移動通信ネットワーク


無線通信技術

装置

基地局制御装置

  • 基地局と交換機の中継装置
  • 配下の基地局を統括し,上の階層の交換機と連携する

BSC*1

  • PDC用の基地局制御装置

RNC*2

  • 3G用の基地局制御装置

交換機MSC*3

  • 交換機
    • ここに,加入者情報を管理するHLR*4がつながる

関門交換機

  • 移動通信ネットワークから,他のネットワークに移るときの関門部分
    • さらに相互接続点POI*5を通して
    • ここに,SCP*6がつながる

HLR

  • 加入者情報を管理する

SCP*7

  • サービス制御装置
  • 付加サービスに利用される

共通線信号線

  • 制御信号線
  • 交換機どうしを接続・連携させる

デジタル携帯電話(2G/2.5G)


回線交換ネットワーク

  • NTT式のアナログ電話では,中継交換機そのものは変わってなかった(D60)
    • PDC*8では携帯電話の圧縮された音声ビットレートに対応するようにしただけ
  • デジタル携帯電話
    • NTTのPDC
    • 欧州規格GSM*9
      • PDC,GSMは,音声通信と9.6kbps回線交換データ通信
    • KDDIのcdmaOne(2.5世代)
      • 14.4kbps回線交換データ通信
      • 当時はPDCよりも早いことをウリにしていた
  • 携帯電話の為の仕組みが必要
    • 認証
      • 通信端末が,本当の加入者かどうか
    • 位置登録
      • 端末がどの基地局の配下にいるか
      • ネットワーク側で把握しておく

パケット交換ネットワーク

PDC-P

  • DoCoMoのDoPa
    • 1997年に携帯電話上でのパケット通信網サービスPDC-Pの提供を開始
  • 電話とは別のパケットコアネットワーク
    • ゲートウェイのISP*10の電話番号に接続して,通信を行う
    • 電話のコアネットワーク装置HLRも共用されている
  • サービス
    • 28.8kbpsパケット通信
    • 9.6kbpsパケット通信
    • メール
    • ブラウザ
    • アプリケーションダウンロード

GPRS*11

  • GSMで提供されているパケット交換ネットワーク
    • PDCの28.8kbpsに比べて,100kbpsという高速なパケット通信を可能とする

cdmaOne 64kbpsパケット通信

  • 第2.5世代携帯電話のパケット通信
    • 第3世代携帯電話へと続くもの

第3世代コアネットワーク

W-CDMA

  • サービス
    • 回線交換ネットワーク
      • 音声通信
      • 64kbps回線接続通信
      • TV電話
  • パケット通信ネットワーク
    • 384kbpsパケット通信
    • メール
    • ブラウザ
    • アプリケーションダウンロード
    • 動画メール

FOMA

  • ATM*12コアネットワーク
    • DoCoMoの提供する3GPP標準のネットワーク
  • 非同期転送モードATMを採用
    • 様々なデータをセルと呼ばれる固定長のパケットに変換
    • それぞれの特性に合った回線品質で高速に伝送できる
    • GSMに使われてるGSM-MAPやGPRSの機能をATMコアネットワーク内に含む
      • 電話網:GSM-MAPを通して
      • インターネット:GPRSを通して
  • IPネットワーク通信システムへ統合する流れになる
    • ATMはもう古い!?

ボーダフォン

  • 回線交換/パケット分離ネットワーク
    • グローバル戦略
      • 他のGSMネットワークとの接続互換性の確保
  • 2種類の無線ネットワーク制御装置
    • GSM携帯電話:BSC(日本では無し)
    • W-CDMA携帯電話:RNC
  • 2種類のコアネットワーク
    • 電話網(ISDN):回線交換ネットワーク
    • インターネット,電話網:GPRSパケット網

CDMA2000

  • 2種類のコアネットワーク
    • 電話網(ISDN):IS-41*13/拡張ネットワーク
      • 音声通信
      • 14.4kbps回線接続通信
    • インターネット:データ用のコアネットワーク
      • 64kbpsパケット通信(cdmaOne)
      • 144kbpsパケット通信(CDMA2000 1X)
      • 2.4kbpsパケット通信(CDMA2000 1X EV-DO)
      • メール
      • ブラウザ
      • アプリケーションダウンロード
      • 動画メール

PHS

PHS回線交換ネットワーク

  • 携帯電話みたいに移動用のネットワークを作るわけじゃない
    • 固定電話ネットワークの機能強化という形
      • ISDNの付加機能として,移動体通信方のサービスを提供する事が目標
    • 加入者交換機に,「PHS接続装置」をつけてPHS基地局と接続
  • ネットワーク
    • ISDNに準じたもの
      • 64kbps音声チャネル(Bチャネル)×2
      • 16kbps制御信号チャネル(Dチャネル)
    • 32kbpsで入ってくる音声通信は64kbpsに変換して流れる
      • PHS端末から基地局に届く音声通信は32kbps
  • データ通信
    • PIAFS*14
      • 32kbpsのデータ通信
      • 1995年に策定されたPHSデジタル通信伝送制御手順
    • 64kbpsデータ通信
      • 無線区間音声チャネル32kbpsを2チャネル分束ねる
  • 問題
    • 当初は,異なる交換機に収容されてる基地局間のハンドオーバが出来なかった
    • 交換機にPHS接続装置を付加しなきゃいけなかったので普及がしにくかった
      • 今では,新しい交換機(新ノード)には標準搭載
  • サービス
    • 音声通信
    • 32/64kbps回線交換通信

パケット交換ネットワーク

  • PHSデータ通信サービスの主役
    • 通信キャリアによって,ネットワーク構成が違う
  • ウィルコム
    • 基地局で,音声とパケット通信を分離
      • 交換機を通して,ウィルコムのパケットネットワークに受け渡す
      • そこまでは,ISDNのBチャネルパケット伝送回路
  • ウィルコムのIP化
    • 2004年から,IP対応交換装置をNTT局舎内に設置する
    • 既存のPHS基地局をIP用コアネットワークに収容
      • 音声とデータ双方を統合できる
  • サービス
    • 32/128/256kbpsパケット通信
    • メール
    • ブラウザ

ローミング

  • 他の通信キャリアのネットワークを通じて,発信や着信を可能にする技術
    • 通信キャリア間の協定に依存する
  • 特に,海外通信キャリアとのローミングを国際ローミングという

発信

  • 発信の場合に,他通信キャリアネットワークでの端末の認証を行う

HLR*15方式

  • 現行のローミングシステムの主力
    • システムの改修が少なくて済む
  • 自分の通信キャリアのネットワーク内にあるHLRで認証
    • 発呼のたびに,制御信号網を通じてホームネットワークのHLRにアクセスする

VLR*16方式

  • 3Gになって発達するであろう方式
  • W-CDMAではGLR*17方式とも呼ぶ
    • 交換機の一時的に加入者情報を持たせる装置でVLRというのが既にあるため
  • ローミング端末が最初に他通信キャリアのネットアークで位置登録する
    • ホームネットワークのHLRから移動先通信事業者のVLRに一時的に記録することでまかなう

着信

  • 移動先通信キャリアのネットワーク上でも,加入してる通信キャリアでの電話番号が使える

転送方式(ホームネットワーク経由方式)

  • Mobile IPみたいに,転送するやり方
    • 移動先ネットワークでは仮の電話番号を割り当てる
    • ホームネットワーク内のHLRに端末のルーティング情報がある
  • 国際ローミングに使われている
    • ツーカーのボーダフォンへのローミングにも

リダイレクション方式

  • 転送方式と似てるが,転送するのではなくかけなおす方法
    • ホームネットワークの交換機は,今いる移動先ネットワークの交換機の情報を発信者に通知
    • 発信者は改めて,直接の移動先ネットワーク内交換機にかけなおす

IN方式

  • リダイレクション方式の進化版で,初めから直接かけ始められる
    • まず,ホームネットワーク内の交換機にもいかず,直接HLRで現在の位置情報を聞く
    • 発信者は位置情報を受け取ったら,そこにかけ始める

*1 Base Station Controller
*2 Radio Network Controller
*3 Mobile Switching Center
*4 Home Location Register
*5 Point Of Interface
*6 Service Control Point
*7 Service Control Point
*8 Personal Digital Cellular
*9 Global System for Mobile Communications
*10 Internet Service Provider
*11 General Packet Radio Service
*12 Asynchronous Transfer Mode
*13 米国TIAのコアネットワーク用規格
*14 PHS Internet Access Forum Standard
*15 home Location Register
*16 Visitor Location Register
*17 Gateway Location Register