Paul McCartney／Distractions
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| | 叡智
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こんばんは、来生たかおです。
叡智はゆっくりやって来る――という誰だったかの箴言っぽい言葉があります。「叡智」とは、知恵の事です。「知恵」とは、物事を適切に処理する事。
そんな事を言ったらおこがましいかも知れませんが、僕ぐらいの年齢になって来ますと、色々と世の中の事、人間の事が多少見えて来ると言いますか、「ああ、若気の至りだったなあ」「未熟だったなあ」とか、「不義理を重ねて来たなあ」「不遜な振る舞いをして来たなあ」とか、様々な悔恨の思いが、勿論良かった事もある訳ですが、でも、そんな思いがある事は否めないのではないか。そこで、もしそのような事を踏まえ、携えて、もう1度人生を始める事が出来るのであれば、もう少しマシな世の中、人間の生き方を構築出来るのではないか。
しかし、如何せん人生は1度切りで、気が付くのが遅い。気が付くのが遅いというのは、例えば、僕が60を過ぎ、年齢を重ねて来た人生観なる物が20代で見に付いたとしたら、という意味です。とは言っても、年齢を重ねた人生観なる物が、果たして大した物であるのかは判りません。それでも、多少は良くなるような気がします。
でも、まあ、そうだとしても、やはり人間というのは、愚かさと賢さが入り交じっての繰り返しで、余り成長は望めないのかも知れませんね。
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Bad Finger／Midnight Caller
Gilbert Osullivan／Who Was It
Chicago／If You Leave Me Now（愛ある別れ）
CM
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| | 般若心経
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仏教の説いた教えの1つに、般若心経があります。262文字からなる一番有名な教えです。
僕は字が頗る拙くて、少しでも上手くなりたいと思って、この262文字からなる写経で練習した時期があったのですが、結局上手くはなりませんでした。ですから、今も自分の書いてる文字を見ますと、気持ちが悪くなり、頭痛がして来る次第です。因みに、この般若心経の「ぎょう」という字は、「けい」という字を書きます。「経験」「経済」の「経」です。「道筋を辿る」という意味になると思いますが、この般若心経の「経（けい）」という字は「ぎょう」と読みます。そして、写経の「きょう」も「けい」という字を書きます。しかし、写経の「経（けい）」は「きょう」と読みまして、「しゃぎょう」とは言わないんですね。日本語って実にややこしいもんだと思ってしまいます。
その般若心経の中で、一番知られている4字漢字に「色即是空（しきそくぜぇくう）」というのがあります。262文字の漢字からなる般若心経とは、要するに「この世は空である」「この世は無である」と言ってるんですね。ですから、この4文字の「色即是空」を理解さえすれば、後は良いのではないかと、そう思っております。
そして、この「色即是空」というのは何かを、僕なりに解り易く説明してみると、こういう事になります。まず「しき」とは、「色」という字を書きます。仏教では、この世の中の全ての物を「色（いろ）」と言います。次に「即（そく）」は「すなわち」ですね。次に「是（ぜ）」、「これ」ですね。そして「空（くう）」となって、「色とは即ち是、空なり」となります。それで「空」なんですが、これは「何もない」という意味ではなく、幻、つまり実在しないのに実在するかのように見えるというイリュージョン――この解釈が一番近いと思います。
これを具体的に説明しますと、我が家には今、ミニチュアダックス犬で“ミミ”という名の犬がおります。その“ミミ”と毎日散歩をするのですが、犬というのは、他の犬がしたオシッコ、ウンチを一生懸命嗅ぎます。もう鼻に付くんじゃないかと思う程、近付けて匂いを嗅ぐ訳です。僕等、つまり人間から見ますと、「よくまあ、あんな臭い物を嗅いでるな」と不思議に思う訳ですが、よく考えてみますと、犬の嗅覚、つまり匂いを嗅ぐ力は、人間の4、500倍あると言われています。ですから、人間の嗅覚の域では、ウンチの匂いは臭い訳ですが、犬の嗅覚では多分、臭いを通り越して大変良い匂いがするのではないかと想像してしまいます。そう考えますと、ウンチの匂いというのは、それぞれの生き物によって匂い方が違うんだという事になります。だとすると、このウンチの本当の匂いは、どんな匂いがするのか判らない事になる訳です。
また、言葉もそうです。「今夜は綺麗なお月様ですね」とフランス人に言ったら通じません。「月」という物をほんとに言い当ているのであれば、フランス人にもアメリカ人にも通ずる筈ですが、「あれが月」というのは日本人が日本語で以って言わば恣意的に名付けて認識してるに過ぎない訳です。という事は、「月」という物は、本当は月ではなく、「何だか解らない物」になります。「色彩」もそうです。「赤」という色は本当は赤ではないし、「距離」も「あそこまで100メートルある」も100メートルではなく、「時間」もそもそも流れてはいないんですね。
そのように「我々人間はこの世界を正しく見てる訳ではなく、人間が勝手に規定して認識してるに過ぎない。それを恰も本当のように僕等は見ていて、正しいと錯覚してる」とお釈迦様は説いた。「だから人間が生き物の中で一番優れていると考えるのは、傲りであって、間違っているんだ」と。「つまりこの世の中は色即是空である」と、こういう事になります。ですから、この世で「絶対」はないのであって、「我が宗教は絶対なり」と唱えてる間は、平和はいつまで経っても来ないだろうと思っています。
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Julie London／Misty
Connie Francis／Strangers In The Night（夜のストレンジャー）
Helen Reddy／Ain't No Way To Treat A Lady
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| | 読書観
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秋深き隣は何をする人ぞ――という松尾芭蕉の句があります。この「何をする人ぞ」というのは、職業の事を言ってる事と、状態の事を言ってる事と、2説あるそうですが、後者の方が正しいようです。ま、兎に角、隣の人は今何をやっているんだろうと、しみじみ詮索してしまう。秋という季節はそんな事まで考えてしまうという事なんでしょう。暑くてぼうっとしていた夏が去り、過ごし易い季節になって、頭の方も体の方も色々能動的になる。だから、読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋、と言われる所以がこの季節にはあるという事なんでしょう。
そこで、今夜は僕の読書観について、と言ってもそんな大した物ではありませんが、少しお話ししてみようかと思っています。でも、その前にですね、僕が寝る前に本を読む事が楽しみ事の1つで、2時間から4時間程度読んでいます。今、僕がどんな状態で読書しているのかを説明しておきましょう。
僕には、30代の2人の息子がいるのですが、それぞれ別々に暮らしていて、今は上さんと14歳になるミニチュアダックス犬、名前は“ミミ”という老犬とで暮らしています。犬の14歳と言いますと、人間の年齢で80歳に当たります。僕等夫婦はまだ60代ではありますが、まあ、老いた者同士と言っても良いでしょう。僕等夫婦も最近は階段の上り下りが辛くなって来ましたが、我が家の犬“ミミ”もそのようで、夜、2階の寝室へ行く時等、実は“ミミ”は僕のベッドで一緒に寝ていますので、僕に付いて来るのですが、最近は階段の途中で立ち止まって「クン、クン、クン」とSOSを発したりする事があります。「大丈夫かい?」と抱き抱えて2階へ連れて行くのですが、こんな時、遠からずやって来るであろう別れを思うと、涙が出て来てしまいます。
普段の僕は午前中から午後に掛けて仕事をして、後はその日テレビを観たり映画を観たりして、仕事はしません。この10年ぐらいはそんな感じで過ごしています。寝る時は上さんの時間に合わせて、日付が変わる頃、2階にある寝室へ行くのですが、ここ5、6年前からは別々に寝ています。別に夫婦仲が悪くなったという事ではないんですね。現に今でも夕食の買い物は2人で行きますし、その他どこへ行く時も大体一緒に出掛けます。結婚37年になりますが、喧嘩は1度もした事がありません。この事は、上さんも僕も我慢があっての賜物かも知れませんが、でも、仲は良いと思っています。
そんな我々が別々に寝るようになったきっかけは、犬の“ミミ”なんですね。それまでずっと僕のベッドの布団の上で寝ていたんですが、何故か隣の上さんのベッドに行くようになりまして、それで上さんが寝返りを打つと“ミミ”を押し潰すのではないかと気になって、眠れなくなったんですね。それじゃあ、僕と“ミミ”が隣の部屋で寝ようかという事になりまして、5、6年前から上さんは1人で、僕と“ミミ”は隣の部屋で一緒に寝るようになりました。上さんもゆっくり眠れるだろうし、僕はいつも寝付きが悪いので、また本を遅くまで読んだりしてるので、僕の方も気兼ねせずにいられるので、今が良い状態だと思っています。ま、こんな感じで今僕が本を読んでる状況が何となくお分かりになったと思いますので、少し読書についてお話しします。
僕は本を読む時は、いつもベッドの脇に辞書とペンを用意して、意味の解らない言葉、読めない漢字等を調べて、丸で囲ったり傍線を引いたりして、そのページの上下、余白の所でその意味等を書き記したりしています。中には漢字を多く使う作者がいて、これが結構面倒なんですね。まあ、意味は解るので飛ばしても良いのですが、でも癪に触って調べちゃうんです。そんな事でページ数は中々先へ進まなかったりするのですが、でも「あ、こういう漢字を書くんだ」と改めて知る喜びがあります。で、先へ読んで行って、また調べた筈の言葉や漢字が出て来た時「あれっ、何だっけ?」と思い出せなくて、ページを戻して確認する事も結構ありまして、困ったもんだなあと思っております。
それと、僕は乱読でして、例えばその日、本屋さんで3冊買って来たとして、まず1冊目を読み始めて「あっ、中々面白そうだな」と思う。けれど、他の2冊が気になって、1冊目を途中で止めて、2冊目を読む。「あっ、これも面白そうだな」と。でも、3冊目も気になって、またすぐ斜め読みしながら「あっ、これも面白そうだな」と。そんなこんなで「この本から読んで行こう」と決めて読み始めるんですが、それでも一気に完読する訳ではなく、途中で色々と寄り道するんですね。「あっ、この事って確か伊丹十三氏が面白い事を書いていた」と思い出して、本棚から伊丹氏の本を取り出して読んだりとか。そんな風に芋蔓式に読んでおります。読みかけのままの本もあります。また、再読もよくします。特に僕は、幕末から昭和20年の敗戦までの歴史に関心があって、よく読むんですが、幕末なんぞは色々な人物が登場して来て、名前が覚えられない。そして、攘夷だったのか開国派だったのか、また薩摩だったのか長州だったのか、ぐちゃぐちゃで何度読んでも覚えられなくて、それで再読してしまうんですね。まあ、そんな感じでいつも読書を楽しんでいます。
読書というのは、年齢の所為もあると思いますが、最近は読む側から忘れるんですね。じゃあ、何故読むのかと言うと、「今読んでる」という事が楽しいのであって、それはそれで良いのではないかと思っています。また、ボケの防止にも少しは役に立ってるとも思いますしね。
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The Searchers／What Have They Done To The Rain（雨に消えた想い）
The beach boys／Beach Boys Good Vibrations
Hurricane Smith／Don't Let It Die
CM
The Cyrkle／Red Rubber Ball
Gilbert O'Sullivan／Alone Again（Naturally）
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| | エンディング
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FM COCOLO『THE MUSIC OF NOTE 来生たかお ノスタルジーへの誘い』
そろそろお別れの時間になりました。また次週、この時間にお会いしましょう。ごきげんよう。お相手は、来生たかおでした。
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エンディングテーマ：浅い夢（インストゥルメンタル）
楽曲紹介（小谷真美子）
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