組織学（各論）
神経内分泌について解剖組織学的に記せ。（９９，９８、９５）
下垂体は由来を異にする腺性下垂体、神経下垂体とに分けられる。腺性下垂体は口咽頭膜の直前にある口窩の陥凹、すなわちラトケ嚢に由来し、隆起部前葉、中間部、から成る。
神経性下垂体は脳底のラトケ嚢と接した部分が漏斗突起となり、その先端がふくらみ、後葉となった部分より成る。腺性下垂体は数種類の腺細胞が集まって細胞索をつくりその間に毛細血管を伴う疎性結合組織が介在している。一方神経下垂体は、神経細胞が分泌物を生産し、分泌を行う。このことを神経分泌という。
まず、後葉を形成しているものは視床下部の神経細胞から到来する神経突起（無髄神経線維）と、散在するグリア細胞である。グリア細胞を後葉細胞とよぶ。後葉から出されるホルモンとして、オキシトシン（子宮を収縮する作用）、バソプレッシン（血圧上昇作用と抗利尿作用）がある。後葉ホルモンを産生する視床下部の神経細胞群は、視索上核と室傍核である。視索上核は視交叉から視索の上面に向かって存在し、室傍核は第３脳室の外側壁に位置する。ともにやや大型の神経細胞の集団で豊富な毛細血管の分布を受けている。一般の神経細胞と同じようにニッスル小体がよく発達している。この２つの神経細胞から後葉の血管壁まで神経線維が走っていて、ところどころで大きいふくらみを作っている。これはへリング小体という。電顕で見ると、これは神経細胞で作られた顆粒の集積であることがわかる。このことからも視床下部の視索上核と、室傍核で後葉ホルモンがつくられていることが言える。後葉で、神経終末は洞様毛細血管の周囲に終わっている。血管周囲に細胞繊維網がよく発達しているが、電顕では血管周囲腔としてみえる。ここに組織液が流れている。後葉ホルモンは、神経終末からここついて、毛細血管に入る。ここから全身にホルモンがまわることになる。
各Ｐ３０６〜３０７、Ｐ３１６〜３２１
肝臓において肝細胞以外の主要な細胞について。（９７，９４）
まず、主要な細胞としてあげられるのが洞様毛細血管壁を構成する３つの細胞、即ち内皮細胞、クップェル細胞、ピット細胞がある。このほかには、ディッセ腔に存在する伊東細胞がある。洞様毛細血管の内皮には多数の大小様々な窓が開いている。血漿はこの窓を通じて自由に出入りをし、肝細胞との物質のやりとりを可能にしている。窓の大きさは径１〜３マイクロメートルほどの大きな窓と、１００ナノメートル以下の小さい窓も見られる。小さい窓同志、大きい窓同志、かたまってみられる傾向がある。血管内
皮の所々にふくらんで星状に突起を出す細胞が散在する。これがクップェル細胞とよばれている。この細胞は粗大な異物を食べ込む能力を持つ大食細胞である。それを裏打ちするように、細胞質中に大小の水解小体や食べ込み小体を含む。しばしば赤血球やその破片などの巨大な物体も食べ込んでいる。
また粗面小胞体がよく発達している。走査顕微鏡で見ると表面が大食細胞に特有の不規則な触角状の微小突起でおおわれていている。赤血球を食べこんで、胆汁色素の材料となるヘモグロビンを肝細胞に渡す。
ピット細胞は、異質の細胞、特に腫瘍細胞に対して直接に傷害作用するリンパ球（ナチュラルキラー細胞）である。細胞質突起を出していること、球形の暗調顆粒と杆状の芯を持つ顆粒が特徴的である。球形の顆粒には水解酵素や細胞傷害物質（パーフォリン）を含み、腫瘍細胞などを処理し、生体の防御に働く。洞様毛細血管と肝細胞の間には腔があり、ディッセ腔とよばれる。ここに伊東細胞が存在する。伊東細胞は脂肪とビタミンAを取り込む。人や動物に脂肪を多く与えると、この細胞が丸くなって多量の脂
肪滴を持つようになる。この細胞は扁平な突起をヒトデのように伸ばし洞様毛細血管の内皮を裏から補強しているようにみえる。
皮膚の樹状細胞について述べよ。（９３，９１）
皮膚には層構造を作るケラチノサイトという角質産生細胞のほかに、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞がある。このうち樹状突起を持つ細胞は、メラノサイトとランゲルハンス細胞の二つである
ケラチノサイトの層構造のうち一番基底層側にあるのが胚芽層(基底層)である。ここにケラチノサイトのほかに樹状突起を持った細胞がある。これがメラノサイトである。メラノサイトはメラニンを産生する細胞である。メラノサイトは血管からチロシンというアミノ酸を受け取り、それをDOPAに、さらにDOPAをメラニンに変える。この一連の反応はチロシナーゼという酵素によって行われる。メラノサイトはこの酵素を自身の中に含んでいる。電顕（←いらないかも）でみると、メラノサイトの細胞質中には長球形の暗調顆粒がある。あるものは横紋を持つフィラメントを含み、あるものは真っ黒で構造が見えない。後者がメラニンを蓄えるメラニン顆粒、前者はその前段階である。チロシナーゼはこの顆粒そのものの中にあってメラニンの産生をすすめて行くのである。ケラチノサイトの胚芽層には、メラニンの粗大な顆粒を持つ細胞があるが、ケラチノサイトはメラニンを産生する能力はない。これらはメラノサイトの先端を食いちぎり、水解小体により、メラニン顆粒は細胞内に拡散し、蛋白部分だけ分解されて、メラニンそのものは残る。
また紫外線はメラノサイトのメラニン形成を刺激し、照射後一両日で多量のメラニンが胚芽層、有棘層の細胞に分配される。メラノサイトは神経提由来で、発生初期に全身の皮膚に迷走する。メラノサイトは他にも、脳軟膜脈絡膜、虹彩にも移動する。次にランゲルハンス細胞についてであるが、この細胞は有棘層の上半部に存在し、抗原提示能力を持ち、一種の大食細胞であるといえる。表皮に抗原細胞が侵入すると、ランゲルハンス細胞がレセプターによりそれを取り込み、細胞は局所リンパ節に移動して抗原情報をリンパ球に伝達する。ランゲルハンス細胞は大食細胞と同じように間葉性由来である。
各.378〜390
腎臓での原尿生成の場の組織学的構築について図示して説明せよ。
腎臓の皮質には、腎小体が存在する。腎小体は糸球のような毛細血管の集団である。糸球体とそれを包む袋であるボウマン嚢からなる。ボウマン嚢は尿細管とつながっており、その移行部を腎小体の尿管極、その反対を血管極という。糸球体を構成する毛細血管は窓あき毛細血管で、内皮細胞には無数の穴が存在し、外側には基底膜を介してたこ足細胞が巻きついており、終足は互いに狭い隙間を隔ててかみ合い、その突起の間には、スリット膜がはめられている。内皮細胞の小孔、基底膜、たこ足細胞終足のスリット膜をまとめて血液尿関門といい、糸球体の毛細血管を流れる血液の血漿成分はこの関門を通って、単純な限外ろ過によって濾されて、原尿となり、ボウマン嚢を経て尿細管に達する。
腎臓の尿生成以外の機能について、その組織学的所見を述べよ。（９３，９２）
腎臓は尿を生成する以外にも、内分泌器官としての働きもある。尿は腎臓の中に存在する腎小体でつくられる。腎小体は、糸球体という血管が糸だまになったものと、それを取り巻く、ボウマン嚢というものから成り立っている。血管が糸球体とつながっている部分は血管極といい、糸球体に入る動脈は輪入細動脈という。この輪入細動脈が血管極に入る直前で、血管の中膜の平滑筋細胞がやや大きい球状、ないしは立方状の上皮様細胞がある。これが二三層に盛り上がっている部分もある。他にも、動脈壁から離れ、結合組織の中に存在することもある。これらの上皮様組織をまとめて糸球体傍細胞という。この糸球体傍細胞からレニンという蛋白分解酵素が分泌される。これはその働きから、血圧を上昇させる一種のホルモンであるといえる。レニンはまず血中のアンギオテンシノゲンをアンギオテンシン�気吠僂┐襦�これはさらに血中の転換酵素の作用を受け、アンギオテンシン�兇箸覆襦�これは副腎皮質の球状帯細胞に働き、アルドステロンの産生を刺激する。
アルドステロンは電解質コルチコイドの中で最も強力なものである。腎臓の尿細管の細胞に働きNaイオンの再吸収を促す。この結果、血流量が増加するので血圧が上昇する。このように腎臓は自らホルモンを分泌し恒常性を維持している。
各P.201〜202,P.217〜219,P.358〜359
卵胞成熟過程について、女性ホルモンとの関係も含めて、記せ。（９９）
原始生殖細胞は胎生早期（胎生５週間）に卵巣の外から中に進入してきて、卵祖細胞となる。卵祖細胞は胎生期間中に盛んに分裂し、数を増やし、出生の前に最後の分裂を行って、すべてが一次卵母細胞となる。幼若な一次卵母細胞はその表面をいっそうの扁平な卵胞上皮細胞で包まれている。幼若な一次細胞とこれを包む卵胞上皮をまとめて原始卵胞という。出生時には一側の卵巣に約２０万個の一次卵母細胞が、この原始卵胞という形で存在している。原始卵胞はこの状態で思春期を過ぎるまで十数年以上もの間発育を止めてしまう。思春期になって脳下垂体前葉から卵胞刺激ホルモンの分泌が始まると、それに刺激されて、原始卵胞のいくつかが発育をはじめる。まず卵胞上皮細胞が分裂、増殖をはじめ、単層立方上皮からさらに多層の上皮となる。これを二次卵胞という。二次卵胞になると、卵母細胞も大きくなり、その細胞の周りには粘液多糖類からなる透明な膜（透明帯）で覆われるようになる。一方で、卵胞の周囲の結合組織（線維芽細胞と膠原細胞）が卵胞を同心円状に取り巻いてきて、卵胞膜を形成する。二次卵胞はさらに発育を続け、卵胞上皮細胞はどんどん増殖して、大きな卵胞となってくる。それにつれて、卵胞上皮の上皮細胞間に、液体で満たされた空所が何箇所か現れ、これがやがて集まってひとつの大きな液腔となる。このように大きな液腔を持つようになった卵胞は成熟卵胞ないしグラーフ卵胞と呼ばれる。グラーフ卵胞では卵胞膜も厚くなって、内外に沿うが区別できるようになる。内層の内卵胞膜は上皮様の特殊な細胞に富み、毛細血管がよく発達している。外層の外卵胞膜は膠原線維に富んでいる。内卵胞細胞はテストテロンを分泌し、卵胞上皮細胞によってエストロゲンに転換される。
視神経細胞と嗅神経細胞の細胞生物学的相違点。（９７）
視神経は中枢神経の一部なので、シュワン鞘が無く神経膠細胞がある。これらの視神経線維が集まって周りを結合組織に包まれ、線維束を作る。これがあつまって視神経が作られている。一方、嗅神経は無髄で、線維の間には神経膠細胞の細胞質が介在する。樹状突起、軸索のいずれにも神経細管、神経細線維があるが、神経細管は樹状突起にはるかに多い。核周辺部に見られるような細胞内器官には乏しい。
皮膚と消化管粘膜上皮における外敵からの防御について。（９７）
皮膚ではランゲルハンス細胞が主にこの働きをする。IgG-FCレセプターC3レセプターIa抗原があり、抗原提示能力を持つ。大食細胞の一種であり、表皮に抗原物質が侵入するとランゲルハンス細胞がレセプターによってそれをとり込み、細胞は局所リンパ節に移動して抗原情報をＴリンパ球に伝達する。ランゲルハンス細胞は大食細胞と同様間葉性由来である。
粘膜では、粘膜固有層に大食細胞などの自由細胞やリンパ管が存在する。また小腸では所々にリンパ球が集まって孤立リンパ小節を作っている。リンパ小節の集まりを集合リンパ小節とよぶ。これらのリンパ節は、生体に異質な物質に対する防衛反応として生じた抗体産生巣である。これらの小節の上にはＭ細胞がモザイク状に存在し、M細胞と大食細胞、リンパ球が互いに基底膜を貫通し接触しあっている。M細胞は細菌、ウイルス、抗原性高分子を取り込むが、水解小体を欠くので、分解することはなく、細胞の下面から放出し、リンパ球などに抗原情報として与える。このM細胞は大腸にも見られる．
各P.390、138
聴覚神経インパルス伝達の最初の場所について。（９６）
聴覚を司る内耳のらせん器にある有毛細胞は蝸牛神経の終末とシナプスを作っている。終末にはシナプス小胞を持つものと、持たないものがある。前者は下行性（遠心性）後者は上行性、（求心性）である。上行性線維は聴覚を求心性に伝えるもので、らせん神経節の神経細胞の樹状突起にあたる。また、蝸牛管に分布する神経線維は、らせん器の最内側に来て、主に内有毛細胞に分布する細い放線線維とらせん器に到達した後、らせん状に分かれ主に外有毛細胞に分布するらせん線維の二つのグループに分けられている。この上行性線維は神経孔を通って骨らせん板に入る。骨らせん板の基部の中にその細胞群体があり、らせん神経節という。この細胞から出た神経突起は蝸牛軸縦管の中を通って蝸牛底に進み、らせん孔を通って内耳道底に出て、前庭神経とあわさって内耳神経となる。このようにして、有毛細胞の興奮が伝達され、聴覚が発生するのである。
各P.473,6
ニューロンとペプチドホルモン産生細胞の構造上の差異（９４）
神経分泌ニューロンはある意味では特殊化しているが、通常のニューロンの電顕、光顕的特徴は有している。つまり、神経細糸や神経細管を含む細胞内小器官と、軸索の中心から末梢への輸送を呈している。違う点というのは、神経分泌顆粒を含む軸索は他のニューロンのように軸索や樹状突起、効果器細胞ではなく、血管周囲腔に面するという点がまず上げられる。その分泌物は血管周囲腔に分泌小胞のエキソサイトーシスによって放出され血管腔に運ばれ血管を介して、適切な気管に輸送されてその器官の活動を調節することができる。神経分泌ニューロンの分泌顆粒の大きさは１００nm以上であり、シナプス小胞が５０nmなのに比べると大きい事がわかる。神経分泌ニューロンはホルモンを血管中に分泌するので運び屋が必要である。まず、分泌蛋白は小胞で合成され、そこからゴルジ装置へ送られ、そこでニューロンフィジンと呼ばれる担体蛋白に結合される。ホルモンと担体小胞は有芯小胞に囲まれ核周部から軸索に沿って末梢の運ばれ、終末部で濃縮される。また、ホルモンのレセプターは血液によって極度に薄められたホルモンを受け取らねばならないため、親和性が高いが、またニューロンのシナプスであるが、glia細胞のよってシナプスは閉じた空間とされているため、レセプターの親和性はホルモンのそれに比べて相対的に低くなる。そうでなければ常に刺激されているになってしまうからである。
視覚情報が入ってから視覚細胞に伝わるまでの組織学的仕組み（９４）
聴覚情報が入ってから聴覚細胞に伝わるまでの組織学的仕組み（９４）
内胚葉由来、間葉由来の内分泌をそれぞれ挙げその構造と機能を説明せよ（９２）
内胚葉由来の分泌線として甲状腺や上皮小体が挙げられる。甲状腺は左右２葉と、その間をつなぐ狭部とからなりH型ないしU型を示す。甲状腺は濾胞の集合からなる。濾胞は大小さまざまな形や大きさを示す。濾胞は単層立方、ないし円柱立方上皮からなる。濾胞上皮と、それに囲まれた濾胞腔からなる。濾胞腔の中にはコロイドという粘性の高い物質が含まれている。濾胞上皮細胞でまず、高分子の糖タンパクであるサイログロブリンを合成し、濾胞腔へ放出される。ここで、サイログロブリンに含まれるタイロシンはヨードと一個結合すると、MIT、二個結合するとDITとなる。DITとDITがエーテル結合すると、サイロキシン、DITとMITがエーテル結合するとトリヨードサイロシンとなる。濾胞腔の中に蓄えられたサイログロブリンは下垂体からのTSHの刺激により濾胞上皮細胞に取り込まれ、コロイド滴となる。コロイド滴は別にゴルジ野で作られる水解小体と融合してトリヨードサイロシン、サイロキシンが解放され、上皮細胞の基底部の基底膜を通過し血管周囲腔や、血管内皮細胞を通過し血管腔に分泌される。また、濾胞上皮の外側や、濾胞の間には濾胞傍細胞がある。ヒトでは見出すことが困難である。この細胞はカルシトニンまたはサイロカルシトニンと呼ばれるホルモンを分泌する。カルシトニンは上皮小体から出るパラトルモンと括抗し、血中のカルシウム値を低下させる。次に間葉性由来の中分泌腺であるが、これには性腺が挙げられる。その中でも、精巣について述べる。本来の精巣組織（胚上皮が間葉組織に進入したもの）の中に原始生殖細胞が迷入してきて、精巣を作る。精巣は表面を緻密結合組織層の白膜で覆われている。白膜は精巣内に入り、精巣縦隔、精巣中隔を出して精巣を小葉に分けている。およそ２５０個の小葉が精巣内にある。又この中には曲精細管が収まっている。小葉において曲精細管の間を満たしている間質は、細網線維を主体とし、少量の膠原線維を交えるゆるい結合組織である。この間質の中には間細胞、組織球、遊走細胞のほか、毛細血管がある。この間細胞が間葉由来細胞である。この細胞が内分泌細胞として働いている。間細胞は男性ホルモン（アンドロゲン）を分泌する。アンドロゲンとはテストステロンを主とする二三のホルモンの総称である。滑面小胞体にある酵素を用い、酢酸からコレステロールを合成し、そこからさらにテストステロンを合成する。合成されたホルモンは間質結合組織の組織液に分泌され、ついで、分布血管に入る。又間細胞は下垂体前葉の支配を受ける。思春期に前葉から間細胞刺激ホルモンが分泌され、間細胞の形態的な発達とホルモン分泌が始まる。
肝臓の組織構築をゾナリオンという考えに基づいて説明せよ。（９２）
？？？（ゾナリオン？タコ語？）（うん、タコ語）
penisのerectionの機構を説明せよ。（９２）
らせん動脈（陰茎背動脈・陰茎深動脈）の先端は、直接に海綿体洞に開放し、動静脈吻合をなしている。海綿体小柱には交感神経と副交感神経の線維がきており、とくにらせん動脈の中膜の周囲に集中している。性的興奮にさいして、副交感神経の作用でらせん動脈と小柱の平滑筋がゆるむ。すると動静脈吻合から多量の動脈血が海綿体洞に流れ込み、陰茎は白膜がピンと張るまで膨大する。これが勃起である。このさい洞内の血液は静脈から流出できない仕組みになっている。というのは、洞の血液を集めて海綿体から外へ導く小静脈が多数あるが、これが白膜の直下で数百ミクロンの距離だけ白膜に平行に走り、しかもここの静脈壁は平滑筋層を欠く。そのため、海綿体がふくれて圧が高まる時には、この小静脈は圧平されて、血液を導出できないのである。~各Ｐ２６０
表皮水胞症について述べよ。（９２）
先天性、後天性などいくつか型はある。このうち先天性のものもいくつかに分類されるが、優性、劣性栄養障害型表皮水疱症では、�桟織灰薀殴鶲篥岨劼瞭輿格儖曚砲茲蟲�こるとされている。�桟織灰薀殴鵑鷲夙蕕隆霙貂挧Δ函△修硫爾隆霙賈豌爾砲△襦↓桟織灰薀殴鵑箸魴襪咾弔韻詁�きがある。遺伝子の突然変異により、この�桟織灰薀殴鵑�欠損してしまうために、表皮と真皮の結合が弱くなってしまう。そのため機械的摩擦を受けたりするだけで、基底膜直下に組織液がたまってしまい、水疱ができてしまう。
下垂体前葉の発生、組織細胞構築及びそれらの視床下部による分泌調節について。（９１）
下垂体は口蓋天蓋に由来する腺性下垂体（咽頭の粘膜上皮が落ち込んだもの）と間脳底の突起に由来する神経性下垂体が合わさってできたものである。いずれも外胚葉性である。腺性下垂体前部、つまり前葉は数種類の腺細胞が集まって細胞索をつくっており、その周りを疎性結合組織と洞様毛細血管が囲んでいる。腺細胞は酸好性細胞（４０％）、塩基好性細胞（１０％）、色素嫌性細胞（５０％）がある。下垂体前葉は6種類のホルモン（成長ホルモン、乳腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン）を分泌して、他の内分泌腺のホルモン分泌をコントロールしている。この前葉は間脳の視床下部にコントロールされている。第一毛細血管網（神経性下垂体漏斗部の洞様毛細血管網）の周辺には視床下部の神経細胞から伸びた神経突起の終末が存在し、ここから腺性下垂体を調節するホルモンが血中に放出される。このようなホルモンはいずれもペプタイドで、下垂体前葉の各ホルモンの放出を促す放出ホルモンと、抑制する抑制ホルモンがある。こうしたホルモンが下垂体門脈系を介して、前葉の第二毛細血管網（前葉の洞様毛細血管網）に達し、前葉の各細胞のホルモン分泌を調節している。神経性下垂体の後葉は本質的には中枢神経と同じ構造であり、多数の無髄神経線維と、その間に散在する神経膠細胞（後葉細胞という）でできている。
各P３３６〜
肝細胞と血流との物質交換の場の電顕組織学について。（９１）
電顕で見た肝細胞の毛細血管極には粗面小胞体がよく発達し、所々に滑面小胞体が見られる。前者は主に蛋白の合成、後者は脂肪・コレステロール代謝、グリコゲンの分解、脂溶性物質の分解解毒にあたる。とくに、脂溶性物質の解毒は滑面小胞体に存在する酵素によって行われる。ミトコンドリアもかなり豊富で、細胞質内に散在するが、大きく丸くクリスタは短い管状を呈することが多い。肝細胞の所々にはグリコゲン野が存在し、電顕で見ると花冠状に集合したグリコゲン顆粒が無数に散在する。グリコゲンは食事あとに増加、空腹時に減少する。肝細胞中のグリコゲンは必要に応じて、フォスフォリラーゼの働きによってグリコゲン分解が起こり、グルコースとなって血中に出る。肝細胞のディッセ腔側の細胞膜にはアドレナリンやグルコガンのレセプターがあり、これらを受容して、アデニル酸シクラーゼ活性が高まり、フォスフォリラーゼを活性化させる。肝細胞内にはたまに脂肪滴が見られる。飢えや高脂肪食を取ったときには増加する。肝細胞は血中から取り入れたアミノ酸を材料として血漿蛋白や、その他の蛋白を合成貯蔵して、必要に応じて血中に放出するが、その合成には滑面小胞体が預かっている。肝細胞から内因性のトリグリセリドを運搬する役目に預かる超低比重リポ蛋白が出される。その成分は粗面小胞体で合成され滑面小胞体を経てゴルジ装置に運ばれ、VLDLとなってディッセ腔に放出される。
各P１６１〜３
視細胞の電顕組織学的特徴を、そのturn overについて述べよ。（９０）
網膜は外方から内方に向かって、�／Я脳緘藾忰�杆状体錘状体層�３斡�界膜�こ稲�粒層�コ位崗�層�ζ碚�粒層��内網状層�┸牲从挧α忰�神経線維層��内境界膜からできている。目に入った光は一度、網膜全層を通過して、最も外層にある杆状体・錘状体によって感受されその興奮が内側に向かって伝わり、最後は神経細胞層の突起である神経線維によって眼球から出る。視細胞は�↓きイ謀呂辰涜減澆垢襦�杆状体細胞と錐状体細胞のことである。��杆状体錘状体層には視細胞の突起である杆状体と錐状体が並んでいる層である。ともに内節と外節という二つの部分からなっている。外節は円柱状の細胞突起であり電顕で見ると、扁平な円盤が何百枚も積み重なっているように見える。内節は上半分に多数のミトコンドリアが集まっており、下半分はゴルジ装置や粗面小胞体がある。�こ稲�粒層には視細胞の核が存在する。�コ位崗�層は視細胞の突起と内顆粒層から伸びる双極細胞・水平細胞・ミュラー細胞の突起でできている。視細胞の終末であり、双極細胞・水平細胞の突起とシナプスを作っている。
各P４２４〜４３５
肺でのガス交換の場を組織学的に説明せよ。（９０）
肺でのガス交換は肺胞で行われる。肺胞壁の中に数多くの毛細血管が網を作っている。この毛細血管はガス交換をする肺の機能大切な血管で、肺動脈の終末である。肺胞の表面は必ず上皮細胞に覆われている。特に毛細血管の表面を覆うところでは、肺胞上皮の細胞質がかなり薄くなる（厚さ０．２〜０．５マイクロメートル）。上皮と毛細血管内皮の間には基底膜が存在する。したがって、肺胞の中の空気に含まれる酸素が毛細血管内の血液に入るにも、毛細血管腔の中の血液に含まれる炭酸ガスが肺胞のほうにはいるにも、上皮、基底膜、血管内皮の三層を通過しなければならない。血液と空気を境しガス交換するこの隔膜を、血液空気関門という。上皮細胞には扁平のものと、丈の高い膨隆したものがあり、前者を扁平肺胞上皮細胞（�儀診挧�上皮細胞）といい、後者を大肺胞上皮細胞（�況診挧�上皮細胞）と呼ぶ。扁平肺胞上皮細胞は、肺胞上皮細胞のうちの比較的小型の核と核周部を持つ核で、核の位置する部分以外は細胞質が極めて薄くなり大きく広がっている。ガス交換に関与するのはこの部分である。核周部もわずかな小器官を見るだけで大肺胞上皮細胞に見られる層板小体もない。大肺胞上皮細胞は核上部に多数の層板小体を持つ。小体は直径０．５〜２μｍの球形を呈し、オスミウム固定標本を電顕で見ると、同心円状の層板構造からなっている。層板小体は開口分泌により肺胞腔へ分泌され扁平肺胞上皮細胞の表面に広がり脂質の薄膜を作り表面張力を低下させる界面活性剤として働く。このおかげで肺がちぢむことはない。他に肺胞内には肺胞大食細胞がある。肺胞上皮細胞の表面にくっつき空気中より入ったほこりや異物を取り除く。電顕では細胞体内に水解小体や異物が見られる。肺胞大食細胞は起動から到着する抗原を認識し、これをリンパ球に伝達し、また各種刺激に応じて免疫学的反応、炎症などの病態を引き起こす。
各P１８９
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