CANALAZZO 47号


CANALAZZO 47号

2006/12/05(月)発行

━━━(1面)【国内】東南アジア市場開発計画固まる━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この度、元首直轄の東方市場開発検討小委員会は、 東南アジアへの本格的進出案をまとめ、発表した。
カリカットにコンソラート(領事館)の開設、 ならびにコンソレ(領事、ただし執政官の意も含む)の派遣、 民間活力を利用した市場開拓の推進が柱。
今後、元老院での審議を経て、来週半ばには実施に移される予定だ。
尚、東インド会社設立は、「時期尚早」と見送られ、 そのかわりに公認商会制度の創設による 商会間競争の促進を図ることが織り込まれた。

カリカットにコンソラートを設置することに関して、 記者会見に立ったモチェニーゴ官房長官は、 「東南アジアの市場開発にヴェネツィアから直接コントロールすることは、  効率があまりにも悪いのではないか、  という方向性で一致を見た」と述べた。
開発計画案では、カリカット駐在のコンソレが開発計画を主導し、 その進捗状況を管理、 あわせて東南アジア各港への寄港許可証の発行権限を持つことを想定している。
また、民間活力の利用については、新大陸開拓計画の現況を踏まえ、 「国勢に合わせ、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する」と明記。
新大陸開拓に尽力した市民を中心に先遣隊を募り、 多様なアプローチ方法を示して、メリハリをつけるとしている。

一方で、事前調査によると、マラッカ以東の島嶼部、 マラッカの北に広がる大陸半島部には、 香辛料や染料また未知の食材、未分類の生物、手付かずの遺跡が埋もれており、 また、小国が分立し水上都市が発達している、海上交易が盛んなど、 ヴェネツィアとの親和性があることを指摘。
必ずやヴェネツィアの航海者は受け入れられるであろうと 同盟港獲得の検討も求めている。

━━━(2面)【海外】カラカス開発計画大幅見直し ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

カラカス政庁は、現在、足踏み状態にあるカラカス開発計画について、 修正を行うことを発表した。
今回は、大国に並ぶような強固な都市の建設という当初目標から、 国勢に合わせたものとして、見直しが入るとしている。
「事実上の失敗を取り繕うものではないか」という記者団からの質問に、 担当官は、 「計画の進捗状況をみながら、表面化した不都合について、  各方面の意見を取り入れつつ、“若干”計画に手を入れるものであって、  当初目標を廃棄するものではない」と強調した。
しかしながら、発表された修正案は、 大国との国力差が3ないしは4分の1の ヴェネツィアの国勢にあわせるものであるため、 週明けの計画見直しは、事実上極めて大きくなる見通しだ。

━━━(3面)【社会】バザーとオークション、ヴェネツィアでも成功 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

12月3日、サンマルコ広場で開かれた野外バザーと 2番商館を会場に行われたオークションは、多数の来訪者を集め、 成功裏に終了した。

当日のバザー出展者は40名ほどとなり、 ヴェネツィア市民のほか、各国から集まった。
航海の必需品から各地の珍品まで多様な出展品が サンマルコ広場に所狭しと並べられ、 数多くの来訪者が店先をひやかす姿がみられた。

一方のオークションでは、 最初から伝説の聖剣エクスカリバー(但し、かなり使い古されている)が ご祝儀相場で落札されるなど、大いに賑わいをみせた。
また、時間を経るにしたがって、会場の熱気も高まり、 さる錬金術師に師事した研究成果になる物品や、 希少な紋章が次々に競売にかけられ、 落札金額も5000万デュカートや1億2000万デュカートなどと 跳ね上がっていった。
参加者からは好評を得ており、 主催者は「次回機会があれば行いたい」としている。

━━━(4面)【社会】ヴェネツィア、セビリアに敗れる ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

12月1日、国際アカデミー連盟は、 第三回アカデミー大会の開催地の投票を行い、 次回開催地にセビリアを選出した。
開催は12月9日と10日の予定。
ヴェネツィアはまたも選から漏れた。

今回こそ鉄板と見られていただけに、 落選の報は、招致委員会の責任問題に発展しそうな勢いだ。
また、焦燥に駆られたアカデミー委員のティツィアーノ氏が、

「工作戦で後れを取った。
 イスパニア国王は、私に絵の代金を支払う金はなくとも、
 買収資金はタップリとお持ちらしい」と漏らし、

その後発言を撤回する騒ぎになった。

━━━(5面)【経済】公認商会制度導入へ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

通商五人委員会は、 この度、いままで届出制のもと運営されてきた商会制度について、 一部認可制を取り入れる制度改正を行う方針を固めた。

改正案では、商館を保有する大規模商館に対して 一定の条件と引き換えに認証を与え、 幾つかの特権を付与するとしている。
改正は今週より試験的に導入されるが、 委員会では、制度が浸透した段階でさらに踏み込んだ制度を導入したい構えだ。

この改正案について、経済界からは、

「商会間の自由競争を刺激する」

「商館賃借権の流動化」

と歓迎ムードが漂っているが、 一部の市民団体からは、

「大商会による中小つぶし」

「商会格差の助長」

を懸念する声もあがっている。

━━━(6面)【経済】ヴェネツィア市、ジェノヴァ、アムステルダムと郵便馬車乗り入れで合意 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴェネツィア市はこのたび、 ジェノヴァ、アムステルダム両市と相互に郵便馬車を交換する 交流協定を締結。
今週第一便が出発することになった。

現時点では、乗客も受け入れることになっているが、 両市への直行便のみで途中下車はできない。
見込みでは、 ストックホルムで聞き込んだ美術品の噂を確認にイタリアに調査に来ることや、 ヴェネツィアで調査した彫像の話を北海に確認に行くなどの 冒険者需要があるとされている。

運営を請け負うタクシス家には、 ヴェネツィアの商会運営事務局も出資することになっている。
収支計画では、利用料を比較的安価にすることで、 利用者増と早急の黒字ベース転換に持ち込み、 一部を公認商会への配当金に当てる考えだ。
しかしながら、会員制度を採るため、 目論見どおりの利用者増を見込めるかは、 疑問視する声も上がっている。

=街の声=

「あら、ローマにもミラノにもパリにも行けませんの」(広場の貴族婦人)

「フィレンツェに帰らせてくれ!」(匿名希望の芸術家)

「ちょっとプラハまで修行に行ってみんかね」(通りすがりの自称医者)

「私、何度も言いますがオランダ語ができるんですよ」(リアルトの銀行家)

「ヴェネツィア市内、本当は馬車乗り入れ禁止なんです。
 運河と太鼓橋ばかりで走れませんし、ハァ。
 ゴンドラのほうがよっぽど便利だそうです」(広場の御者)