らのボスがどのような学会に属しており、そしてその学会においてどのようなポジションをしめているかによって、大きく異なるものである。
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