病理学��
２００５年度病理学期末試験９
９） 以下の設問に解答せよ。なお、「簡潔に」とは、概ね解答用紙の３行以内を指す。（各問１０点）
- Ａ．肺癌の４大組織型を日本語と英語で記載しなさい。
- Ｂ．喫煙と深い関係があると考えられている組織型を記載しなさい。
- Ｃ．肺癌を大きく二分した分類があるが、それについて簡潔に説明しなさい。
- Ｄ．胸部腫瘍に伴って発生するHorner 症候群の原因について説明し、主な症状を３つ記載しなさい。
- Ｅ．Myasthenia gravis と深い関係がある胸部疾患の名を英語と日本語で記載し、発症メカニズムに関して知っていることを簡潔に記載しなさい。
- Ｆ．Retinoblastoma の長期follow up で気にするべき疾患として授業で説明した病気を２つ記載しなさい。
- Ｇ．Sentinel lymph node について知っていることを記載しなさい。
Ｈ．Gefitinib（イレッサ）が有効な症例に共通に見られる特徴として、（Ｈ−１）癌のうち、組織型が（Ｈ−２）であることがあげられる。
- Ｉ．Gefitinib（イレッサ）が有効な症例に見られる特徴はEGFR 遺伝子における特徴的な変異であり、この変異によりEGF への応答性が上がる。gefitinib が有効である理由として現在理解されていることを簡潔に記載しなさい。
- Ｊ．通常、がんでは年齢とともに罹患率が上昇するが、女性の乳癌では、ある年代を境に状況が変わる。この年代は（J−１）期であり、（J−２）の状態が変化するためと考えられる。
解答
- Ａ：扁平上皮癌squamous cell carcinoma、腺癌adenocarcinoma、大細胞癌large cell lung cancer、小細胞癌small cell lung cancer(SCLC)
（あと細気管支肺胞上皮癌とか・・・腺癌の亜型って書いてある。ｂｙ ロビンス病理学）
- Ｂ：小細胞癌と扁平上皮癌。
- Ｃ：ＳＣＬＣとＮＳＣＬＣ。小細胞癌かそうでないかで分類する。「実際ほとんどすべてのＳＣＬＣは診断時点で転移があり、したがって手術的治癒の余地がないため。それゆえＳＣＬＣは放射線を加えるにせよ、加えないにせよ化学療法が最善の治療である。一方ＮＳＣＬＣは通常、化学療法に対して反応は悪く、手術に対して治療されるほうが良い。」
- Ｄ：主にC8〜Tｈ12までの交感神経を圧迫、損傷等によって障害することで生じてくる。
原因疾患は多彩で主に上胸部の腫瘍によるものが知られている。
縮瞳、眼瞼下垂、発汗低下など（wikipediaから。ああ、終わった。・・・他のソース探す時間がない・・・。）
- Ｅ：Myathenia gravis（＝重症筋無力症）と深い関係にあるのは縦隔腫瘍のうち胸腺腫である。
重症筋無力症は骨格筋のアセチルコリン受容体に対する自己抗体により神経筋伝達が阻害され、筋力が低下する。胸腺が自己抗体産生の場になっている可能性が示唆され、胸腺摘出述を行うことで改善することが多い。（スライド前半３６）
- Ｆ：retinoblastoma=網膜芽腫。今年（２００６年）はやってないみたいだけど・・・。
- Ｇ：sentinel lymph node：最初に転移するリンパ節で、ここに転移がなければ「多分転移はない」と考える。色素、アイソトープなどを腫瘍周辺に打ち込み、染まったリンパ節である。癌腫の場合、リンパ節転移の有無を知ることは、患者の治療方針を決める上で極めて重要である。
- Ｈ：Ｈ−１肺癌 Ｈ−２腺癌
- Ｉ：ＥＧＦＲの変異はどうしても調べられない。というかわからん。薬理の教科書を見ればわかるかも。
- Ｊ：Ｊ−１更年期 Ｊ−２（内因性）エストロゲン
ロビンス病理学８７９「内因性エストロゲンの過剰、もっと正確には、ホルモンの不均衡が重要な役割を果たしていることはあきらかである」
２００５年度病理学再試験１１
１１） 次の文章の空欄１〜７に入る適切な語句を記載せよ（各１０点）。下線部Ａ、Ｂは正しいものを選び（各５点）、下線部Ｃに関する設問に解答せよ（２０点）。
- ２００１年の統計では、本邦のがん死の中で、肺癌は男性で第（１）位、女性で第（２）位である。
- 肺癌の中で腺癌の占める割合は、（３）性においては半数以上と極めて高い。
- 肺の扁平上皮癌の多くは（中枢・末梢Ａ）側の気管支に発生し、気管支を圧迫することにより生じる（４）がしばしば問題となる。また、癌細胞が産生する（５）はHE 染色でピンクに染まるが、これが主要な成分の（６）と呼ばれる特徴的な丸い構造物が見られることがある。
- 喫煙と深い関係のある肺癌の組織型として（腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌Ｂ）があげられる。
- 分子標的薬gefitinib が有効な症例は日本人に多く見られ、肺癌のうち、組織型が（７）癌のもので、EGFR 遺伝子に特徴的な変異Ｃがあるケースである。 設問：下線部Ｃについて、君が重要と考えるポイントを簡潔に記せ。
解答：
- 男性では、肺がんが１位、胃がんが２位、肝臓がんが３位、以下大腸がん、膵臓がん、食道がん、白血病の順です。一方女性では、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝臓がん、
膵臓がん、子宮がん、白血病、食道がんの順です。男１と女３．
http://www.rea.or.jp/wakaruhon/honbun/No03honbun.pdf#search=%22%E6%AD%BB%E5%9B%A0%E3%80%80%E8%82%BA%E3%81%8C%E3%82%93%22
- ３：女性。あとタバコをすわない人にも出来る。
- 肺の扁平上皮癌は大気管支に好発する。気腔に突出することによって無気肺や閉塞性肺炎を続発する。肺門型が多いため、気管支鏡で発見されやすい。ということで中枢。
- ４：閉塞性肺炎。（あるいは無気肺）
- ５：ケラチン
- ６：癌真珠。（ケラチンが主要な成分）
ロビンスＰ，６２６：組織学的にはこの腫瘍はケラチン真珠や細胞間橋を示す高分化扁平上皮癌から、わずかな扁平上皮の名残のみを残す低分化なものまで様々な形を取る。
- 扁平上皮癌、小細胞癌
- イレッサ（gefitinib）は肺の腺癌の治療薬である。
- ＥＧＦＲexon20の新たなmutation（T790M）によってＥＧＦＲの構造変異がおき、gefitinibが結合できなくなるため、gefitinibに対する耐性が生じる。
ＥＧＦＲのどの変異でイレッサが聞くようになるのか・・・わからん。というかコピーしたスライドが読めない。
２００４年度病理学期末試験１０
１０）がんの分子標的治療について、要領よく簡潔に解答せよ。
解答に際し、trastuzumab（ハーセプチン）、gefitinib（イレッサ）、imatinib（グリベック）などを例にあげて記載してくれても良い。
- （１）君が知っていることを記せ。
- （2）今後、我々はどのようなことができるだろうか。医学生としてではなく、医療に関わる者として、何ができるか、可能性考えて解答して欲しい。
２００４年度病理学再試験５
５．授業で習った肺癌の主要な組織型を英語と日本語で記載し、それぞれの病態について知っていることを記せ。ロビンス病理学Ｐ，６２４〜６３０から。
まず小細胞癌か非小細胞癌かで（ＳＣＬＣかＮＳＣＬＣかで）わける。ＳＣＬＣは転移あり、化学療法が有効。ＮＳＣＬＣは化学療法に対して反応悪く、手術によって治療。扁平上皮癌、小細胞癌は喫煙と強い関連性を持っている。ＮＳＣＬＣはＳＣＬＣよりも予後がよく、非小細胞癌（扁平上皮癌、腺癌）は転移や局所の広がりに先立って見つけられ、治癒は葉切除や肺切除によって可能である。これに対し小細胞癌はたとえ原発巣が小さく限局していても、発見されたときにはすでに広がっている。化学療法に対して非常に感受性が高いが、ほとんど再発し、平均生存期間は治療しても１年である。
扁平上皮癌squamous cell carcinoma ・・・女性よりも男性にはるかに多く、肺門側の太い気管支に発生しやすく、後に所属肺門リンパ節に広がる。
腺癌 adenocarcinoma ・・・肺の末梢側に見られる。
大細胞癌 large cell carcinoma ・・・早い時期から遠隔転移を起こす傾向があり、予後不良。
小細胞癌 small cell carcinoma ・・・授業で習った肺癌の主要な組織型を英語と日本語で記載し、それぞれの病態について知っていることを記せ。
２００３年度病理学期末試験１０
10. がんの分子標的治療について、要領よく簡潔に解答せよ。
- １）君が知っていることを記せ。
- ２）医学生としての自分の考えることを記せ。
- なお、Trastuzumab（ハーセプチン）、Gefitinib（イレッサ）、Imatinib（グリベック）などを例にあげて記載してくれても良い。
解答：
１、主に癌遺伝子産物を標的として、機能を抑制することを主眼とする。方法として、以下のようなものが現在使われている。
・抗体を用いる。
・遺伝子産物の機能抑制
使用される薬物には以下のようなものが有る。
- trastuzumab（ハーセプチン）ErbB2/HER2/neuに対するmonoclonal抗体。
- gefitinib（イレッサ）肺の腺癌の治療薬。致死性の間質性肺炎を起こす（５％ほど）という問題点がある。
- imatinib（グリベック）ＢＣＲ−ＡＢＬのtyrosin kinase活性部位のＡＴＰ結合部位に競合的に結合して作用を抑制する。C-kitに対しても競合的に作用する。
薬理の教科書にも分子標的治療薬は載っている。
- イマチニブ：慢性骨髄性白血病で見られるbcr-abl転座によるfusion geneが作るＢＣＲ−ＡＢＬはconstitutiveなチロシンキナーゼ活性を示す。イマチニブは細胞増殖とその生存に必須のチロシンキナーゼを抑制する新しいタイプの抗癌剤である。
- ゲフィチニブ：上皮成長因子受容体チロシンキナーゼepidermal growth factor receptor tyrosine kinaseの阻害薬（ＥＧＦＲ−ＴＫＩ）で、癌細胞増殖に関与するシグナル伝達を遮断する。経口投与で用いられ非小細胞肺癌に有効。
２０００年度病理学期末試験３
3. 一般に喫煙者肺癌患者の予後は不良であると言われている。これに関して以下のような点が考えられている。
- 1）肺癌そのものの特徴。
- 2）長期間の喫煙に由来するもの。
- 3）治療に随伴する患者の生理学的状態。
これらの点について君が知っていること，考えたことなどを述べよ。
解答：
- １：ロビンスＰ，６３０
非小細胞癌（ＮＳＣＬＣ）は小細胞癌（ＳＣＬＣ）よりも予後は良い。非小細胞癌（扁平上皮癌、腺癌）は転移や局所の広がりに先立って見つけられ、治癒は葉切除や肺切除によって可能である。
これに対して小細胞癌は化学療法に対して非常に感受性があるが、ほとんど再発する。その平均生存期間は治療しても１年である。
- ２：ロビンスＰ，６２５、Ｐ，６２６
肺癌の約９０％は現在喫煙している人、あるいは喫煙して間もない人に発生する。肺癌の頻度とタバコの箱の数―年数との間にはほとんど直線的な関係がある。
肺癌の主要な組織型の中で、扁平上皮癌と小細胞癌は喫煙と最も強い関連性を持っている。
- ３：ロビンスＰ，６３０ 約３−１０％で明らかに見られる。ということははっきりしないけれど症状はある患者がいるのか？
腫瘍随伴症候群
- 高カルシウム血症（ＰＴＨの分泌によって生じる）
- クッシング症候群（ＡＣＴＨの産生過剰による。）
- 抗利尿ホルモン分泌不全症候群
- 筋無力症、末梢ニューロパチーなどの神経筋症状
- ばち状指と肥大性肺性骨関節症
小細胞癌で多く見られる。
- 遊走性血栓性静脈炎、非細菌性心内膜炎、番種性血管内凝固症候群（ＤＩＣ）などの
血液学的異常
- 腺癌で多く見られる。
つまり「喫煙は生存期間１年以下の悪性度の高い癌（小細胞癌）を誘発するため」。
by ああああ
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