ルーマン 社会システム理論
第II章 学際的パラダイムとしてのシステム論 †
2.社会学における全体論的な考え方とシステム論的な考え方 †
ヴェーバーとデュルケーム †
社会学の理論には一方には主観から出発する方法的な進み方があり、他方には主観よりも客観すなわち社会のほうに準拠した進み方がある。
- マクス・ヴェーバー(1864-1920年)
社会学者の仕事は、主体の行為状況を、理解することを通じて再構成し、それぞれの行為の社会的な位置に応じて規則性と法則性を求めることにある(理解社会学)
人々が自分たちの行為に意図的に与える「主観的に思い込まれている意味」が、決定的に重要な方法上の出発点になっている
- エミール・デュルケーム(1858-1917年)
行為の心的現実性に力点を置く社会学的思考を放棄
主観的に思い込まれた行為の意味が、社会的なものを構成する基本要素ではない
社会的事実の相互作用こそが決定的に重要な出発点(社会的事実の中心となっているのは連帯=さまざまな行為者の間の全社会的な関係)
社会学におけるシステム理論的思考 †
- 理解社会学
マクス・ヴェーバーの創設
- 全体論的社会学
個人的な現象ではなく、それを条件づけ可能にする社会的な相互関係を問う
↓
これら二つの社会学的伝統に対して
↓
社会学におけるシステム論的思考(社会学的システム理論)
- 社会的行為が社会的連関の個別要素としてとらえられるところに始まる
- 個々人の行動をそれぞれのシステム連関から説明
- 社会システム
- 行為の共通性を組織し、社会過程に一つの形態、一つの方向性、したがって、一つの構造を与えるもののこと
(例)ゲゼルシャフト、家族、結社、組織、政党、議会、企業、信仰団体など
パーソンズの構造-機能的システム理論 †
- タルコット・パーソンズ
- 構造-機能的システム理論を展開し、ルーマンに決定的な影響を与えた人物
- 構造とは「システム-環境-関係にみられる、短期的変動から独立なシステム要素に関係している」(Parsons 1976 : 168)
- 機能とは、構造と区別され、社会システムのダイナミックな局面を、すなわち、変動する環境のなかでシステム構造の維持と安定性を保証するような社会過程
- 構造-機能的システム理論
- 何ができるのか
- 社会システムの構造を研究して、システムを維持するために実現されていなければならない諸機能をあげることができる
- 行為過程を制御する構造的な枠組みを示し、どの行為がシステム維持の機能を果たすのか、どの行為がその障害になるのかを、機能分析によって決定することができる
- 何を対象とするのか
- 個々人の孤立した行為ではない
- 行為の構造的-機能的な局面が、それぞれの社会システムの文脈のなかで対象とされる
- AGIL図式
- すべての社会システムは適応(Adaption)、目的達成(Goal Attainment)、統合(Integration)、構造維持(Latent Structure Maintenance)の基本的機能を果たさなければならない
(このページ了)
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