CANALAZZO 32号


CANALAZZO 32号

2006/08/29(火)発行

━━━(1面)【経済】通商五人委員会、アドリア沿岸交易所組合に勧告━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

通商五人委員会は、この度、アドリア沿岸交易所組合に対して、ヴェネツィア産の高級品を、著しく市場価格を上回る価格で買い取り、二次転売によって不当な利益を得ているとの調査結果を示し、健全な経済活動を阻害しているとして、是正勧告を行う方針を固めた。

対象となるのは、ガラス器・レース・サテン・ジョーゼット・金細工・美術品などの多品目に渡る。消費者の間では、
「交易所で買うより、ヴェネツィアのギルドに直接発注した方がむしろ割安」
(ベロニカ・フランコ女史談)と以前から問題視されており、一説には天井知らずともいわれる奢侈品相場の沈静化を図る。

一方で、交易所の店主達からは、アドリア海の交易商から異常な仕入れ値での取引を強要されているとの主張もなされており、この方面からも是正措置が取られる予定だ。

これに対し、ヴェネツィア交易商組合からは、

「真っ当な商取引を過度な行政指導によって萎縮させ、
 上向き傾向にあったヴェネツィア経済に冷や水を浴びせる行為」

との懸念が示されている。

━━━(2面上段)【海外】サンジョルジュ交渉難航━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

8月26日、サンジョルジュにヴェネツィア使節団が寄港。
商業権益の割合見直しについて、交渉を行った。
結果として、一時的に譲歩を引き出したものの、直後にさらなる見直しが行われ、実のある成果を上げることは叶わなかった。
しかしながら、僅差の現状を維持することに交渉継続の糸口を見出す向きもあり、今後の行方が注目される。

━━━(2面下段)【海外】パドヴァ大学考古学発掘調査隊、東地中海発掘事業に乗り出す━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

エジプトでのルクソール神殿発掘などで成果を上げた、パドヴァ大学考古学発掘調査隊が、東地中海全域へと活動範囲を広げている。
第一期調査隊は、8月下旬に組まれ、ギリシア・シリア・エジプトなどで数々の神像や遺跡の発掘調査を行い、一定の成果を上げた。

この成果について、調査隊のダヴィデ隊長は

「早急に調査結果をまとめ、秋の学会発表に臨み、
 ひいてはヴェネツィアの学芸振興に真剣に取り組んでいきたい」

とコメントしている。

━━━(3面)【海外】“幽霊船団”討伐される━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ケープの警備艦隊は、8月19日、25日の両日に渡って、“幽霊船団”と呼称される大規模船団の討伐作戦を展開、これを撃破し、喜望峰航路の安全を確保したと発表した。

この討伐作戦には、600名とも700名ともいわれる義勇兵が参加。
淡い燐光を発し、沈めても沈めても何処からともなく現れる船団に恐慌をきたす者もいるなか、喜望峰からアガラス岬にかけての海域において、勇戦しこれを撃破した。

しかしながら、船団壊滅には至っておらず、かの船団は某所にて戦力の再編をおこなっており、「来年には再び跳梁跋扈するかもしれない」との憶測が一部で流れている。

また、当地において指揮に奮励したネーデルランド海軍所属のライアン司令官については、「兵員の士気鼓舞に非常に尽力した」と一部顕彰する動きも出ているが、当人の退役の噂もあり、その去就が注目されている。

━━━(4面)【社会】アリーチェ嬢キャンペーンガールに ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴェネツィア元首官邸は、8月28日、新大陸開拓事業推進活動のキャンペーンガールにリアルト酒場のお手伝い娘・アリーチェ嬢を指名した。

アリーチェ嬢はこれを快諾。
早速、推進活動の一環として、サンマルコ寺院での広報活動と開拓団員募集キャンペーンの陣頭に立っており、ロットを渡しつつ「航海の無事を祈っています」と甲斐甲斐しく声をかける姿にほだされる航海者が続出している。

元首官邸では、今後、8月30日に開拓船団の結成と出航式典を行う予定で、華々しい門出で新大陸事業に弾みをつけたい意向だ。