鷲田清一 聴くことの力 読書ノート


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哲学のモノローグ

自分の存在とその意識について,あるいは世界の存在と構造について考えること・・・。

答のあるなしを知らないまま,問い続ける。生きる,そして想う。

これまでの哲学はおしゃべりにすぎた。

聴くことの哲学とは自己矛盾ではある。

しかし,話すことは聴かれることでもある。ロゴスを分かち合うことだ。

哲学のスタイル

哲学が用いることばは,言葉の肌触りに無頓着であった。

哲学は人々の中で空間を共有できるか。

いや,哲学は人々の間にあった。自分とそれを取り巻く世界を理解するための知恵の言葉を紡ぎ出す人は哲学者と呼ばれてきた。

かんがえる といういとなみ  考えるとは,物に対する単に知的な働きではなく,物を外から知るのではなく,物を身に感じて生きる経験をいう。

物を外から知るのではなく,身に感じて生きること・・直観・・そのものに直に触れること,その内側から知る。

表現し得ないものと合一するところの共感 ベルグソン

対して,分析とは実在を記号に翻訳すること。外からの認識にすぎない。

他者の面前で交わす言葉が相手に入り込めない。語り切れなさを感じる。哲学もまた語り得ないものを語ろうとする・・・まるで詩人のように。

じぶんは,噛んでも噛んでもかみ切れない論理しか信用しない。