次世代放送サービス技術


無線通信技術
参考記事:「日経コミュニケーション」(2006.7.15)

MediaFLO

  • データ信号と,制御用信号を分けて利用する
  • 米国でのしくみ
    • コンテンツ配信:MediaFLO専用網
    • 制御信号:携帯電話網
      • 制御システムMDS*1
    • 対応端末:クアルコムのチップ

それぞれの動作

ユーザ

  • 携帯電話網を通じてユーザ登録
  • 暗号を解く鍵を入手する事でコンテンツ視聴
  • 課金
    • 携帯電話キャリアに手数料として

メディアフローUSA

  • MDSで暗号化してMediaFLO網で配信
  • コンテンツはメディアフローUSAが調達する
    • 携帯電話キャリアはそこから,自社の提供するコンテンツを選択
    • 携帯電話キャリアとは会員情報をやり取りするのみ

携帯電話キャリア

  • ユーザから課金できるが,ネットワーク負荷は少ない
    • あくまでも制御用信号だけだから
  • 周波数帯はVHF/UHF帯(6MHz幅)
    • 既に米国では2004年にオークションにて716〜722MHzを取得済み

無線通信におけるしくみ

  • 6MHz幅の帯域をフルに使って放送サービスを提供
    • 地上波のテレビ放送1チャンネル分と同じ

VBR*2

  • コンテンツの種類によってビットレートを自動的に変更する
    • 動きが激しいシーンは高ビットレートみたいな
  • 周波数利用効率が高くなる

同じ帯域で多チャンネルのコンテンツ配信が可能

  • ストリーミング映像放送×20本/日
    • QVGA*3
    • 30fps*4
    • H.264
    • ピーク時のビットレート平均300kbps
  • 音声放送×10チャンネル/日
    • AAC*5
    • ステレオ
    • 平均ビットレート48kbps
  • 蓄積型放送番組(20分)×40本
    • リアルタイムの映像・音声放送を使った空き周波数を常に利用
    • 空き周波数帯は常に変化しているが

コスト

  • 初めから携帯電話端末用なので,モバイル用の技術的特長
    • ワンセグは固定受信前提の技術を,移動用に応用させたもの

消費電力の低減

  • 現時点の携帯電話のバッテリーで約4時間のストリーミング映像連続視聴
    • 850mAh*6のバッテリー使用時

通信品質向上

  • 変調方式にOFDM*7を使用
  • さらに階層変調(レイヤーモジュレーション)を導入
    • 受信良好時は30fpsの高品質映像で,悪化時は15fpsに切り替わる
  • ワンセグでは,不公平性が出ないように一定ビットレート

設備コスト抑制

  • 電波の高出力送信が可能なので,送信局が少なくて済む
  • 全国一律で同一の周波数帯(チャネル)を使う
    • 地上波みたいに周波数帯の違いで混信の心配が無い
    • 米国MediaFLOの送信出力は最大50kW ERP*8

第2世代チップUBM*9

  • クアルコムが2005年12月に発表したチップ

ワンチップ

  • ワンセグにも対応している
    • 日本:ISDB-T*10
    • 欧州:DVB-H*11
  • ダブルチップによるコストアップを考えるととても魅力的

対応周波数

  • 対応周波数を広げた
    • 第1世代チップ:698〜746MHz
    • 第2世代チップ:470〜862MHz
  • 各国でどこの周波数帯になるか分からないから
    • 日本だと,VHF/UHF帯はぎちぎちで2011年のアナログ放送停波までは・・・
      • 2008年には日本でも開始したい
    • 国によって1チャンネル分の周波数帯が異なる
      • 5,6,7,8MHzの4パターンに増やした
  • 複数の周波数の組み合わせ
    • 地域ごとに使われてない周波数を使うことに対応するため
      • 第1世代チップでは単独の周波数しか利用できなかった

標準化

  • 標準化が進めば,端末メーカーは世界各国に製品を出荷できるようになる
  • チップの出荷量が増加
    • チップおよび端末の低廉化
    • メーカー,携帯事業者,メーカーにとっても負担を軽減

FLO Forum

  • クアルコムの展開する標準化団体
    • 2005年に携帯電話端末メーカー40社と設立
  • 日本
    • KDDI
    • 京セラ
    • シャープ
    • 三洋電機
  • 世界各地の標準化団体と,ITU-R*12での勧告化を目指す

TIA*13

  • 米国の協会で議論が進んでいる
    • 2005年1月にエア・インタフェースを提案済み

ITU-R

  • SG6*14で議論が進行中

試作端末完成業者

  • 京セラ
  • シャープ
  • 米モトローラ
  • サムスン電子
  • LG電子
  • 米ベライゾン・ワイヤレス
    • MediaFLOを全米で展開する計画を発表
  • 英BskyB
    • 多チャンネル放送事業者大手
    • 2006年夏にもトライアルを実施する見通し

*1 Media Distribution System
*2 Variable BitRrate
*3 Quarter Video Graphics Array:320×240
*4 frame per second
*5 Advanced Audio Coding
*6 ミリアンペア時:milliAmpere-hour
*7 直交周波数分割多重方式:Orthogonal Frequency Division Multiplex
*8 Effective Radiated Power
*9 Universal Broadcast Modem
*10 Terrestrial-Integrated Services Digital Broadcasting
*11 Digital Video Broadcasting for Handheld
*12 Internetional Telecommunications Union Radiocommunication Sector:国際電気通信連合無線通信部門
*13 Telecommunication Industries Association:米国電気通信産業協会
*14 Study Group 6