VCC/UMA


無線通信技術

  • VCC*1とUMA*2
    • FMCを実現させるための技術
  • 参考文献
    • 日経コミュニケーションズ
    • 2007/05/15

VCC

  • 携帯電話での通話のシームレス・ハンドオーバ技術
    • 3GPP*3
      • 対抗技術がUMA
      • 具体的な技術がUMA?
  • 通信キャリアが携帯電話網内に導入する仕組み
    • 携帯電話網内における通話をIP網へ引き込む際にIP電話へ変換
    • SIP*4を使ってネットワークの融合
      • IMS*5と携帯電話網の融合
      • IMSは3Gにおける次世代ネットワークの中核プラットフォーム技術
  • 回線交換とIMS間のハンドオーバ
    • 携帯電話網内には回線交換とパケット交換が混在
    • 携帯電話網もIMSもIPベースにしちゃえば既にあるIP関連技術も応用可能

仕様書

  • 3GPPのSA2で議論されている
    • 最新の使用は3GPPのRelease7に含まれる
  • TS23.206
    • コンセプト,アーキテクチャ
    • 基本的な動作,付加サービス
  • TS24.206
    • SIPの詳細なメッセージ・シーケンス
  • 標準化の対象外
    • ハンドオーバの決定方法
    • ドメイン選択の方法
    • 具体的なアルゴリズムは端末やサーバの実装者に任されている

アーキテクチャ

VCC AS*6

  • IMS網内に置く専用サーバ

I-WLAN*7

  • 無線LANの拡張
  • IMSネットワーク上でも無線LANを使えるように3GPPで検討されている
  • IMSと無線LAN網の間にゲートウェイPDG*8を設置
  • 携帯電話がセキュアにIMSや携帯電話網に接続可能
  • プロトコル:IKEv2*9
  • 鍵:IPsecで使用する鍵
  • 認証:EAP-AKA*10(USIMカードを使った携帯電話の仕組み)

制御

発呼制御

  • 全ての呼はIMS側に設置したVCCに引き込んで制御*11
    • 元は発呼したドメイン側で制御するモデル*12
    • 現行の回線交換網への変更が少なくて済む
  • 無線LAN側からの呼
    • 端末はSIPで発呼し,IMS内のSIPサーバ群により処理され,VCC ASに引き込まれる
  • 携帯電話網側からの呼
    • 移動体交換局VMSC*13からコアネットワーク内の制御装置gsmSCF*14へ送られる
  • VCC ASの制御
    • SIPの制御を行う2台のSIP B2BUS*15としても動作する
    • 送信端末からの呼を受け取ると,受信端末にSIPで呼発呼する
    • 受信端末がIMSにいる場合は直接,携帯電話網内にいる場合はメディア・ゲートウェイを通す
    • 呼の送受信が行われると,RTP*16により音声データの交換が始まる

ハンドオーバ

  • 端末側で判断
    • 今までの携帯電話網はネットワーク側で判断していた
    • 3GPPの規格では,端末や事業者のポリシーの判断にゆだねる
    • 無線電波の強度/品質や音声通話品質,料金など
  • ハンドオーバ先網で呼が確立されてから,元の網の呼を切る
    • 呼が途切れることがない
  • 無線LANから携帯電話網
    • 携帯電話網側からVDN*17と呼ばれる特殊電話番号に発呼
    • メディアゲートウェイを通じてVCC ASへ到達
    • VCC ASは通話相手端末に対してSIPのre-INVITEメッセージを送り,ハンドオーバを通知
  • 携帯電話網から無線LAN
    • 無線LAN網側からVDI*18と呼ばれる特殊SIP URI*19に発呼
    • VCC ASは通話相手端末に対してハンドオーバの指示を送り,ハンドオーバを通知
    • VCC ASはさらに,メディアゲートウェイを通して携帯電話網の呼を開放

今後の課題

  • 他の無線アクセス通信
    • WiMAX,HSPA*20,LTE*21とのシームレスハンドオーバ
  • 既存の携帯電話網とIMS間以外のハンドオーバ
    • IMSでコントロールするアクセス網間のハンドオーバ
  • 固定電話において当然必要な保留や転送,三者通話などの付加サービスには未対応
    • 3GPP SA2ではIMS側でこれらの付加サービスへの対応を検討
  • 端末側だけでなくネットワーク側でのハンドオーバ判断機能も検討

実用フェーズ

  • 標準化の完了を待たずに,台湾ではVCCの適用が始まっている
  • 2007年内の完了が目標
  • NECはスペインのバルセロナで開催の「3GSM World Congress 2007」でデモ
    • VCC機能を搭載した無線LANデュアル端末を使い,ハンドオーバの通話
    • 音声切り替えはスムーズだったというコメントも
    • 実用的なレベルにまで達している証明
  • ソリューション向けへの応用
    • モバイル・セントレックスへの応用
      • 企業内IP電話と携帯電話のシームレスなハンドオーバ
      • VCC ASを企業内イントラネットに置く
    • 問題点
      • SIPだけでも色々な規定があるので,現行のIP電話との互換が難しい

UMA

  • GSMなどの携帯電話網に他の無線技術を使ってアクセス出来る技術
    • 他の無線技術はBluetoothや無線LANなど免許が不要な技術
  • 携帯電話3Gのプロトコルのまま他の無線技術に通す
    • 既存のネットワークおよび端末に変更点が少ない
      • システムコストを低く抑えられる
    • IP通話システムとの融合は難しい
  • 利用例
    • 英BT*22による「BT Fusion」に使われている
    • 仏Orangeによる「Unik」サービス
    • スウェーデンのTeliaSoneraの「Home Free」サービス
  • 固定電話のBTと、移動体通信のBT Mobile(ボーダフォン回線を使ったMVNO)
    • GSMネットワーク内にBTの設備UNC*23を設置
    • UNCはGSM内の交換機MSC*24からは無線基地局に見える
    • 家からはBluetoothや無線LANを通してAPからADSL回線でUNCへ接続
  • GAN*25
    • UMAを3GPPで標準化した技術

*1 Voice Call Continuity
*2 Unlicensed Mobile Access
*3 3rd Generation Partnership Project
*4 Session Initiation Protocol
*5 IP Multimedia Subsystem
*6 Application Server
*7 Interwarking Wireless LAN
*8 Packet Data Gateway
*9 Internet Key Exchange v2
*10 Extensible Authentication Protocol method for UMTS Authentication and Key Agreement
*11 IMS controlled Model
*12 Original Domain Controlled Model
*13 Visited Mobile Switching Center
*14 GSM Service Control Function
*15 SIP Back To Back User Agent
*16 Real-time Transport Protocol
*17 VCC Domain transfer Number
*18 VCC Domain transfer URI
*19 SIP Uniform Resource Identifier
*20 High Speed Packet Access
*21 Long Term Evolution
*22 British Telecom
*23 UMA Network Controller
*24 Mobile Switching Center
*25 Generic Access Network