病理学��
１．（1）WHO分類において骨髄増殖症候群に含まれる疾患名のうち、代表的な4つを記載しなさい。
（2）病理組織学的観察でホジキンリンパ腫と診断するために必要となる定型的なReed-Sternberg細胞をわかりやすく図示し、その形態学的な特徴をすべて記載しなさい。
（2005年病理学 小テスト２−１）
解答１、骨髄増殖症候群＝慢性骨髄増殖性疾患（ロビンス病理学）
- １、慢性骨髄性白血病
- すべての症例でPh(Philadelphia)染色体という独特な染色体異常に関連がある。これは、通常第22番染色体の長腕が、第9番染色体の長腕に相互転座したもの。CMLの細胞起源は多潜能性幹細胞である。すべてのCMLでは、BCR−ABLのキメラ遺伝子はBCRの部分とABLのチロシンキナーゼの領域から構成される融合たんぱく質をコードする。この融合たんぱく質は抑制が効かないチロシンキナーゼ活性増強をもたらす。
- ２、真性多血症
- 単一の腫瘍性幹細胞由来の赤血球系、顆粒球系、巨核球系のすべての過剰増殖が見られる。真性多血症は血清中のエリスロポエチン値は低値で、赤血球系肝細胞の腫瘍性増殖はエリスロポエチンに非依存性である。
形態学的特徴
赤血球増多症による血液量の増加と血液粘調度の上昇、血流停滞の結果、血栓や梗塞が生じやすくなり、これらは、心、脾臓および腎にも多く出血が見られる。
- ３、骨髄線維症を伴う骨髄化生
- 組織学的変化・・・髄外造血巣の主な部位は脾臓である。通常高度に腫大し、時には４０００gに達する。正赤芽球、顆粒球系前駆細胞、および巨核球の三系統細胞の増殖がある。しかし、数が増加して奇怪な形態を示す巨核球が目立つことが多い。
肝は中等度に腫大し、髄外造血巣が見られる。組織学的に、リンパ節にも髄外造血巣が見られるが、それは腫大をきたすほどにはならない。
（以上、ロビンス病理学ｐ、５５２から）
- ４、本態性血小板血症（シンプル病理学ｐ、２２８）
- 骨髄性造血幹細胞レベルの異常による腫瘍性増殖性疾患で、著しい血小板増加（60万/ ul 異常）を特徴とする。高齢者に好発し、出血症状（紫斑、鼻出血）、血栓症状（深在性静脈血栓、脳梗塞、心筋梗塞）、脾腫などの臨床症状を認めることが多い。
- 急性白血病は分化の異常である。すなわち、幼若な白血病細胞が成熟できず、幼若な細胞が骨髄の大半を占める。
- それに対し、慢性白血病は増殖の異常である。すなわち、白血病細胞が十分な成熟能を持ち、骨髄は種々の成熟段階の白血病細胞で占められている。
（２）ホジキンリンパ腫の病理組織学的特徴は、Reed Sternberg細胞（RS細胞）が観察されることである。
RS細胞はとりわけ特徴的なのは、二つの核が鏡像のように併存し、おのおのが大型（封入体様）の好酸性核小体を有し、その周囲は独特な明暈（halo）で囲まれており、ふくろうの目のように見えることである。核膜は明瞭である。
９）（1）t(8；14)(q24；q32)という染色体転座様式で代表される悪性リンパ腫の亜型について，各設問に答えなさい．
（a）この亜型の名称、及びphenotype上の特徴を述べよ。
（b）この亜型において、8q24部位に存在して上記の転座に関わっている遺伝子の名称は何か。
（c）その8q24部位の転座相手の遺伝子の名称は何か。
（2）WHOによる急性骨髄性白血病分類（2001年）について各設問に答えなさい。
（a）予後が最も良好な型の染色体異常について、染色体番号と切断部位を表記規則に従って記載しなさい。
（b）固形腫瘤を形成しやすい型の染色体異常について、染色体番号と切断部位を表記規則に従って記載しなさい。
（c）「AML with t(15;17)(q22;q11)」と表記されている疾患名を、英文または日本語表記のいずれかで記載しなさい。
（２００４年病理学小テスト ９）
解答（１）
- (a)
- ・・・phenotype = immunophenotype 免疫学的表現型のこと。t(8;14)(q24;q32)はバーキットリンパ腫Burkit Lymphoma である。免疫学的表現型は、「本腫瘍はB細胞性であり、細胞表面はIgM、CD19のような汎B細胞マーカー、また、CD１０抗原が陽性である。」（ロビンスP,５３８）
- (b)
- ・・・MYC
- (c)
- ・・・IgH遺伝子
「バーキットリンパ腫は第8染色体上のMYC遺伝子を巻き込む転座と強い関連がある。ほとんどの転座はMYCと第14染色体上のIgH遺伝子とが融合するものであるが、変わったものとしては第2と第22染色体のおのおのの上にあるκあるいはλ軽鎖の座相互の間の転座もある」。（ロビンスｐ、５３８）
（２）
- (a)
- 予後が最も良好なのは低危険群の核型異常（t[8;21]、inv[16]）を伴うAMLである。
t[8;21]はM2。・・・骨髄芽球と前骨髄球が主体である。大部分の症例でアウエル小体が存在する。
inv[16]はM４。・・・顆粒球と単球の両者に分化し、顆粒球はM2のものに類似する。抹消血中の単球が増多する。
- (b)
- 固形腫瘤を形成しやすいのは？（わかんない）
M3:胞体内に多数のアズール顆粒を有する前骨髄球の増殖。核型は不整である。DICを高度に合併する。
DICとは・・・「種々の疾患において全身の小血管に微小血栓が生じる状態を言う。その進行過程とは、血管内皮細胞の傷害あるいは血栓形成因子の放出→微小血栓形成→血小板減少と凝固因子の消費→線維素溶解機構が亢進→出血傾向（消費性凝固傷害consumption coagulopathy）が見られる。一方では血栓形成のため臓器の虚血、拘束を引き起こす。」
- （ｃ）
- M3 acute promyelocytic leukemia 急性前骨髄性白血病
解説・・・顆粒球の分化について。
1. 濾胞性リンパ腫について、光顕レベルでの形態学的性状・免疫学的表現型・染色体異常・遺伝子異常の4点を、他の亜型とは異なる特徴的な事項を記しなさい。
（２００３年病理学中間試験１）
解答：
- 形態学的特徴
- リンパ節は、弱拡大でもはっきりわかる結節状外観を呈して増殖する腫瘍細胞によって置換されている。多くの場合、腫瘍細胞はほとんどcentrocyte様細胞である。Centrocyte様細胞は、切れ込みのある角張った核の輪郭を示し、核クロマチンは粗大で濃縮しており、核小体は不明瞭である。
Centrocyteは、もっと大型で休止期のリンパ球の３〜４倍の大きさを持つ、centroblast様細胞といろいろな比率で混在している。Centrocyteは、核クロマチンは小胞状で数個の核小体をもち、正常な胚中心に認められる分裂活性の高い細胞に類似している。
- 免疫学的表現型
- 胚中心細胞起源の腫瘍であるため、これらの腫瘍細胞にはCD１９やCD２０のような汎B細胞性マーカーが陽性であり、また多くの症例ではさらにB細胞性の一部に限定されたマーカーであるCD１０が陽性となる。加えて、腫瘍細胞ではBCL２蛋白質を発現しており、BCL２陰性の正常な胚中心B細胞との鑑別上、重要な特長となっている。
- 染色体異常
- ｔ(14；18)すなわち１４番染色体と１８番染色体の転座がある。１８番染色体の切断点は18q21を含んでおり、同部にはアポトーシス抑制遺伝子BCL２が存在する。この転座はBCL２蛋白質の過剰発現を引き起こす。
11. 急性白血病のFAB分類におけるM2（WHO：AML with maturation）、 M3（WHO：acute promyelocytic leukemia）の腫瘍細胞について、それぞれの形態学的特徴を述べ、後者についてはその染色体異常の様式も記せ．
（２００３年病理学再試験１１）
解答・・・
- M0：ごくわずかに分化した急性骨髄性白血病
- M1：分化傾向のない急性骨髄性白血病
- 非常に幼弱な骨芽球主体で少数の顆粒あるいはアウエル小体が存在する。Ph染色体が１０〜１５％存在する奨励は予後不良である。
- M2：Acute myeloid leukemia with maturation
- 骨髄芽球が３０％以上で、前骨髄球以降の顆粒球系細胞が１０％以上である。染色体異常の様式はｔ（８：２１）。（プリントから）
大部分の症例でアウエル小体が存在する。
- M3 : Acute promyelocytic leukemia
- 胞体内に多数のアズール顆粒を有する前骨髄球の増殖で、核型が不整である。DICを高度に合併し、染色体異常の様式はｔ（１５；１７）。（プリントから）しばしば多数のアウエル小体あり。腎形あるいは二分葉状の核型を示す。
- M4:急性骨髄単球性白血病
- 顆粒球と単球の両者に分化する。顆粒球はM2のものに類似し、抹消血中の単球が増加する。
逆位１６あるいは１６ｑ欠失の存在は予後良好である。
- M5:急性単球性白血病
- 単芽球（ペルオキシダーゼ陰性、エステラーゼ陽性）と前単球が主体である。通常子供や若年者に発症し、一般に歯肉浸潤が見られ、染色体11q23の存在は予後不良である。
- M6:急性赤白血病
- M7:急性巨核球性白血病
7. A）State histological and phenotypical characterization of Hodgkin lymphoma emphasizing those characteristics which are different from "non-Hodgkin lymphoma" (answer in Japanese).
B）State one representative detailed subtype of leukemia or lymphoma which is highly associated with each cytogenetic abnormality in (1) to (5).
(1) t(9;22)(q34;q11)
(2) t(14;18)(q32;q21)
(3)(11;14)(q13;q32)
(4) t(8;14)(q24;q32)
(5) t(15;17)(q22;q21)
（２００２年病理学中間試験 ７）
解答
A) ホジキンリンパ腫の組織学的、免疫学的表現型の特徴を、非ホジキンリンパ腫との違いを強調して述べよ。
- 病態の違い。
| ホジキンリンパ腫 | 非ホジキンリンパ腫 |
| 単一リンパ節群に限局 | 複数の抹梢リンパ節内に浸潤する。 |
| 通常連続的に進展 | 非連続的に進展 |
| 腸間膜リンパ節やWal-deyer輪が侵されることはまれ。 | Waldeyer輪や腸間膜リンパ節が侵される。 |
| 節外性浸潤はまれ。 | 節外性浸潤もする。 |
- 組織学的特徴の違い。
- RS細胞が存在する。RS細胞とは、
- 豊かな通常弱好酸性の細胞質を有する。
- いくつにも分葉した核あるいは多核を持ち、大型、円形の核小体を有している。
- 2つの核が鏡像のように存在する。
- おのおのが大型（封入体様）の好酸性核小体である。
- 独特な明暈(halo)で囲まれている。
- それらがふくろうの目のように見える。
- 核膜は明瞭である。
- 免疫学的表現型の違い。
- わからん。かいてない。
B) 以下の１〜５について、細胞質遺伝子の異常に強く関連する、代表的な白血病またはリンパ腫を述べよ。
- １、慢性骨髄性白血病
- ロビンスP、５５０ 前に書いた。
- ２、濾胞性リンパ腫
- リンパ節は、弱拡大でもはっきりわかる結節状外観を呈して増殖する腫瘍細胞によって置換されている。多くの場合、腫瘍細胞はほとんどcentrocyte様細胞である。~Centrocyte様細胞は、切れ込みのある角張った核の輪郭を示し、核クロマチンは粗大で濃縮しており、核小体は不明瞭である。
Centrocyteは、もっと大型で休止期のリンパ球の３〜４倍の大きさを持つ、centroblast様細胞といろいろな比率で混在している。Centrocyteは、核クロマチンは小胞状で数個の核小体をもち、正常な胚中心に認められる分裂活性の高い細胞に類似している。
ロビンスP、５３５
- ３、マントル細胞リンパ腫
- 組織学的特徴
- 腫瘍細胞は正常のリンパ球よりもやや大きく、核は不規則な切れ込みを示し、核小体は不明瞭である。骨髄浸潤があり、２０％の症例は発見時に白血化している。特徴的な傾向として、消化管にしばしば浸潤することがあり、時には肉眼的にポリープに似た多巣性の粘膜下結節（リンパ腫様ポリープlymphomatoid polyposis）の形を取る。
- 免疫学的特徴
- 腫瘍細胞は通常、細胞表面にIgMとIgD、汎B細胞抗原のCD19、CD２０、CD２２および（CLL／SLLのように）CD５を共発現している。マントル細胞リンパ腫は、増殖中心から欠如することとcyclinD1蛋白質の異常な高発現の存在によってCLL／SLLと区別する。
ロビンスP、５３６
- ４、バーキットリンパ腫
- ロビンスP、５３８
- 組織学的表現型
- 腫瘍細胞は単調で、その大きさは小リンパ球と大型非切れ込み核を持った細胞との中間である。核は円形あるいは卵円形であり、２〜５個の明瞭な核小体を有する。細胞分裂指数が高いことが、この腫瘍の大きな特徴であり、死滅細胞も多いので、核片を貪食したマクロファージが多数認められる。
- 免疫学的表現型
- 本腫瘍はB細胞性であり、細胞表面はIgM、CD19のような汎B細胞性マーカー、またCD１０抗原が陽性である。
- ５、急性白血病 M３。
- ロビンスP、５４９．
Acute promyelocytic leukemia 胞体内に多数のアズール顆粒を有する前骨髄球の増殖が見られ、核型は不整である。
3. Answer the followings.
1) The patient, 56 year old male, was found to have a monoclonal hyperganmmaglobulinemia (IgG/kappa type) and Bence-Jones protein in urea. This microphotograph shows the histology of the patient’s bone marrow.
In English or Japanese,
(A) describe at least two cytological features in the neoplastic cells and
(B) provide a diagnosis of the patient.
2) Select one and only one disease/subtype from those listed in (a) - (j) and match it with the feature listed in (1)-(10), with which it is most associated.
(a) myelofibrosis
(b) follicular lymphoma
(c) chronic myelogenous leukemia (CML)
(d) acute myeloid leukemia
(e) sarcoidosis
(f) mantle cell lymphoma
(g) Burkitt lymphoma
(h) thymomas
(i) myelodysplastic syndrome(MDS)
(j) Hodgkin lymphoma
(1) t(9;22)(q34;q11)
(2) t(14;18)(q32;q21)
(3) t(11;14)(q13;q32)
(4) t(8;14)(q24;q32)
(5) extramedullary hematopoiesis
(6) 5q- cytogenetic abnormality
(7) asteroid body in multinucleated giant cell
(8) single cell PCR analysis using CD30+ cells
(9) Auer body (Auer rod)
(10) CD4+CD8+ immature/precursor T lymphocyte
（2001年病理学期末試験３）
解答
１、Bence−Jones proteinは形質細胞腫によって産生される異常な蛋白である。そのため、腫瘍細胞は以下の特徴が挙げられる
- 車軸状の*1核を持った形質細胞が多く見られる
- 異常な免疫グロブリンを産生する
２、(a)5 (b)2 (c)1 (d)9 (e)8 (f)3 (g)4 (h)10 (i)6 (j)7
試験問題
1年生
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3年生
4年生
6年生
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