来生たかお大百科 >『ジグザグ』←自作曲→『Natural Menu』
※原則的に、来生たかおは“来生”に省略、来生えつこは“来生えつこ”と表記。
1978年にリリースされた3枚目のオリジナルアルバムである。
本アルバムまでは歌手デビューの前に姉弟で書き溜めていた楽曲も収録されており、来生は、自分の音楽性を信じ、迎合や妥協をせずにベストな楽曲を集めたつもりだと語っている*1。また、レコード会社から期待されていたオリジナルアルバム『浅い夢』『ジグザグ』がセールス的に振るわなかった為、本作からは周囲も「まぁ、ゆっくりやろう」という空気になったが*2、来生としては、その方が元々の性格に合い、周囲に自分の音楽の方向性が解って貰えた為、落ち着いたという*3。来生えつこも、ディレクターから歌詞に関する提案等がなかった頃だった為、作詞は割と自由に出来たと述べている*4。
アルバムタイトルは、次第に見えて来た来生の路線を反映させたもので、来生えつこによれば、優しいお兄さんが女の子に語り掛けるイメージで「ここへおいでよ」というサブタイトルを付け、LPの帯のコピーには収録曲「涙嫌い」の一節「やさしさをありったけ君にあげるよ きっと」を使用し、温かい世界観を象徴させている*5。来生自身も、本アルバムからは収録曲全体のイメージからタイトルを付けるようになり、「僕のユーモレスク」「涙嫌い」「官能少女」等、ほんわかと、ほのぼのとした楽曲が多い事からも解るように、音楽と優しい関係にして行こうというニュアンスで作ったと述べている*6。なお、当初はサブタイトルの方がメインタイトルとして扱われる事例(オリジナルシングル「片隅にひとり」「そして、昼下り」に記載された宣伝等)もあったが、CD化以降、サブタイトル自体が用いられなくなり、「By My Side」で定着している。
来生曰く、本作や後続のオリジナルアルバム『Natural Menu』『AT RANDOM』に参加ミュージシャンの記載がないのは、そのネームヴァリューでレコードを売りたいとは思わないからだった*7。
なお、「片隅にひとり」は元々前作のオリジナルアルバム『ジグザグ』用にレコーディングされた楽曲だったが、結果的に本作に収録された*8。
ジャケットには、コーデュロイのジャケットにハンチング帽で葉巻を吹かした来生自身のポートレートが使われており、銀座まで行って誂えたというそのコスチュームはギルヴァート・オサリバンの初期のスタイルを意識したものである*9(NHK-FM『スタジオ・ライブ』(1979.01.15)において松任谷由実と「Corvet 1954」をデュエットした際にもこの衣装を着ていたと思われる*10)。ただ、来生えつこはジャケット写真に対し、ポートレートとしての良さは認めつつも「たかおがこんなに気取っちゃ困る」と吐露しており*11、来生自身も普段は絶対こんな格好はしないと語っている*12。
LPの帯では、既出のオリジナルアルバムが写真入りで宣伝されている。
※各曲の収録時間はLP版の記載に準拠
トラック | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 収録時間 | トラック | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 収録時間 | |||||
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LP/CT | CD | LP | CT | LP/CT | CD | LP | CT | |||||||||
SideA-1 | 1 | 片隅にひとり | 来生えつこ | 来生たかお | 星勝 | 3:32 | 19:58 | SideB-1 | 6 | 振り向くならせめて | 来生えつこ | 来生たかお | 井上鑑 | 3:28 | 17:21 | |
SideA-2 | 2 | 僕のユーモレスク | 来生えつこ | 来生たかお | 松井忠重 | 3:28~ | SideB-2 | 7 | 涙嫌い | 来生えつこ | 来生たかお | 松任谷正隆 | 3:59 | |||
SideA-3 | 3 | ふたり | 来生えつこ | 来生たかお | 鈴木茂 | 3:50 | SideB-3 | 8 | ひとくち助言 | 来生えつこ | 来生たかお | 鈴木茂 | 2:43 | |||
SideA-4 | 4 | プリズム・ストーリー | 来生えつこ | 来生たかお | 井上鑑 | 2:38 | SideB-4 | 9 | 官能少女 | 来生えつこ | 来生たかお | 松井忠重 | 3:26 | |||
SideA-5 | 5 | 窓を開けますか | 来生えつこ | 来生たかお | 松任谷正隆 | 6:30 | SideB-5 | 10 | オレンジ通り五番街(振り向いてアベニュー) | 来生えつこ | 来生たかお | 椎名和夫 | 3:45 |
※記載なし
発売年月日 | メディア:規格品番 | 発売元/レーベル | 備考 |
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1978.11.01 | LP:MKF-1035 | ポリドール/キティレコード | ○LPの帯は2種類(初出時と『夢の途中』発売時) |
CT:CKG-1038 | |||
1983 | CT:38CS-9023 | キティレコード | ○『DOUBLE PACK SERIES By My Side アトランダム』のA面に収録 |
1986.07.25 | CD:H33K-20045 | キティレコード | ○歌手デビュー10周年に際し、CD化 ○ジャケットデザインはLP版をアレンジ ○シール仕様の帯に「CDオリジナル・セレクション」「10th anniversary -since 1976-」の記載 |
1991.04.25 | CD:KTCR-1046 | キティレコード | ○ジャケットは1986年版CDと同様 |
1995.07.21 | CD:KTCR-1558 | キティエンタープライズ/キティレコード | ○歌手デビュー20周年に際し、高城賢によるデジタルリマスター ○帯に“20th anniversary”の記載 ○Q盤CD選書シリーズの1枚 |
2007.03.21 | CD:UPCY-6355 | ユニバーサルミュージック | ○21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』に1995年版を収録 ○帯なし |
2018.12.19 | CD:UPCY-9871 | ユニバーサルミュージック | ○限定 ○紙ジャケット仕様 ○デジタルリマスター ○SHM-CD |
帯 | ジャケット | ケースの側面部 | ||
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LP | By My Side ここへおいでよ | By My Side | BY MY SIDE ここへおいでよ | |
CT | ※帯がないので該当なし | By My Side | BY MY SIDE ここへおいでよ | |
CD | 1986年版 | バイ・マイ・サイド BY MY SIDE | BY MY SIDE | BY MY SIDE |
1991年版 | バイ・マイ・サイド | BY MY SIDE | BY MY SIDE | |
1995年版 | BY MY SIDE | By My Side | BY MY SIDE | |
2007年版 | ※帯がないので該当なし | By My Side | BY MY SIDE | |
2018年版 | By My Side ここへおいでよ(復刻LP版) By My Side(新版) | By My Side | BY MY SIDE ここへおいでよ |