来生たかお大百科 >『Dear my company』←自作曲→『avantage』
※原則的に、来生たかおは“来生”に省略、来生えつこは“来生えつこ”と表記。アルバムタイトルの正式表記は『égalité』。
2004年にリリースされた21枚目のオリジナルアルバムである。
前作『Dear my company』から4年振りにリリースされたミニアルバムで、バックバンドのスタートルのメンバーが編曲や演奏で参加している。また、編曲者の矢倉銀は来生のペンネームである。
6月23日、レコーディングの最初の打ち合わせが、来生、キーボードの松田真人、山崎教昌、ギターの土屋潔、ミキサーの面子で行われた。まず来生が収録したい楽曲についての説明があり、そして新曲のデモテープを全12曲分、譜面を見ながら皆で選曲し、来生を筆頭に皆で編曲の分担を決めて行った*1。
来生によれば、当初からミニアルバムで出す予定だったが「どうせ出すのならばフルアルバムを」という事になっていたという*2。しかし、7月7日、松田の所に来生のマネージャーから連絡があり、諸般の理由によりミニアルバムになりそうな旨が伝えられた*3。
7月20日に行われたレコーディングは、「プロ・ツールス」を使った打ち込みによる録音から始まった。まずは松田真人が最も基本的なドラムのパターンをキック、スネア、ハイハットといった具合に順番に曲のテンポに合わせて鍵盤で入力して行き、基本的なパターンが出来上がった所でマニピュレーターの小田木隆明が生のドラムに近付けるように修正を加えて行った。次にそれを曲の頭から最後まで貼り付けて行き、松田の指示の下、必要に応じて部分的にパターンを変えて行った。また、ドラムとパーカッション(コンガ)が一通り完成すると、今度はベースに移り、適当な音色を選んで鍵盤で一通りのベースラインを弾き、小田木が修正を加えて行った。来生がスタジオ入りすると、松田は事前に自宅で打ち込んだ音資料を聴かせ、出来上がりの雰囲気を伝えた。その後、来生が仮歌を入れる事になり、松田は歌い易いようにエレクトリックピアノの音色でデータを入力した。仮歌は、一通り歌った所で最初の部分を直しただけで終了した。来生が帰宅した後も、ミキサー、松田、小田木はシンセブラス、生ブラス、パッド等の打ち込み作業を延々と繰り返した*4。
8月11日、松田が編曲を担当した楽曲のギターのダビングとシンセサイザーの最終的なダビングがあった。事前に大まかな打ち合わせした土屋に2種類の音色でカッティングを弾き分けて貰い、イントロやブリッジの部分のミュートを済ませた所で土屋から、もっとノリを良くする為にもう一度演りたいという希望があり、再度演奏をして貰った。その後、先程と今の中間くらいのノリで演奏して貰う事で意見が一致した。最後はギターのアドリブを3テイク録音し、皆で聴き比べてOKテイクを決めて行った。次に、小田木がこれまでに打ち込んだブラスセクションを更にリアルにする為の作業を行った後、松田の指示に沿って演奏をしながらサビの部分の偶数小節の3拍目にタンバリンを入れたり、やはりサビの1小節から8小節目にオブリガートを入れたりと作業が続けられ、全ての演奏やダビングが終った所で最初から聴き直し、来生の確認を以てトラックダウン以外の作業が終了した。その後は、来生自身が編曲をした楽曲に関してギターのダビングが行われた*5。
これまでアルバムのデザインワークに余り関与して来なかった来生だが、本作ではその意趣を色濃く反映させている。タイトルのエガリテ(フランス語)は、かつて存在していたファンクラブの会報誌名でもあり、英語の「イーヴン(even)=五分五分の形勢・同点・引き分け」に該当し、歌手デビュー30周年を前にした来生自身の状況や意気込みを表現している。また、透明仕様のCDケースが使用され、バックカバーの内側にはフランス国旗の三色(青・白・赤)があしらわれているが、これはエガリテという言葉が併せ持つ同国旗の「白・平等」の意味を象徴させている。
ジャケット写真は、神奈川県鎌倉市にある北鎌倉駅で撮影されたもので、眼鏡を掛けた来生がバーバリーのコート*6に新聞紙を差し込み、煙草を片手に下りのプラットホームのベンチに腰掛けている。これは、傾倒する小津安二郎が同市に居を構えていた事に因んだもので*7、付属の厚紙製収納ケースも同じ写真が使用されている。来生自身の希望で、同地に前乗りをし、人の居ない早朝(上りのホームには遠方に人影が見られる)が撮影時刻に選ばれ、始発電車を待つ情景が演出されているが、本来構内は禁煙になっており、煙草に関しては申し訳なかったと述べている*8。なお、この時に使用された眼鏡はレンズが入っていなかったが、後の公演で老眼鏡として装着された*9。
ブックレット内には、茅ヶ崎市の烏帽子岩や、横浜市の赤レンガ倉庫、来生姉弟が幼少期から青年期まで暮らしたひばりが丘団地等の風景写真が収められている。また、オフィシャルサイトのURLが記載されている。
ブックレットには、日本音声保存のアンケート葉書が封入されている。
なお、本アルバム名を冠したコンサート『来生たかお クリスマスコンサート2004 égalité』においては、全収録曲が披露されている。
トラック | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 収録時間 |
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1 | シャドー・プレイ | 来生えつこ | 来生たかお | 板村文 | 4:21 |
2 | 迂闊 | 来生えつこ | 来生たかお | 土屋潔 | 5:38 |
3 | 残りの夏 | 来生えつこ | 来生たかお | 土屋潔 | 3:18 |
4 | まなざしの時間 | 来生えつこ | 来生たかお | 山崎教昌 | 4:59 |
5 | 笑ってよムーンライト | 来生えつこ | 来生たかお | 松田真人 | 4:22 |
6 | サラリーマン | 来生えつこ | 来生たかお | 矢倉銀 | 3:23 |
発売年月日 | メディア:規格品番 | 発売元/レーベル | 備考 |
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2004.11.17 | CD:ANOC-6023 | エニー/ANY | ○制作:日本音声保存/TEN YEARS ○厚紙製収納ケース付き |
帯 | ジャケット | ケースの側面部 |
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エガリテ | égalité | エガリテ égalité |