CANALAZZO 28号


CANALAZZO 28号

2006/07/31(月)発行

━━━(1面)【国際】イスパニア、サンジョルジュに本格的進出?━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このたびのギニア沖海戦の最中イスパニアは、中立国であったヴェネツィアの同盟港サンジョルジュを急襲し占領した。

これに関し、ヴェネツィア政府は、セビリア公使を通じ、中立国を巻き込んだ今回の行動に遺憾の意を表明。
サンジョルジュの解放を求めたが、イスパニア側は、「現地司令部の作戦遂行上の判断によるもの」と説明しながらも、交渉は長引かせるばかりで、結局、会談はなんらの合意も得ないままに物別れに終わった。

31日現在、ヴェネツィア側が西アフリカ交易船団の活躍もあり、サンジョルジュの主導権を取り戻したが、海戦終了後、イスパニア至上主義者と見られる集団がサンジョルジュに恒久的な拠点構築を意図した行動を取っていたとの情報もあり、ぎこちなくも協調関係を築きつつあった両国関係は、ここへ来て、急速に緊張関係をはらんだものになりつつある。

━━━(2面上段)【国際】ギニア沖海戦・葡仏連合軍勝利━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

7月30日、3日間にわたったギニア沖海戦は、ポルトガル・フランス連合軍がイスパニア軍を下して勝利した。

序盤、西軍が有利に進めるものの、2日目後半から終始葡仏連合軍が戦線の主導権をにぎり、3日目の停戦に至った。
結果、ドゥアラの商業権益に若干の変動が見られたものの、葡西の勢力バランスに大きな変化はみられなかった。

━━━(2面下段)【国際】六者協議、東地中海の警備強化に合意━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この度、欧州六者協議において、東地中海の警備強化についての合意がみられた。
これにより、当面、8月末までは私掠船・海賊船の取締りが強化される。
ヴェネツィアにとって、この合意の成果は、東地中海における中小船舶を操る航海者の安全が保障される点が大きい。
反面、西方諸国の大型投資を招き寄せる可能性をはらんだものともなっている。
現にサロニカでは同盟関係を即ポルトガルへと鞍替えするという動きもでてきており、今後多島海海域での他国との経済的衝突という展開も想定しうる状況だ。

━━━(3面)【海外】セヴァストポリでフランスと衝突━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ベイルートでの経済紛争が小康状態を保つなか、フランスとの衝突は現在、セヴァストポリが焦点となってきている。
交渉先となるセヴァストポリのパシャも他のパシャ同様、立場は明快だ。

「異教徒でも構わない。
 より多くの金を積んだもの、それが我らの友人である」

現在、西アフリカなど多方面での対応を迫られる中、ヴェネツィアの投資家にとっては、苦しい判断を迫られている。

━━━(4面)【論説】さあ選挙━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今週末、ヴェネツィアは市民大集会の議長選挙投票日を迎える。
候補者も次々と現れ、選挙公報も貼り出され、今まで、集会に無関心だった層まで巻き込んで、選挙戦は徐々に熱を帯びてきている。

誤解を恐れず表現すれば、集会は、現在ヴェネツィア最大規模の自治組織として機能し、(いささかの混乱も内包してもいるが、)多数の市民(チッタディーノ)の意見交換・合意形成の場として、ある一定程度の存在感のもっていることは否定できない。

一方で、このところ、集会が敷居の高いものになりつつあるように見えるのは気のせいであろうか。

例えば、先日の投資公募の際、「最低100万ドゥカート以上」との意見がでたのは広く一般から投資を集めるという理念とは相容れないように思える。
また、成果にこだわるあまり、異論を持つ人間に非寛容になってはいないだろうか。
人の意見に真摯に耳を傾ける、そんな余裕を失いつつあるようにも見える。

全ての市民から同意を得るなど不可能に近い理想論だ。
自由を尊び独立心旺盛なのもまた、ヴェネツィア人である。
合意に従うも従わないも、参加するもしないも自由な判断のうちだ。
とはいえ、集会には、良き開けた港としての機能を求めたい。
「向かい風の港」「アドリア海の内奥」といわれながらも、多くの航海者を惹きつけ、時に送り出し、時に迎えいれるのが、我らがヴェネツィア港の姿なのだから。

今回の選挙は、荒波に揉まれることになるかもしれない。
だが、一方で多くの市民が求めた一つの帰結だ。
元老院におわす貴族のお歴々には、「所詮は真似事」と嗤われるかもしれないが、一人でも多くの市民が参加し、この集会の向かう先をみていただきたいものである。

そして最後にもう一つ、傍聴席ではお静かに。
これもまたささやかな願いである。