Group3/リハビリテーション医学
2004年本試験
肢体不自由学 †
1)二関節筋でないのはどれか
a. 上腕二頭筋
b. 上腕三頭筋長頭
c. 大腿直筋
d. 大腿二頭筋長頭
e. 大殿筋
解答：e
2)徒手筋力検査法について正しいのはどれか。
a. 段階1(trace)では筋収縮を認めない
b. 段階2(poor)では重力の影響を除いた肢位で前可動域を動かせる。
c. 段階3(fair)では検者の抵抗に抗して全可動域を動かせる。
d. 5段階評価である。
e. 段階4(good)の筋力は段階2(poor)の筋力の2倍である。
解答：b
3)肩関節の児童関節可動域を測定する際、関係のない運動はどれか。
a. 伸展
b. 屈曲
c. 外旋
d. 回外
e. 外転
解答：d
4)歩行について誤っているのはどれか。
a. 一側の踵接地から次の他足の踵接地までの動作を1歩という。
b. 一側の踵接地から次の他足の踵接地までの距離を歩幅という
c. 歩行周期には立脚期と遊脚期がある。
d. 正常歩行の両脚支持期は一歩行周期のうち約50％をしめる。
e. 一側の踵接地から次の同足の踵接地までの距離を重複歩距離という。
解答：d
5)歩行について誤っているのはどれか。
a. 中殿筋の筋力低下によりトレンデレンブルグ方向を呈する。
b. 大殿筋の筋力低下により腰椎前彎が増強する。
c. 股関節の屈曲拘縮により腰椎前彎が増強する。
d. 大腿神経麻痺により鶏歩を呈する。
e. 大腿四頭筋筋力低下により膝過伸展を呈する。
解答：d
6)適切な組合せはどれか。
a. 鶏歩−パーキンソン病
b. 間欠性跛行−周期性四肢麻痺
c. 小刻み歩行−腓骨神経麻痺
d. ぶん回し歩行−脳卒中後片麻痺
e. はさみ足歩行−重症筋無力症
解答：d
7)ADL(日常生活動作)の評価尺度の評価項目でないものはどれか。
a. 食事
b. 整容
c. 洗濯
d. 排泄
e. 入浴
解答：c
8)Barthel Indexについて正しいのはどれか。
a. 全ての項目で自立していれば100点である。
b. 各項目は7段階で評価する。
c. 移動は歩行で評価する。
d. 評価項目に階段昇降は含まれない。
e. 間隔尺度である。
解答：a
9)身体障害について正しいのはどれか。
a. ノーマライゼーションとは障害の完全回復のことである。
b. 高次脳機能障害は歩行能力に影響する。
c. 介護福祉機器は障害を軽減しない
d. HIV(human immunodeficiency virus)感染は内部障害に含まない
e. 視覚障害は肢体不自由に含まれる。
解答：b
10)身体障害者福祉法に定める身体障害に含まれないものはどれか。
a. 肢体不自由障害
b. 記憶障害
c. 心機能障害
d. 咀嚼嚥下障害
e. 膀胱直腸障害
解答：b
11)リハビリテーションチーム医療を実践する職種の業務として誤っているのはどれか。
a. 理学療法士−装具の処方
b. 作業療法士−高次脳機能障害の評価
c. 医療ソーシャルワーカー−身体障害者手帳に関する患者への情報提供
d. 義肢装具士−
e. 言語聴覚士−失語症の評価
解答：a
12)障害者が独りで買い物に行く場合の指導や環境調整として適切でないのはどれか。
a. 権謀にある脳外傷者−携帯電話を持たせる
b. 杖を使って歩行する脳卒中片麻痺者−荷物はリュックサックに入れる
c. 球麻痺による重度構音障害−五十音文字盤を活用させる
d. トレッドミルテストにおいて4METsで陽性となる虚血性心疾患者−階段を避ける
e. 第1腰髄まで機能が残存している完全対麻痺者−歩行介助にヘルパーを介入させる
解答：e
13)右中大脳動脈の完全閉塞で起こりうる症状で誤っているのはどれか。
a. 病態失認
b. 左半側空間無視
c. 右同名半盲
d. 着衣歩行
e. 左片麻痺
解答：c
14)脳損傷部位と機能障害の組合せで誤っているのはどれか。
a. 右放線冠−左片麻痺
b. 右内包−構音障害
c. 左視床−右半身感覚障害
d. 右中小脳脚−左側失調症
e. 右後頭葉−左側同名半盲
解答：d
15)脳卒中急性期の麻痺側の良肢位について誤っているのはどれか。
a. 肘関節屈曲位
b. 肩関節外転位
c. 膝関節屈曲位
d. 股関節屈曲位
e. 股関節外旋位
解答：b
16)脳卒中急性期のリハビリテーションについて誤っているのはどれか。
a. 拘縮や筋力低下などの二次的障害を予防するため早期からリハビリテーションが必要である。
b. 障害が重度で離床困難と思われる患者でも良肢位保持を行うべきである。
c. 意識障害が遷延している場合、他動的関節可動域訓練は開始すべきではない。
d. 軽症例では、神経症状の進行が2〜3日なければ坐位訓練を開始してよい。
e. くも膜下出血は発症後2週間は病状の変化の恐れがあるため坐位訓練を遅らせる。
解答：c
17)脳卒中の運動麻痺の回復と予後について正しいのはどれか。
a. 回復は協同運動から連合反応、そして分離障害へと進む。
b. 回復は一般に6ヶ月から1年にかけて顕著である。
c. 発症後1ヶ月の時点で、手指の個別運動ができなければ実用手とはならない。
d. 手指の伸展運動は屈曲運動よりも先に回復する。
e. 股関節の外転障害は屈曲運動よりも先に回復する。
解答：c
18)50歳女性、1週間前に右片麻痺と意識障害で発症、発症時の頭部CTで左橋部に高吸収域を認め、脳出血の診断で保存的に加療された。現在意識レベルはJapan Coma Scaleで1、開口提舌の指示に従え、全身状態は安定している。経口摂取が開始されたが、食後に咳き込みや湿性嗄声がみられる。
本症例に行う検査として最も適切なものはどれか。
a. ビデオ嚥下造影検査
b. 嚥下内圧測定
c. 腹部超音波検査
d. 胃内視鏡検査
e. 嚥下音響検査
解答：a
19)58歳男性、1ヶ月前に左片麻痺と意識障害で発症、頭部CTで右頭頂葉に低吸収域を認め、脳梗塞の診断で内科的治療と急性期リハビリテーション治療を受けている。現在意識障害は改善したが坐位保持は不良で車椅子の状態である。車椅子の操作は可能になったが、麻痺側の壁にぶつかる、ブレーキをかけ忘れる、また食事を左半分食べ残す、ベッド上では麻痺側上肢を身体の下に敷いても機にしない、などが観察された。次のうち本症例で考えられる認知障害はどれか。
ア.半側身体失認
イ.観念失行
ウ.着衣失行
エ.視覚性物体失認
オ半側空間無視
a.ア、オ b.ア、イ c.イ、ウ d.ウ、エ e.エ、オ
解答：a
20)脳卒中片麻痺患者へのリハビリテーション処方で正しいのはどれか
a. 健側に筋力低下がないので、健側上下肢の筋力増強訓練は指示しない。
b. 発症後1ヶ月の患者で、右手指完全麻痺でも麻痺の回復を期待し、利き手交換は指示しない。
c. 重度片麻痺患者で肩関節亜脱臼が見られる場合、肩関節ROM訓練は指示しない
d. 屈曲郡に攣縮の強い奨励では、麻痺手指のボール握りなどの筋力増強は指示しない。
e. 回復期の患者で、立位保持が自立しないので歩行訓練は指示しない。
解答：d
21)脳卒中患者の歩行の阻害因子として誤っているのはどれか。
a. 左半側空間無視
b. 深部感覚障害
c. 健側下枝の筋力低下
d. 尿失禁
e. 失語症
解答：e
22)75歳男性、脳梗塞を発症し、急性期治療とリハビリテーションを受け、6ヶ月が経過した。重度の右痙性片麻痺が残存し、歩行は不可能であり、坐位は保てるが、起立には介助を要する。構音障害があり、咀嚼力が弱く、食物形態は細かくつぶしたものを食べるようにしている。水分はむせやすい。
この障害者に起こりうる廃用症候群について誤りはどれか。
a. 左下肢の筋力低下
b. 膝関節の屈曲拘縮
c. 脱水
d. 片麻痺の増悪
e. 右下肢の浮腫
解答：d
23)76歳女性、脳出血により左上下肢の麻痺を生じた。入院して保存的に治療された後、リハビリテーション病院に転院した。発症後3ヶ月で短下肢装具と杖で平地歩行が可能となった。日常生活では、更衣、食事、排泄動作、排泄コントロールはほぼ自立した。入浴には介助が必要で、階段や段差では介助または手すりが必要である。患者は娘夫婦の家族5人と同居しており、娘は専業主婦で家にいることが多い。在宅での介助計画を立てる上で第一に注意すべきことはどれか。
a. ヘルパーによる入浴サービスを利用できるか
b. 廊下に手すりがあるか
c. 患者が自分で装具の着用ができるか
d. 患者が自分で食事の準備ができるか
e. 玄関から道路までの移動が自立しているか
解答：c
24)70歳男性、右利き、脳梗塞のリハビリテーションを目的として発症後6ヵ月後にリハビリテーション病院に入院した。意識は意識は清明であるが構音障害があり、時々聞き取りにくいことがある。左片麻痺があり、上肢に随意運動はみられない。下枝は股関節にわずかな随意運動がみられるのみである。健側下肢筋力はMMTで4．坐位保持は手すりがあれば可能である。立位保持や車椅子への移乗には介助を要する。排尿は、尿意はあるが、トイレまでの移動が間に合わず時々失禁する。患者、妻、息子夫婦と持ち家で4人暮らし。妻と嫁は介護に専念することができ、患者の家庭復帰に意欲的である。
本症例の家庭復帰を目標としたリハビリテーションについて正しいのはどれか。
a. 運動療法は、歩行自立を目標として歩行訓練を中心に行う。
b. 言語療法を処方して会話明瞭度の改善をはかる。
c. 整容、更衣は家族が介助するように指導する。
d. 健側上下肢の増強訓練を処方する。
e. 膀胱内にカテーテルを留置する。
解答：d
自己導尿ならまだしも、カテーテルの留置は尿路感染を招く気がする。
25)75歳男性、脳梗塞発症後1週間が経過した。嚥下反射がおこりにくく、嚥下中に誤嚥があり、咳き込む。
接触嚥下障害への対応としてで正しいのはどれか。
a. 水をふくませ凍らせた綿棒で舌尖部を撫でる。
b. 経口摂取の体位は、頸部を前屈される
c. 嚥下パターン訓練は、呼気→息止め→嚥下→吸気の順に行う。
d. 鎮咳薬を投与する。
e. 口腔内をグルコン酸クロルヘキシジン液で消毒する。
解答：b
26)60歳女性。脳梗塞後の仮性球麻痺があり、「パ」の発音が「マ」に、「タ」の発音が「ナ」になる。最大発声持続時間は10秒である。本症例の構音障害の治療目標として正しいのはどれか。
a. 呼吸機能を高める。
b. 舌の運動性を高める。
c. 口腔の閉鎖機能を高める。
d. 頬の緊張を高める。
e. 鼻咽腔閉鎖機能を高める。
解答：e
運動再建学分野 †
痙性麻痺を呈する脳卒中片麻痺患者について、機能障害としての運動障害とその評価・治療の内容を、上位運動ニューロン障害、痙縮、Brnnstrom Stage(ブルンストロムステージ)、理学療法、作業療法の5つの語を用いて説明せよ。 †
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