CANALAZZO 41号


CANALAZZO 41号

2006/10/24(火)発行

━━━(1面)【国際】秋の大嵐、艦隊を覆す━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

10月22日、オスマントルコ艦隊と西欧諸国連合艦隊が交戦状態に突入。
両軍ともに、戦力の逐次投入し、一大決戦へと発展するかにみえたが、 予期せぬ大嵐により両艦隊とも統制が取れなくなり、 一時撤退する格好となった。
(関連記事→2面)

開戦に先立ち、会盟の地シラクサには、 イングランド400隻を筆頭に、ポルトガル・イスパニアが各300隻、 ヴェネツィア、フランス、ネーデルランドがそれぞれ各100隻規模の艦隊を送り込み、 編成された西欧諸国連合艦隊は空前の大艦隊となった。
また、ナポリ、サッサリなど地中海各港に分艦隊が配置され、 その規模は教皇庁の思惑を遥かに上回るものとなった。

各国の猛者の怒号が響く中、開戦に先立ち、 ドン・ファン総司令官が士気を鼓舞すべく、演説を行った。
途中、緊張のあまり「ツタヤ」「ナカムラヤ」など意味不明な言葉を漏らし、 最前列にいる女性兵士を口説きにかかるなどの行動もみられたものの、 「何のために戦われるか」との呼びかけ、 「天の定めし正義は常に我らの側にある」と大義を説き、 全軍の士気を高めることに成功した。

かくして、「よろしかろう」を合言葉に全軍が出撃。
オルセオロ参事官の統括する斥候隊の報告に基き、 東西の各海域へと分かれて進軍を開始した。
しかしながら、オスマントルコ先遣隊と接触直後、 天俄かに掻き曇り、暴風雨が吹き荒れ、艦隊は行動不能に陥った。

暴風雨が猛威を振るうなか、 リスボン、セビリア、ロンドンなどの大聖堂では、 戦勝祈願と天候回復を祈ってのミサが行われた。
またミサに参加しなかったものの中には、 猫神など異教の神にすがるものも現れた。

ほどなくして、神のご加護によるものか天候は回復した。
両軍はバラバラになった艦隊をどうにかまとめ上げ、再び戦端を開いた。
戦況は、トルコ側の深刻な内部対立から、 バルバリア海賊率いるハイレディンが後詰にまわされるという幸運にもめぐまれ、 西欧諸国連合艦隊が優位に進め、トルコ先遣隊を敗走させた。

ついにアリ・パシャ率いる本隊を引きずり出したが、 またしても、史上最大級の暴風雨に見舞われ、 ついには、継戦不可能となり、両軍が一時撤退するにいたった。
両軍ともに、「損害は軽微。本隊は無傷であり、相手は再起不能になった」と 宣伝しながら、艦隊再編を進めており、 整備が完了次第の再進撃を企図している。

━━━(2面)【軍事】連合艦隊首脳陣の指揮能力に疑問の声 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

結成後、即実戦に突入することになった西欧諸国連合艦隊であるが、 その首脳陣を批判する声が高まりつつある。
ドン・ファン総司令官は、年若く経験不足で艦隊指揮もままならない状態で、 補佐役を務める聖ヨハネ騎士団のオルシーニ団長代理についても、 その気さくな人柄を評価する向きも多いが、 一方で軽佻浮薄との批判も巻き上がっている。

ただ、最大の非難はオルセオロ参事官に向けられつつある。
参事官は、ヴェネツィア海軍の快速ガレー艦を主体とする斥候隊を多数編成。
地中海全域に散開させて、トルコ軍の動向を収集し、 全軍に逐次状況を報告していった手腕は疑うべくもないが、 ティレニア海とイオニア海に集中した情報提供は、 艦隊運用の柔軟性を失わせ、多数の遊軍を生み、 トルコ海軍壊滅と逆方向に作用していたのではないかと見る向きもある。

実のところ、出番を奪われた格好となったヴェネツィア海軍首脳の、 「生意気な金髪の若造」に対するやっかみまがいの部分も多いが、 同調する士官も多く、 艦隊再編にも暗い影を落とすことにもなりかねない状況だ。

━━━(3面)【海外】踊るサンジョルジュ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

10月20日、サンジョルジュ港に入港したヴェネツィア使節団は、 サンジョルジュの総督と会談、貿易協定の見直しの交渉に入った。
投入された工作資金はすでに20億デュカートを越えたともいわれ、 イスパニアの介入もあり、長期化の様相をみせている。

10月24日未明の状況では、 「眠れる獅子の咆哮を聞け」とヴェネツィア側が気勢をあげるなか、 イスパニア側も「老猫のわめき」の押さえ込みに躍起になっており、 イスパニアの名だたる富豪たちが相次いで交渉の場に姿を現している。

一時は、諦められた港とみられていたサンジョルジュだが、 また投資の焦点として、列国の耳目を集め、 ヴェネツィアの姿勢を示す場となりつつあるようだ。