管理会計


ビジネス会計

管理会計とは

  • 社内向けの会計
    • 経営のための会計
      • 企業内の経営者や管理者向けに業績を報告する
    • そのデータを元に、経営判断を行う
      • KKD(勘・経験・度胸)経営では成り立たない
    • 財務会計と管理会計は別物なので数値は一致する必要が無い

企業経営の3つの局面

  1. プランニング
    • 計画の立案
      • CVP分析
      • 予算編成
      • 意思決定
  2. アクション
    • 実行
      • コスト管理
      • 品質管理
      • 在庫管理
      • 納期管理
  3. コントロール
    • 評価
      • 月末・年度末に見直して次へ活かした計画作り
      • それぞれの部門の業績評価が大きな問題

企業経営について

含み経営

  • 企業が所有するストック財(土地や有価証券などの投資財)の値上がりによる利益での経営
    • 本業で稼ぐわけではない
  • 昔は十分成り立ったが、今はそういうわけにはいかなくなった

経営のモノサシ

  • 資本(財産)の効率の良い使い方
    • ただ利益を出せば良い訳ではないと
    • 時代が変わったので、コストパフォーマンスを重視すべき
  • 時代によって経営のモノサシが変わってきている
    • 規模(売上)→儲け(利益)→効率(資本利益率)
  • 売上や利益を上げる代わりに莫大な資本を使えばいいってもんじゃない
    • 企業のスリム化

資本について

資本利益率

  • 「利益/資本」を上げるために
    • 利益:利益向上
    • 資本:使用財産圧縮
  • 「利益/売上 × 売上/資本」と2つの要素に分ける
    • 利益/売上:売上高利益率
    • 売上/資本:資本回転率

資本コスト

  • 資本の額だけではなくて、さらにかかるコストを計算しなくてはいけない
    • 負債:外からのお金なので支払利息が負債資本コスト
    • 株主資本:株主への配当は少なく、次へ活かす為に会社に留保するので利益が高い
  • 株主への配当
    • 株主にとってみれば、利益が出ても配当されるか内部留保されるかはどうでもいい
      • 定期預金の利息受取方式と元金成長方式の違いと同じ
  • 加重平均資本コストWACC*1
    • 調達源泉ごとに計算した資本コストを平均したもの
  • 会社の利益の目標値
    • 資本コスト以上に利益がないと、資金を調達できなくなる
      • 資本コスト率を棄却率(ハードル・レート)と呼ぶ
    • 会社は、「顧客を相手にする市場」と「資金提供者を相手にする市場」の2つで戦っている

資本の投資家

  • 株主
    • 法的に、企業の所有者
      • 同じ投資家の債権者よりも立場が上
    • 株主は、元本に係わるリスクを負っている最終的なリスク負担者
      • 株主からの出資を仰ぐのは難しい
  • 債権者(仕入先、社債権者)
    • 会社がどうだろうと、元本の返済と共に約束の金利支払いを受け取れる

資本利益率

  • 分子の利益と分母の資本(投資財産)の違いで2種類ある
  1. ROE*2(株主資本利益率)
    • 会社に出資している株主の視点で、分母が「株主資本」
    • B/Sの純資産の部(右下)
    • 分子の利益は「当期純利益」(株主に帰着する利益)
  2. ROA*3(総資産利益率)
    • 会社の経営者の視点で、分母が「資産の部の総額」
    • B/Sの資産(左側)
    • 分子の利益は「経常利益」(経営者が責任を負う利益)

ROE経営の目標

  • 当期純利益/株主資本
    • 当期純利益/売上 × 売上/資産 × 資産/資本
  1. 経営の効率化
    • 当期純利益/売上:利幅を上げる
    • 売上/資産:回転率を挙げる
  2. 負債の有効活用
    • 資産/資本:負債増加してもいいから規模をどんどん上げる
    • 株主からの資本と比較するのでROEが上がってくる

自社株の買入(かいいれ)消却

  • ROEが重視されるようになったので、それの向上の為の手段として、株主に資金を返却する
    • 事業投資に対するリターンが低すぎるのが原因
  • 資本を減らして負債の割合を増やす
    • ROEは向上するけど、有利な投資先が無いということなので縮小均衡になるだけ

企業の行動

3つの戦略

  • 全社戦略PPM*4
    • 会社全体の資源配分に関する戦略
    • 自社の中で市場成長率や市場占有率から判断して、稼いでる部分から稼いでない部分に投資する
  • 事業戦略
    • 各事業ごとの運営に関する戦略
  • 機能別戦略
    • 各所機能ごとの基本方針で定めた戦略

環境問題と会計

  • 企業を評価する1つの視点として環境問題が取り上げられている
    • 各企業が環境報告書を作成している
    • どのように環境対策に取り組んでいるかの報告
    • 環境対策のコストと効果を金額的に示す環境会計
  • ただ、客観的な評価は難しい
    • 様々な仮定での見積りに過ぎないから
  • 投資家へのアピールになる

企業倫理

  • 内部統制
    • データのインプットからアプトプットまでの一連の流れをちゃんとチェックすること
    • 「取引→伝票→帳簿」の流れでの誤りや不正を調べる
    • 最終的な、投資家への財務諸表や、経営者へのレポートの信頼性の問題
  • 内部統制システム
    • それぞれの管理を別々の管理者で行うのが典型例
    • 1つの処理に複数の人間が係わる
  • 内部統制報告書
    • 金融商品取引法の制定により、有価証券報告書に添付する

時代の変化

IT化

  • 統合型応用ソフトERP*5
    • 生産、販売、会計、人事など各分野にまたがって業務の流れを一元的に管理できるシステム
  • 電子帳簿保存法
    • 98年に施行された、色んな会計書類をデータ化してメディアに保存しても良いという法律
    • 帳簿、財務諸表、領収書、請求書
    • 検索システム、修正履歴を残す要件はある
  • 電子商取引EC*6
    • 企業間でデータ通信を利用して商取引を進める仕組み

グローバル化

  • ボーダーレス経済
    • 国境を越えて企業の活動領域が広がっている
  • 連結決済時に為替が問題となる
    • 海外の子会社の業績は為替の変動により変化する
    • リスク管理が重要課題
  • ネッティング
    • 国をまたぐ決済は債権債務を相殺した上で行う
      • それぞれ考えると面倒くさいので、差分を統合して1つにまとめて
    • 外為(がいため:外国為替)法改正で可能になった手段
  • 国際会計基準
    • 財務会計や税務上のルールが国ごとに違うが、基準が出来たのでだんだん問題なくなってきた
  • タックスヘイブン*7
    • 税率の低い国のことで、そこで決済すれば節税になる
      • 暴力団やマフィアの資金は、国からの摘発を恐れてする意味もある(マネーロータリング)
    • 移転価格税制により、グループ企業間でも第三者と同じ適正な価格で取引しなくてはならない

M&A

  • 合併と買収*8
  • 3つのパターン
    • IN-OUT型
      • 国内企業が海外企業をM&A
    • IN-IN型
      • 国内企業が国内企業をM&A
    • OUT-IN型
      • 海外企業が国内企業をM&A
  • 最近は外資系のOUT-IN型M&Aが目立ってきた
  • 企業価値評価
    • B/Sの純資産の大きさによる価値
    • 類似業種批准(ひじゅん)法
      • 同業他社の企業価値から推計する
    • DCF*9
      • 将来の利益を予測して、現在価値に割り引いて評価
    • 実際には、M&A当事者の交渉によって決定される性質が強い
  • 吸収合併後の株主への交付
    • 存続会社の株式
    • キャッシュ・アウト・マージャー
      • 金銭のみ交付する合併
    • 三角合併
      • 親会社の株式を交付する合併

プランニング

  • 経営計画
    1. 戦略
      • 企業環境分析
      • 自社の利点・欠点の分析
    2. 利益計画
      • 目標利益
      • 行動プログラム
      • 売上・コスト・利益の見通し
    3. 予算
      • 予算P/L・B/S・C/S
      • うまく戦略とリンクさせる

CVP戦略

  • コスト(Cost)・生産販売量(Volume)・利益(Profit)の関係の分析
    • 生産販売量Vは、売上と比例
    • 利益Pと売上は比例ではない
      • コストが固定費部分があるので

コスト

  • 変動費VC*10は生産販売量Vに比例
    • 直接材料費
    • 直接労務費(製造業の場合)
    • 商品仕入原価(流通業の場合)
    • 荷造(にづくり)運賃費
  • 固定費FC*11は生産販売量Vに関係なく一定額かかるコスト
    • 機械減価償却費
    • 建物賃借料
    • 保険料

損益分岐点

  • 損益トントンとなる生産販売量のこと
    • 総コストTC*12(VC+FC)と売上の差が利益P
  • 貢献利益(限界利益)
    • 売上から変動費VCだけをひいた、つまり固定費を除いた利益
    • 販売生産量に比例で計算しやすい
      • 売上も変動費も比例だから
    • これが、固定費を上回れば利益が出るという事
  • 損益分岐点BEP*13
    • 貢献利益と固定費がちょうど等しくなる点の販売量
    • 固定費/1個当たり貢献利益 (個)
      • 利益のうち固定費をどのくらいあれば埋められるかという計算
    • 目標利益を達成するための個数の計算
      • (固定費+目標利益)/一個当たりの貢献利益 (個)

予算編成

  • 金額ベースの詳細な計画
  • 業務予算
    • 売上・仕入・販売・一般管理
      • これらを予算P/Lにまとめる
  • 財務予算
    • 資本→資金
      • 予算P/Lを元に検討して、予算B/S・C/Sにまとめる

意思決定

  • 意思決定で考慮すべきお金は、「未来の案で金額が異なる増分」ということが基本

意思決定の3原則

  1. 将来の収益・原価だけを予測・計算する
  2. それぞれの案の金額の異なる要素だけを増分収益・原価計算する
    • 埋没コスト
  3. 支出コストだけでなく機会コストも考慮する
    • 何かを特定の用途に使った事による逸失利益
    • 土地を自分で使っているが、もし貸してたら利益が出たのにというコスト等

特別注文

  • たくさん買うからまけてくれ(引合価格)という注文
    • 実は原価以下で売っても儲かる場合がある
  • 埋没コスト
    • 注文を受けようが断ろうが、どちらにしてもかかるコスト
    • 固定費の一部はどちらにしてもかかるなら、引き受けてお金とっとかないとマイナスのまま
  • 販売政策
    • 埋没コストを除いた「注文を引き受けた場合にだけかかるコスト」で比較すると本当の損益が見えてくる
    • 引合価格>変動費+注文を引き受けた場合だけ生ずる固定費

アウトソーシング

  • ある固定については企業外部に経営資源を求める
    • 部品などは自分で作らずに外注した方が安い場合がある
  • 埋没コストを考慮する
    • 自分で作っても、結局は外注時の値段にも同額かかるコストがある
      • 建物原価償却費や租税公課
    • 埋没コストを除いた「自製した場合にだけかかるコスト」で比較する
      • 自製の時の変動費+自製のときのみかかる固定費>外注費
  • 定性的要因も考慮する
    • 品質・納期・安定供給など
    • バリュー・チェーン(価値連鎖)のうち、自分の会社でやるべきかやらないべきかの考慮
      • 必要な技術や経営資源の問題
    • 複数の企業で統合的な物流システムを作って供給連鎖管理
      • サプライチェーン・マネジメント
    • 戦略的な問題
      • どのセグメントに力を注ぐかの意思決定

赤字支店の存続

  • 地域(セグメント)別損益報告書で赤字でも、存続させるべき状況がある
    • 全社ベースと同じフォームのP/L(全部原価アプローチ)だと誤解を生む
  • 埋没コストを除いた「存続する場合にだけかかるコスト」で比較する
    • 存続してもしなくてもかかるコストはむしろ回収しないと
      • 工場の固定製造原価、全社の広告宣伝費、本社スタッフ部門費
    • P/Lのコストを変動費と固定費に分けて、固定費は各地区での個別固定費だけを集計
      • 他の埋没コストだった共通固定費は全部の合計欄から差し引く

設備投資

  • 意思決定の流れ
    • 目的の明確化
    • 投資案の作成
    • 各案の評価(収益性の予測)
    • 決定
    • 資金調達
    • 実行
  • 基礎データ
    • 設備投資額C
      • 設備を購入するための支出
    • 投資に対する年々のリターンR
      • 生産能力投資なら売上増
      • 省力化投資ならコスト節約
    • 耐用年数n
      • 投資してから廃棄されるまでの年数
    • 残存価額
      • 耐用年数を終えたとき、設備を売却・処分することで入ってくる収入
    • 資本コストr
      • 資本の調達にかかるコスト
  • そして、投資決定モデルが4つある
    • DCF*14
      • 現在価値への割引計算という原理に基づくNPV法とIRR法
    • ARR法
    • 回収期間法
  1. NVP*15
    • 投資によってどれだけ現金が増えるか
    • リターンとして得られるCIFを現在の価値に割り引いてからCOFと比較する
      • 将来の価値は、資本コスト分減った価値になっていると計算する
      • 現在価値=将来価値÷(1+資本コストr)^年数
      • 将来になればなるほど、同じ価値だったものでも小額の値段になるということ
  2. IRR*18
    • 耐用年数まで使ったとしてNVPをそれまで合計して、設備投資額Cと比べる
      • NVPではだんだん、将来価値は安くなっていく
    • 資本コストr(割引率)を変化させて計算していく
      • そのうちCIFの最終合計値が設備投資額Cを下回って元がとれないポイントが出てくる
      • ちょうどプラマイ0になった割引率rがIRR
      • 予定の資本コストと比較してIRR<資本コストなら投資すべきでないとなる
    • 政府の景気対策手段の「公定歩合の引き下げ」
      • 企業の資本コストを下げようとするもの
      • 設備投資の活発化が行われる
  3. ARR*19
    • 会計上の利益と投資の比率
      • 会計上の利益/設備投資額
      • 利益は、CF*20ベースのリターンから減価償却費を差し引いた会計上の利益を使う
      • 減価償却費=設備投資額÷耐用年数
  4. 回収期間法
    • 何年で設備投資額が回収できるか
      • 日本でよく使われている
      • 投資額÷年々のリターン
    • 収益性の指標とはならない
      • 回収が終わった後に、どれ位のリターンがあるかが無視されてしまう
    • 安全性やリスクの指標としては有用
      • 回収が早ければリスクを回避出来るから

アクション

  • 日々の管理
    • 4つのポイントのトレードオフをいかにして制御するか
      • コスト
      • 品質
      • 在庫
      • 納期

コスト管理

  • 標準化
    • 最良のやり方をルール化する
      • コストが最小で済むようになる

製造直接費の管理

  • 標準原価計算
    • 労務費の削減には、作業者の能率向上が必要
      • ルーチンワークに効果的な計算ということ
      • 材料費・経費にも適用される
    • 目標(理想)の標準労務費を計算して、それと実際労務費を比較して原因分析&対策
    1. 賃率差異
      • 賃金給料を多くあげすぎてないか
    2. 能率差異
      • 働いてる人の能力が低くないか
      • 対策を講じなければいけない
  • 原価企画
    • 製造前の企画・設計段階でコスト削減を行う(源流管理)
      • 従来の製品コストは製造段階でどうするか考えていた
      • これからは、コストの方に合わせて設計計画を行う
    • まず、目標コストを計算する
      • 目標価格-目標利益
      • 目標価格は市場調査で検討する
    • 製品設計の見積りコストと目標コストを比較
      • 目標コスト内で製造できるような製品設計を目指す
      • いざ、「見積りコスト<目標コスト」になったら生産販売開始
  • 設計見直し
    • 価値工学VE*21を活用する
      • 製品の価値V
      • 価格C
      • 機能F
    • V=F/C
      • 価格と機能のバランスを考慮する
      • 生産者の論理と、顧客の論理は違う事を認識する
      • こんだけかかったんだから、この値段は当たり前というのは生産者の論理
      • 顧客志向の考え方じゃなきゃ生き残れない

製造間接費の管理

  • 活動基準原価計算ABC*22
    • 多品種少量生産が必要な顧客ニーズの多様化
      • 支援コストがバカにならない
      • 製造間接費が膨らんでくる
      • 従来は製造間接費と直接作業時間は関連付けられていたがそうとは言い切れなくなる
    • 製造間接費を活動別に集計する
      • 活動ごとにコストドライバー(コストを発生させる要因)を決める
      • それを基準に、コストを製品に配賦(はいふ)する
  • 支援コスト
    • 製造を支援する活動にかかるコスト
      • 各製品の設計
      • たくさんの部品の購買や管理
      • 頻繁な段取替え
      • 機械の保守
      • 品質管理
  • ABCによる製品コストの計算
    • 設計費
      • 設計図枚数を基準に配賦
    • 段取費
      • 段取替回数
    • 購買費
      • 発注回数
    • 品質管理費
      • 検査回数
    • 相互内部補助
      • 支援コストが高くついてたら、他の大量生産品にそのコストを負担させる
  • ABCの応用
    • 活動基準原価管理ABM*23
      • ABCのデータを使ってコストを管理する手法
      1. アクティビティ分析:非付加価値活動をなくす(無駄な在庫移動をなくす等)
      2. コストドライバー分析:コスト発生要因を分析して効率化する(活動の削減・作業方法の見直し・共通部品の利用等)
      3. 業績分析:各活動の業績指標に、コストを利用する
    • 活動基準予算編成ABB*24
      • ABCのデータを使って活動ごとに製造コストの予算を編成する

品質管理

  • 品質原価計算
    • 2つのコストのバランスを考える
    1. 品質適合コスト
      • 品質を高めるためにかかるコスト
    2. 品質不適合コスト
      • 品質が悪かったためにかかってしまったコスト
  • 品質管理方法
    • QC*25サークル
      • 小集団を作って改善提案を考える品質管理のサークル
    • TQM*26
      • 全社的に品質改善に取り組む
    • 6σ(Six Sigma)
      • 米国GE*27社の有名なプログラム
      • 不良品が3・4/100万個以内に抑える品質のバラツキを小さい状態を目指すプログラム
  • コストの変化
    • なるべく早い段階で品質管理した方が安く済む
      • 上流でコストをかけた方が安く付く
      • 設計→製造→出荷→顧客
      • むしろ顧客までいって品質に問題があると取り返しが付かなくなる

在庫管理

  • 棚卸資産の在庫を管理する
  • 最適水準の維持
    • 従来の方法
    • 品切損失+在庫関連原価=合計で、この合計が最も低い在庫量がベスト
      • 品切損失:その在庫数により売上機会を逃した時の損失(多ければ少ない)
      • 在庫関連原価:その在庫数の保管費や在庫分の資本コスト(多ければ多い)

JIT*28方式

  • トヨタ自動車で考案された方法
  • 必要なものを必要な時に必要なだけ作る
  • 在庫は少なければ少ないほど良い
    • 注文があったらすぐ生産できる技術があれば良い
    • 品切損失が無ければ在庫は少ないほど良い

かんばん方式

  • JITでも、不測の事態に備えて在庫を持ちたい
  • 前工程と後工程に分けて在庫を用意する
    • 前工程は常に一定量を生産しておく
    • 後工程は必要なときに、必要な量だけ前工程の部品を伝票(かんばん)で取りに行く
  • 作りすぎが防止されるので、在庫が削減される

納期管理

  • 納期短縮(スピードアップ)が目標
    • 納期の内訳を調べてみるとどこが時間がかかるのか分かる
    • 全体の製造サイクル(納期・リードタイム・スループット時間)
      • 加工
      • 検査
      • 移動
      • 待ち
      • 保管

MCE*29

  • 製造サイクルの有効性
    • スループット時間のうち、実際に「加工」にどのくらいの時間がかかっているか
    • これが大きければ、在庫を置く事によるバッファがきく
      • 生産の販売の時間差を埋める緩衝役
  • ほとんどの企業ではMCEは5%以下
    • 実際作るのには時間がかかっていなかった
    • ビジネスプロセスを見直すことによって、納期を短縮する余地はいくらでもある

コントロール

  • コントロールのためには評価が大きなポイントとなる
  • 業績評価制度
    • 尺度
      • 何を業績とするのか
    • 基準
      • 何と比較するのか
    • 対象
      • だれの業績を評価するのか
    • 期間
      • いつ評価するのか
    • 報酬
      • 業績に対する報酬は何か

評価尺度

  • その部門が何に責任を負っているかを検討する
  • 3つの責任センターに分ける
    • それぞれ評価尺度が違ってくる
      • 原価センター
      • 利益センター
      • 投資センター
  • バランスド・スコアカード
    • 会計数値のほかに、非財務的な尺度を加えた多面的な評価制度
      • お金の財務的尺度の評価は株主から見た業績尺度
      • 他にも見るべきところがあるんじゃないの?という
    1. 財務的視点
      • 売上や利益の向上
    2. 顧客の視点
      • 顧客満足度がアップ
    3. 社内ビジネスプロセスの視点
      • ビジネスプロセスの効率化
    4. 従業員の学習・成長の視点
      • 従業員の意欲が高まる

原価センター

  • 一定の仕事にかかるコストを抑える事に責任を持つ部門
    • 研究所・工場・本社スタッフ
    • 目標のコスト予算をどう設定するかで、さらに2種類に分けられる
  1. 標準原価センター
    • 予算と比べることにより評価される部門
    • 業務が標準化されてて、成果とコストの関係がはっきりしてる
      • 工場の生産ライン
      • 運送業の物流
      • 配送センター
      • 銀行窓口事務
  2. 自由裁量原価センター
    • 行った仕事の成果から評価される部門
    • あまり予定と比べられると、目先の評価で仕事しちゃう
      • 研究開発部門
      • 本社の管理部門

利益センター

  • コストを抑えて売上を上げ、最終的に利益を上げる事に責任を持つ部門
    • 販売部門・営業所
    • 部門と、そこのマネジャーの評価尺度は別になる
  • 部門の評価尺度
    • 部門のセグメントマージン(支店利益等)等で評価
      • 売上-(変動費+固定費)
  • 部門のマネジャー評価尺度
    • 管理可能利益で評価
      • 売上-(変動費+管理可能固定費)
      • 管理可能性原則という「責任と権限の一致」という考え方に基づいている
      • 権限無ければ責任なし、逆にマネジャーに利益責任を問うならばそれに見合った権限を委譲するべし
    • いっぱいお金をかければ利益が出る
      • マネジャーが管理できるコストの管理可能費を引く
      • 人件費等
      • 建物の賃借料は営業所長の権限ではないので管理不可能費になる

投資センター

  • 投資に対して十分なリターンを上げる背金を持つ部門
    • 事業部製の事業部
    • 開発・製造・販売という基本的な機能が揃っていて1つの会社と同じ独立した組織
      • 独立性の高さを強調するためにカンパニー制とも呼ばれる
    • 投資に見合ったリターンを上げているかという点から評価
      • 事業部別P/Lを作って計算する
      • 事業部への投資額は事業部別B/Sか、各事業部保有の資産(現預金、売上債権、棚卸資産、固定資産額)を集計して求める
      • 利益があっても投資額が大き過ぎると意味がない
  • 投資利益率ROI*30
    • 投資に対する利益の比率
      • 資本利益率のバリエーションと同じ
  • 残余利益RI*31
    • 資本コスト差引後の利益
      • 資本コスト:投資家の期待する利益
      • 投資家の期待に応えたかどうか
    • 社内金利・社内資本金制度
      • 事業部から金利や配当を徴収する仕組み
      • 日本企業でよく利用される
    • 経済的付加価値EVA*32
      • 近年注目を集めていて、これもRIの一種

評価基準

  • 何と比べて業績を評価するかの水準
  1. 過去の実績
    • 満足すべき水準かどうかは分からないけど、簡単な目安ではある
      • 前月比・前年同月比
  2. 予算
    • 納得できる予算かは難しい
      • 上司も部下も参加した予算決定が必要
      • 上司は厳しくつけるだろうし、部下は余裕分(予算スラック)を含めるだろうし
  3. ベンチマーキング
    • 他社の水準を気にする
      • 他社の優れた仕事のやり方を取り入れようとする

評価対象

  • どの単位で業績評価をするか
    • 個人別
      • 人事考課のためには個人別評価は有効
      • 各人の会社への貢献度をはっきりさせたい
      • でも、チームワークを阻害するかもしれない
    • チーム別
    • 部門別
    • 事業部別

評価期間

  • どのタイミングで評価するか
    • 四半期
  • 短いタイミングの評価
    • 部下の尻をたたく効果がある
    • 目先の利益向上に走って効率が下がるかも
      • 研究開発
      • 広告宣伝費や交際費の削減は長期的に見てはマイナス
    • 短期と長期のバランスが重要

評価報酬

  • 業績を上げたときの報酬は何か
    • 報酬の種類が多様化する傾向にある

給与/賞与

  • 業績給・能力給・年俸制
    • 年功序列的な賃金体系に代わる報酬
    • 業績にリンクした報酬制度をとる企業が増えている
    • 従業員の働く意欲が上がる
    • 公平な評価が課題
  • プロフィット・シェアリング
    • 会社全体の利益の一定割合を原資として従業員に分配する賞与
    • 従業員の会社全体の利益に対する関心の向上による効果

福利厚生

  • 有給休暇・研修
  • カフェテリアプラン方式
    • 様々なメリットの中から各自が好みに応じて選べる

退職金/年金

  • 受け取るか、毎月の給与のアップかを選べる制度も出てきた
  • 401kプラン
    • アメリカで普及してる企業年金制度
    • 拠出金(支払われるお金)の運用方法を自分で指定できる年金
      • 運用成績次第で受給額が変わってくる
      • 転職先に移し変える事も出来る、自由な確定拠出型年金制度

ストックオプション

  • アメリカで広く普及してる株式ベースの報酬
    • 日本でも97年に解禁されて以来、多くの企業で採用されている
  • 市場価格よりも安い値段(行使価格)で自社株を購入できる権利
    • 時価と行使価格の差が従業員の報酬
  • メリット
    • 会社の費用負担が少ない(売却益は市場に委ねている)
    • 社員の会社全体の業績や株価に対する関心が高まる(株主重視経営の実践)
  • デメリット
    • 公開企業しか採用できない(そもそも株式が無いと)
    • 実際に利益があるかどうかは市場の株価動向に左右される

他の株式報酬制度

  • 従業員持株会を通した自社株購入補助
  • ストック・アプリシエーション権(ファントムストック)
    • 株式を付与しないで、株価上昇分と同額のボーナスを与える

*1 Weighted Average Cost of Capital
*2 Return on Equity
*3 Return on Assets
*4 Product Portfolio Management:portfolioは資産構成
*5 Enterprise Resource Planning
*6 Electronic Commerce
*7 Tax Haven:havenは避難所
*8 Merger Acquisition
*9 Discounted Cash Flow
*10 Variational Cost
*11 Fixed Cost
*12 Total Cost
*13 Break-Even Point
*14 割引キャッシュフロー:Discounted Cash Flow
*15 正味現在価値:Net Present Value
*16 Cash-In-Flow
*17 Cash-Out-Flow
*18 内部利益率:Internal Rate of Return
*19 Accounting Rate of Return:会計的利益率
*20 Cash Flow
*21 Value Engineering
*22 Activity-Based Costing
*23 Activity-Based Management
*24 Activity-Based Budgeting
*25 Quality Control
*26 Total Quality Management
*27 General Electric
*28 Just-In-Time
*29 Manufacturing Cycle Effectiveness
*30 Return On Investment
*31 Residual Income
*32 Economic Value Added