【1972/05/11 山中事件】
1972年5月11日、石川県加賀市在住のDさん(24歳)が行方不明となり、
同年7月26日に同県江沼郡山中町の林道において白骨腐乱死体で発見された事件。
頭部に陥没骨折がみられた為、殺人事件として捜査が開始され、疑わしい容疑者を
逮捕したが、容疑者は無実を訴え続け、1990年に無罪となった。
5月13日に、Dさんに借金の保証人になってもらっていた青年(当時24歳)が逮捕され、
その青年の供述により、その青年に対する傷害行為で逮捕・起訴・公判中だった
霜上則男さん(当時26歳)が勾留中に殺人容疑で再度逮捕された。
その青年の供述は、「霜上さんが主犯で、2人で共謀してDさんを殺した」という
ものであったが、霜上さんは捜査段階から一貫して殺人を否認、公判廷においても
無実を訴え続けた。
第一審の金沢地裁は、1975年10月に、霜上さんに対し「死刑」を判決した。
(青年には「懲役8年」を判決。青年は控訴せず服役)
霜上さんは控訴したが、名古屋高裁が1982年1月に控訴を棄却した為、最高裁へ上告した。
1989年6月に、最高裁は、青年の供述を「疑う余地がある」とするなど、原審判決に
疑問を呈し、名古屋高裁へ差し戻した。
1990年7月27日、差し戻し審の名古屋高裁は、「共犯者」である青年の供述を、
「殺害の実行などの部分で矛盾や不合理な点が数多く、信用できない」と指摘、
本件につき無罪を判決した。
略歴
1972. 5.11---Dさん行方不明となる
7.26---Dさんの遺体発見
7.28---霜上則男さん殺人容疑で逮捕される(別件で勾留中)
1975.10.27---第一審判決(金沢地裁) ・・・ 死刑
1982. 1.19---控訴審判決(名古屋高裁)・・・ 控訴棄却
1989. 6.22---上告審判決(最高裁) ・・・ 高裁へ差し戻し
1990. 7.27---差戻審判決(名古屋高裁)・・・ 本件につき無罪