これまでは、コリン・ウィルソンは『精神寄生体?』や『賢者の石』などあくまでも小説の中で古代文明の謎をフィクションとして描いてきたが、その関心を具体化して本格的に探求することになった著作。アトランティス大陸の謎についてはCWは以前から関心を持っていて、プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティス?からは映画制作の協力を求められたこともあったり、グラハム・ハンコック?の『神々の指紋』のゲラ原稿を読むことになったり、CWはいつのまにかに古代文明の謎を追求することになってしまった。その後、『アトランティス・ブループリント?』を共同で執筆することになるランド・フレマス?との出会いについても触れられている。本書によって、90年代からブームになった古代文明研究という幾分あやしげな分野に加わることになった。それまでの小説との関連からすると、CWの本気度もどこまで真面目にとらえるべきなのか、についてはちょっと考慮すべきかもしれない。おそらく、CWは『精神寄生体?』の世界を実演している自分を愉しんであるはずである。
本書の探求の始まりはスフィンクスの建造の時期についての記事だった。スフィンクスは一般的には紀元前2500年頃にファラオのカフレによって造られたとされているが、実際にはかなり古く紀元前5000年から7000年までさかのぼるという新しい説が1990年代に発表された。スフィンクスはひどい損傷があるが、その原因は雨水によるものだ、という見解がこのような新しい説へのきっかけとなった。だとすれば、人類の文明の起源はずっと古いものとなってくる。CWの新たな探求がここから始まることになる。
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