CANALAZZO 6号


CANALAZZO 6号

2006/03/14(火)発行

━━━(1面)【経済】カンディア経済活性化━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今週、カンディアの発展度が41,000を越えたとの報告がもたらされた。(大商戦調べ)
カンディア経済は久々に高度成長の活況を呈している。

事の起こりは、あるポルトガルの大商人を中心とするグループの大規模投資であった。
これが、騒乱直後のカンディアの経済に新風を吹き込んだ。同時にカンディア総督府は、この功績の大なることを認め、寄港するポルトガル人全員に免税特権の付与を発表。これが、本国元老院での論議を呼ぶこととなった。
しかし対応策を協議している最中に、東地中海で行動する商船団が各個カンディアに増資。ポルトガル側と抜きつ抜かれつのじりじりとした接戦を繰り広げ、朝、港に立てられた旗が、夕方にはまた取り替えられるといった状況になっている。
思わぬ好景気の到来に、カンディアの交易所店主の「今宝石が大暴落だよ」の一言すら心なしか明るく、喜びを隠せないようだ。

━━━(2面)【解説】ヴェネツィアの同盟港経営━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

カンディアの外資注入がきっかけとなった発展に対する対応は、元老院でも意見が二分された。

とある有力議員は、
「外資導入による大規模な発展、これこそ重要なのであります。かのベイルート、チュニスの賑わいをご覧なさい。イスタンブールの経済的地位が沈降していく中、益々隆盛を極めようとしているではありませんか。最終的に影響力を保持しつづければ良いのです。むふう」
と鼻息荒く、自説を曲げない。

一方、強硬派の論客も
「これはオスマントルコに港を引き渡すなどという暴論以上に、きわめて深刻である。かのクレタ島は、第4回十字軍遠征の折に獲得した地であり、加えて、東地中海の諸港に通じた通商の要である。これ以上他国の優先権を認めることは、自らの首を絞めるに等しい」
と譲らず、さらに、シリアからエジプトにかけての諸港に西方3カ国の投資が増えていることにも警戒感を示している。

また、視点を広げると、ベンガジは小康状態であるが、サロニカは三分割の危ういバランスを保ち、オデッサにはフランスをはじめとした諸国の大型投資が流入。
西地中海では、南伊でイスパニアとの権益争いが一進一退で膠着状態。
アフリカでも、各国の投資が活性化する中で、サンジョルジュでの優先権が先細りしている。

とはいえ、ヴェネツィアが権益をわずかにでも有する港は20を数え、フランスの15、ネーデルランドの17を上回る。(大商戦より)
これを躍進と見るか無駄な分散と見るかも意見の分かれるところではあるが、最近、アドリア内海交易に活路を見出し、財力の蓄積を図る商人が増えている中、さらなる飛躍のために次の一手をどう打つべきか。
防戦に追われるヴェネツィアの同盟港経営は岐路に立たされている。

━━━(3面)【芸能】テオ様旋風吹き荒れる━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3月11日、謝肉祭の最中、欧州で売り出し中の新進の吟遊詩人、テオドール・クライン氏(25)が、ヴェネツィアに寄港。野外での詩の朗読会を行った。

当日、流浪の貴公子テオ様を囲むファンで、サンマルコ広場は異様な熱気に包まれた。
そんな中、記念の乾杯、お茶会、サンマルコ寺院前での集団肖像画の素描などの様々な交流の後、テオ様が新作の詩を朗読。終了後、万雷の拍手をもって称えられた。
しかしながら、朗読が終わるや、疾風のごとくテオ様は次の港に旅立たれ、ファンの間からは残念がる声も漏れ聞こえた。