Group3/リハビリテーション医学
リハビリテーション医学卒業試験(本試験) †
平成17年11月2日(水)
試験問題枚数
肢体不自由分野 5枚
運動機能再建学分野 1枚
内部障害学分野 1枚
高次機能障害学 3枚
肢体不自由学 †
1)脳損傷部位と機能障害の組み合わせで誤っているのはどれか。
a. 右放線冠−左片麻痺
b. 右内包−構音障害
c. 左支障−右半身感覚障害
d. 右中小脳脚−左側失調症
e. 右後頭葉−左側同名半盲
解答：d
2)50歳女性、1週間前に右片麻痺と意識障害で発症、発症時の頭部CTで左橋部に高吸収域を認め、脳出血の診断で保存的に加療された。現在意識レベルはJapan Coma Scaleで1、開口提舌の指示に従え、全身状態は安定している。経口摂取が開始されたが、食後に咳き込みや湿性嗄声がみられる。
本症例に行う検査として最も適切なものはどれか。
a. ビデオ嚥下造影検査
b. 嚥下内圧測定
c. 腹部超音波検査
d. 胃内視鏡検査
e. 嚥下音響検査
解答：a
3)58歳男性、1ヶ月前に左片麻痺と意識障害で発症、頭部CTで右頭頂葉に低吸収域を認め、脳梗塞の診断で内科的治療と急性期リハビリテーション治療を受けている。現在意識障害は改善したが坐位保持は不良で車椅子の状態である。車椅子の操作は可能になったが、麻痺側の壁にぶつかる、ブレーキをかけ忘れる、また食事を左半分食べ残す、ベッド上では麻痺側上肢を身体の下に敷いても機にしない、などが観察された。次のうち本症例で考えられる認知障害はどれか。
ア.半側身体失認
イ.観念失行
ウ.着衣失行
エ.視覚性物体失認
オ半側空間無視
a.ア、オ b.ア、イ c.イ、ウ d.ウ、エ e.エ、オ
解答：a
4)脳卒中片麻痺患者へのリハビリテーション処方で正しいのはどれか
a. 健側に筋力低下がないので、健側上下肢の筋力増強訓練は指示しない。
b. 発症後1ヶ月の患者で、右手指完全麻痺でも麻痺の回復を期待し、利き手交換は指示しない。
c. 重度片麻痺患者で肩関節亜脱臼が見られる場合、肩関節ROM訓練は指示しない
d. 屈曲郡に攣縮の強い奨励では、麻痺手指のボール握りなどの筋力増強は指示しない。
e. 回復期の患者で、立位保持が自立しないので歩行訓練は指示しない。
解答：d
5)脳卒中患者の歩行の阻害因子として誤っているのはどれか。
a. 左半側空間無視
b. 深部感覚障害
c. 健側下枝の筋力低下
d. 尿失禁
e. 失語症
解答：e
6)75歳男性、脳梗塞を発症し、急性期治療とリハビリテーションを受け、6ヶ月が経過した。重度の右痙性片麻痺が残存し、歩行は不可能であり、坐位は保てるが、起立には介助を要する。構音障害があり、咀嚼力が弱く、食物形態は細かくつぶしたものを食べるようにしている。水分はむせやすい。
この障害者に起こりうる廃用症候群について誤りはどれか。
a. 左下肢の筋力低下
b. 膝関節の屈曲拘縮
c. 脱水
d. 片麻痺の増悪
e. 右下肢の浮腫
解答：d
7)76歳女性、脳出血により左上下肢の麻痺を生じた。入院して保存的に治療された後、リハビリテーション病院に転院した。発症後3ヶ月で短下肢装具と杖で平地歩行が可能となった。日常生活では、更衣、食事、排泄動作、排泄コントロールはほぼ自立した。入浴には介助が必要で、階段や段差では介助または手すりが必要である。患者は娘夫婦の家族5人と同居しており、娘は専業主婦で家にいることが多い。在宅での介助計画を立てる上で第一に注意すべきことはどれか。
a. ヘルパーによる入浴サービスを利用できるか
b. 廊下に手すりがあるか
c. 患者が自分で装具の着用ができるか
d. 患者が自分で食事の準備ができるか
e. 玄関から道路までの移動が自立しているか
解答：c
8)70歳男性、右利き、脳梗塞のリハビリテーションを目的として発症後6ヵ月後にリハビリテーション病院に入院した。意識は意識は清明であるが構音障害があり、時々聞き取りにくいことがある。左片麻痺があり、上肢に随意運動はみられない。下枝は股関節にわずかな随意運動がみられるのみである。健側下肢筋力はMMTで4．坐位保持は手すりがあれば可能である。立位保持や車椅子への移乗には介助を要する。排尿は、尿意はあるが、トイレまでの移動が間に合わず時々失禁する。患者、妻、息子夫婦と持ち家で4人暮らし。妻と嫁は介護に専念することができ、患者の家庭復帰に意欲的である。
本症例の家庭復帰を目標としたリハビリテーションについて正しいのはどれか。
a. 運動療法は、歩行自立を目標として歩行訓練を中心に行う。
b. 言語療法を処方して会話明瞭度の改善をはかる。
c. 整容、更衣は家族が介助するように指導する。
d. 健側上下肢の増強訓練を処方する。
e. 膀胱内にカテーテルを留置する。
解答：d
自己導尿ならまだしも、カテーテルの留置は尿路感染を招く気がする。
9)75歳男性、脳梗塞発症後1週間が経過した。嚥下反射がおこりにくく、嚥下中に誤嚥があり、咳き込む。
接触嚥下障害への対応としてで正しいのはどれか。
a. 水をふくませ凍らせた綿棒で舌尖部を撫でる。
b. 経口摂取の体位は、頸部を前屈される
c. 嚥下パターン訓練は、呼気→息止め→嚥下→吸気の順に行う。
d. 鎮咳薬を投与する。
e. 口腔内をグルコン酸クロルヘキシジン液で消毒する。
解答：b
10)60歳女性。脳梗塞後の仮性球麻痺があり、「パ」の発音が「マ」に、「タ」の発音が「ナ」になる。最大発声持続時間は10秒である。本症例の構音障害の治療目標として正しいのはどれか。
a. 呼吸機能を高める。
b. 舌の運動性を高める。
c. 口腔の閉鎖機能を高める。
d. 頬の緊張を高める。
e. 鼻咽腔閉鎖機能を高める。
解答：e
11)20歳の男性。大学理工学部2年生。オートバイで乗用車と衝突して受傷した。診断は脳挫傷で、軽度の左片麻痺、構音障害があり抑うつ的になっている。この患者の初期評価として誤っているのはどれか。
a. 上肢の運動巧緻性を検査する。
b. 運動失調の有無を検査する
c. 異常運動について観察する
d. 大学の教科書で数学の学力を検査する
e. 認知障害の有無について観察する
解答：d
12)医療面接において、患者とのコミュニケーションをとりづらい場合に鑑別すべき病態として誤っているのはどれか。
a. 失語症
b. 痴呆
c. 難聴
d. 意識障害
e. 同名半盲
解答：e
言語理解ができなかったらコミュニケーションが難しい。(90A-100参照)
13)次の組合せで誤っているのはどれか。
a. 視覚誘発電位検査−多発性硬化症
b. 神経伝導検査−脊髄損傷
c. 脳波検査−てんかん
d. 聴性脳幹誘発電位検査−脳死
e. 針筋電図検査−筋緊張性ジストロフィー
解答：b
14)異所性骨化の好発部位はどれか。
a. 手のPIP関節
b. 足の母指MP関節
c. 肘関節
d. 環軸椎関節
e. 仙腸関節
解答：c
15)小児神経学的診察法で反射とその中枢の組合せで正しいのはどれか。
a. 交差性伸展反射−脊髄
b. 非対称性緊張性学反射−小脳
c. 立ち直り反射−間脳
d. 平衡反応−延髄
e. 陽性支持反射−大脳皮質
解答：a
16)脳性麻痺の定義で誤っているのはどれか。
a. 脳原性運動障害
b. てんかん
c. 変化しうる運動及び姿勢の異常
d. 脳の非進行性病変
e. 障害の永続性
解答：b
17)脳性麻痺について正しいのはどれか。
a. てんかんを合併する重症例の比率は5％未満である。
b. 胎生期に原因のあるものは減少している。
c. 原因はウイルス感染によるものが最も多い。
d. 発生率は2000人出生して1人程度である。
e. 周産期の危険因子として、出生時体重2000g以下の未熟児がある。
解答：e
18)脳性麻痺について誤っているのはどれか
a. 原因として核黄疸が多い
b. 病型では痙直型が最も多い。
c. 痙直型両麻痺では上肢の障害が下枝よりも軽い。
d. アテトーゼ型の不随意運動は精神的緊張によって増強する。
e. 股関節脱臼は痙直型両麻痺に合併する。
解答：a
19)痙直型両麻痺の3歳女児。生後10ヶ月からリハビリテーション訓練を開始し、3歳0ヶ月現在、下枝は鋏状肢位、尖足があり、移動はつたい歩きである。
この症例の診療で誤っているのはどれか。
a. 下枝の関節可動域訓練を行う。
b. 股関節の単純X線検査を行う。
c. 下枝の筋腱手術を計測する。
d. 短下肢装具を作成する。
e. 坐位保持装置を作成する。
解答：e
20)運動発達遅滞を主訴に生後7ヶ月の男児が受診した。39週3日で出生し、初産で遷延分娩であった。定痙は5ヶ月で獲得したが坐位はまだ不能であった。
観察事項として優先度の低いのはどれか。
a. モロー反射
b. 対称性緊張性頸反射
c. ホッピング反応
d. パラシュート反射
e. 迷路性・視性立ち直り反応
解答：c
21)腰部の脊髄髄膜瘤について正しいのはどれか。
a. 日本人では1000人に1人程度の頻度である
b. 妊娠前からの葉酸投与で発病が減少する。
c. 水頭症が20％で合併する。
d. 膀胱直腸障害は稀である。
e. 知的機能は正常である。
解答：b
5000人に1人
二分脊椎に限らず、神経管の欠損に関係するそう
水頭症は90％で合併
膀胱直腸障害よくあり
水頭症に伴い、知的障害を招く
22)二分脊椎について誤っているのはどれか。
a. 大腿四頭筋が有効ならば短下肢装具による歩行が可能である
b. スタビライザーは歩行用装具である。
c. 足部変形として内反足と踵足が多い。
d. 10歳以上の成長期には脊髄係留症候群による麻痺の進行に注意する
e. 弛緩性膀胱では間欠導尿を行う。
解答：a
23)腰部脊髄髄膜瘤の男児が出生した。アーノルドキアリ奇型を伴う水頭症を合併していた。脳神経外科で髄膜瘤閉鎖術と脳室腹腔シャント造設術が施行された。
a. シャント機能不全がないか定期的に診察する。
b. 小学校入学前から側弯の予防に留意する。
c. 定期的に膀胱尿路検査を行う。
d. 精神発達を定期的に評価する。
e. 下枝の麻痺があれば5歳児に身体障害手帳を申請する。
解答：e
24)12歳のDuchenne型進行性筋ジストロフィー児。両側の股関節可動域は、伸展-25度、足関節に尖足変形を認めた。登攀性起立を認めたが、普通学校に進学している。
病状が進行した場合に最初にできなくなる動作はどれか。
a. 歩行
b. 四這い移動
c. 椅子からの立ち上がり
d. 背臥位から坐位への起き上がり
e. 寝返り
解答：c
25)介護保険について正しいのはどれか。
a. 保険者は国である。
b. 65歳以上のものには納入義務がない。
c. 40歳未満のものは介護サービスを受けることができない。
d. 40歳以上65歳未満は第一号被保険者という。
e. 医療サービスを受けることはできない。
解答：c
運動機能再建学 †
慢性関節リウマチにみられる運動機能障害を列挙し、理学療法、作業療法を含めた保存的治療の内容を概説せよ。
内部障害学 †
エビデンスに基づいた包括的心臓リハビリテーションの内容と効果について述べよ。 †
エビデンスに基づいた包括的呼吸リハビリテーションの内容と効果について述べよ。 †
試験問題
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