顧客はみな騙されている


顧客の大半は大手企業、みな不良品ばかりを買っている。

大口のシステム開発を発注する顧客の大半は日本を代表する(優良かどうかは別にして)大手企業や公の機関ばかりである。その顧客たちは、数千万円から数億円という費用(公共事業向けのシステムなら全て血税)を投じて、いつも不良品を買わされている。

なぜ不良品なのか?

システム開発で、大手のSIerにとって美味しい業務は、設計業務でもなければ開発業務でもない、継続的なシステムのメンテナンス業務である。メンテナンスといっても、家庭における乾電池や蛍光灯など消耗品を交換するような定期的なものではなく、バグ(ソフトウエアの欠陥)の改修を主とした不定期で継続的に必要なものが大半である。多くの欠陥は、設計段階あるいは開発段階でシステムに組み込まれるものである。

なぜ顧客は不具合があるシステムを買わされ続けるのか?

技術の素人である顧客たちは、口だけ達者な大手SIerのエンジニアのおかげで、不具合を不具合として認識できずにいる。実際のところ、納品された段階で顧客には目につかない程度の潜在的な不具合が大半であるから誤認してしまうことが多い。

システムの不具合を容易に見つけるには?

不具合を容易に見つけるには、受け入れテストの段階で普段の業務ではあり得ない入力をひたすら行うことである。これは時間をかけて根気よく行う必要がある。それもSIer立ち会いのもと行うことが望ましい。特にエンジニアの顔色が変わってきたら勝負だ。 複数のボタンがある画面は激しくボタンを連打したり、データの保存や読み込みを徹底的に繰り返すのだ。大手のSIerがそれぞれ掲げている高い技術力や信頼性といったキャッチはすぐに絵に描いた餅であることを認識するだろう。ISO(国際標準化機構)の規格に適合するような品質保証なんてとんでもない話であることを知るまでにそれほど時間はかからない。

参考となる図書

「いつまでバグを買わされるのか―平気で欠陥商品を売る業界の内幕 (単行本) 」 ダイヤモンド社 2000年刊