シェイクスピア


シェイクスピア(1564-1616)はイギリスの戯曲家。『ハムレット』、『ロミオとジュリエット』、『真夏の世の夢』などの戯曲を書いた。著名な人物でありながらも、シェイクスピアの私生活や生涯はほとんど知られておらず、シェイクスピアとは誰なのかという論争が現在も続いている。

シェイクスピア嫌い

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CWのシェイクスピア嫌いはかなりのもので、機会あるごとに批判を繰り返している。シェイクスピアは人気の高い著名な戯曲家だが、その戯曲の内容を良く考えてみると、人間の意識の解明や心理的な洞察には無頓着であり、人間社会のさまざまなゴタゴタが描かれているに過ぎないというのである。意識の進化をめざしているCWからすると、シェイクスピアの視野はあまりに狭隘なのである。

 だが、シェイクスピア嫌いはCWだけのことではない。CWの心酔するバーナード・ショーのシェイクスピア嫌いは有名であり、CWは彼の影響からシェイクスピアに批判的になったようである。この他にも、CWがファンタジーを評価しているトールキン?もシェイクスピア嫌いである。また、別の箇所では、ウィルソンはイエイツ?の詩でのシェイクスピア批判も取り上げている。ウィルソンは言及していないが、もう一人のシェイクスピア嫌いはトルストイ?(外部リンク:トルストイ『シェイクスピア論および演劇論』の紹介)。アンチ・シェイクスピアの系譜に、コリン・ウィルソンも属している。

シェイクスピア=ベーコン説

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賢者の石』では、シェイクスピアの正体を主人公が突き止める場面がある。シェイクスピアの正体がフランシス・ベーコンだとする説がそこでは採用され、ついでにシェイクスピアとベーコンに対して否定的な評価を並べ立てている。シェイクスピア=ベーコン説は現在はおおかた否定されているものの、かなり人気のあった説である。この説の最初の提唱者はジェームズ・ウィルモット牧師で、シェイクスピアという名前の人物は一連の戯曲の著者ではなく、(ウィルモットのもう一人のお気に入りの思想家)フランシス・ベーコンこそがその作者である、という結論に達した。大場建治の『シェイクスピアの墓を暴く女』(集英社文庫)では、アメリカ女性デライア・ベーコンがベーコン説を信奉してナサニエル・ホーソンやカーライルなどさまざまな作家に紹介していたことが詳しく紹介されている。そして、デライアは、ホーソンが出版費用を負担してくれたことで、『シェイクスピア戯曲新説』を1857年に出版した。この他、数学者のゲオルグ・カントールも一時期ベーコン説に熱中していた。ロバート・リテルのスパイ小説『チャーリー・ヘラーの復讐』では、暗号の専門家が個人的な楽しみでシェイクスピア=ベーコン説を研究している。現在は疑問視されている説だが、文学的にも興味に尽きない話題となっている。

世界不思議百科』では、シェイクスピアは誰か、という謎について1章があてられている。そこでは、大場建治が論じたデライア・ベーコンについても触れられている。
殺人の哲学?』では、シェイクスピアの正体とされたことのあるクリストファー・マーロー殺害事件を取り上げている。