外科学��
平成17年度4年次試験問題 −呼吸器外科− †
(平成15年7月14日午後5時から7時)
1.正しいのはどれか。
(1) 気管は背側では椎対に固定されている。
(2) B6は背側に分岐する枝である。
(3) 肺静脈と機関紙は肺区域の中心部を走行し、肺動脈は区域境界を走行する。
(4) 肺区域巻には側副血行路、側腹換気が存在する。
(5) 左B4は左中幹より分岐する枝である。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
2.誤っているのはどれか
(1) 気管切開は、切開後の狭窄防止のため第1気管軟骨よりも末梢側に置く。
(2) 気管は2/3までは切除後の端々吻合が可能である。
(3) 気道外傷の好発部位は気管分岐部から左右主気管支である。
(4) 左主気管支は右側よりも太く、長い。
(5) 右主気管支は気管からの分岐角度が小さいため、左側より異物誤嚥が多い。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
3.正しいのはどれか
(1) 胸腔穿刺する際には、肋間神経、肋間動静脈を損傷しないように肋骨の下縁に沿って穿刺する。
(2) 長針三角波腋窩に位置し、筋肉を切らずに骨性胸郭に到達できる。
(3) 胸骨正中切開は筋肉と神経の損傷がないため、術後の疼痛は後側包切開よりも少ない。
(4) 大動脈裂孔は横隔膜ヘルニアの好発部位である。
(5) 聴診三角は僧帽筋、広背筋、肩甲骨(菱形筋)で囲まれた三角である。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
4.正しいのはどれか。
(1) 左反回神経麻痺は腫瘍が大動脈窓に浸潤しているサインである。
(2) Horner症候群は上部交感神経幹(星状神経節)の障害されたサインである。
(3) 肺胸膜(臓側胸膜)には疼痛を感じる知覚神経が分布している。
(4) パンコースト症候群は腫瘍が上大静脈に浸潤しているサインである。
(5) 横隔神経麻痺は腫瘍が胸壁に浸潤しているサインである。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
5.正しいのはどれか。
(1) 咳嗽反射を抑制するために気管支鏡を通して気管支内の局所麻酔を行う。
(2) 気管支鏡検査では気管支内を麻酔し気管支の反射を抑制するので気管支喘息の既往の有無は検査を行う上であまり重要ではない。
(3) 気管支鏡検査に使われる局所麻酔薬のリドカインにアレルギーがある人は気管支鏡検査を受けることが出来ない。
(4) 気管支鏡は経口挿入よりも咽頭反射が少ない経鼻からの挿入が一般的に行われている。
(5) 喀痰細胞診でがん細胞が認められない被検者の場合は気管支鏡検査での喉頭の観察は咽頭反射による苦痛が強いため行わない。
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)
6.正しいのはどれか。
(1) 経口気管支内視鏡により気管支軟骨の外側の腫瘍を観察することが出来る。
(2) 気管支鏡により中枢性気道内腔の病変は観察しながら確実に検体を採取することが出来る。
(3) 気管支鏡は気管支の亜亜区域までしか観察できないので肺野末梢の病変の検査には有効ではない。
(4) 気管支鏡で気管支内腔を観察すると、正常気管支の上皮層は透明・平滑であり、上皮下層・筋層の凹凸や壁が透見される。
(5) 気管支鏡とＸ線透視を使うことによって肺野末梢性病変から確実に検体を採取することができる。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
7.誤っているのはどれか。
(1) 超音波気管支内視鏡を使うことによって気管・気管支周囲のリンパ節の部位を確認しながら針を刺しリンパ節の細胞を採取することができる。
(2) 気道内の腫瘍性病変を焼灼するレーザー治療の合併症には気管支の穿孔、出血、煤煙による呼吸不全・肺炎がある。
(3) 光線力学的治療(Photodynamic Therapy,PDT)とは腫瘍に親和性の強い光感受性物質を投与することによって低エネルギーレーザー照射で気道内の肺癌病変を特異的に焼灼可能にする治療法である。
(4) PDTは腫瘍による気道狭窄の解除に有用である。
(5) PDTの合併症には光線過敏症があり、治療直後に日光に当たることは危険である。
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)
8.肺機能検査について正しいのはどれか。
(1) ％肺活量(％ＶＣ)の正常値は≧80％
(2) ％肺活量(％ＶＣ)の正常値は≧70％
(3) ％肺活量(％ＶＣ)の正常値は≧60％
(4) 一秒率(ＦＥＶ1.0％)の正常値は≧80％
(5) 一秒率(ＦＥＶ1.0％)の正常値は≧70％
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
9.肺機能異常と肺癌、肺切除術に関して正しいのはどれか。
(1) 開胸・肺切除術は、％肺活量(％ＶＣ)の低下として表現される拘束性換気障害をきたしうる。
(2) 一秒量の肺切除術後予測値は術後の呼吸器合併症のリスクと相関する。
(3) 重喫煙者の肺癌患者でしばしば合併している慢性肺気腫は病初期より拘束性換気障害をきたす代表的疾患である。
(4) 肺癌にしばしば合併する特発性肺線維症は閉塞性換気障害をきたす代表的疾患である。
(5) 特発性肺線維症を合併する肺癌患者では、肺切除術は禁忌である。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
10.肺拡散能について誤っているのはどれか？
(1) 肺拡散能とは、肺胞レベルで酸素あるいは炭酸ガスが空気と血液の間を通る際の通過のしやすさのことをいう
(2) 臨床的には一酸化炭素(ＣＯ)を指標としたDLcoが用いられる。
(3) 肺線維症では、一般に肺拡散能が上昇する。
(4) 慢性肺気腫でも肺拡散能が低下する事がある。
(5) 肺切除術は、肺拡散能を低下させない。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
11.肺癌に対する肺切除術の機能的適応決定のために使われる検査項目はどれか。
(1) スパイログラム
(2) 超音波検査
(3) MRI
(4) FDG-PET
(5) 肺血流シンチグラム
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
12.肺分画症について正しいのはどれか。
(1) 肺分画症は体循環系から血液の供給を受けていることを特徴とする。
(2) 肺葉内肺分画症では血液還流は下大静脈であることが多い。
(3) 肺葉内肺分画症では感染を合併することが多い。
(4) 肺葉外肺分画症では感染を合併することが多い。
(5) 肺葉外肺分画症では先天性横隔膜ヘルニアを合併する症例がある。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
13.肺動静脈瘻について正しいのはどれか。
(1) 手術の他カテーテルによる治療も行われれている。
(2) 脳梗塞、脳膿瘍は注意すべき合併症である。
(3) 単発性より多発性が多く、女性より男性に多い。
(4) 肺動脈造影は破裂の危険があるため禁忌である。
(5) チアノ−ゼを呈する症例は無い。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
14.膿胸について正しいのはどれか。
(1) 急性膿胸に対しては、まず胸腔ドレナージを行うべきである。
(2) 膿胸腔縮小術としては、胸郭形成術、筋肉充填術、空気充填術などの術式がある。
(3) 開窓術は以前行われていたが、創感染の合併が多いため現在では禁忌と考えられている。
(4) 膿胸嚢切除術(剥皮術)は肺内に感染巣がある場合に良い適応となる。
(5) 急性膿胸はほぼ全例が全身麻酔下の手術適応となる。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
15.気胸について正しいものはどれか。
(1) 片側の気胸であれば通常持続ドレナージを行う必要は無い。
(2) 安静療法と胸腔鏡下術では、治療後の再発率はほぼ同等である。
(3) 緊張性気胸では、治療後の再発率はほぼ同等である。
(4) 巨大肺嚢胞症は、気胸を合併する危険が大きいため全例で手術を行うべきである。
(5) 月経随伴性気胸では横隔膜病変がしばしば見られる。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
16.気管支断端瘻について正しいのはどれか。
(1) 肺切除後患者の約20％に発生する。
(2) 術後1ヶ月以上経過してから発症することが多い。
(3) 気管支断端瘻に対する全身麻酔下の手術は危険が大きく行うべきではない。
(4) 気管支断端瘻が認められた場合には、対側吸引を防止するため、直ちに胸腔ドレナージを行うべきである。
(5) 症状としては、血痰、発熱、呼吸困難などが多い。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
17.気管支鏡検査で右上葉気管支を閉塞し右上支口まで浸潤する扁平上皮癌が認められた。この所見から考えられる適切な術式はどれか。
(1) 右上葉切除術
(2) 右上葉スリーブ切除術
(3) 右肺摘除術
(4) 右肺スリーブ摘除術
(5) 右中下葉スリーブ切除術
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
18.標準的な肺癌手術による致死的合併症の発生頻度はどの程度か。
(1) 30％
(2) 15％
(3) 10％
(4) 5％
(5) 1％以下
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)
19.標準的な肺癌手術としてはどれか。
(1) 癌を肺組織から核出してリンパ節郭清する。
(2) 癌を含めて肺を楔状に部分切除術してリンパ節郭清する。
(3) 癌が発生した胚葉を切除してリンパ節郭清する。
(4) 癌が発生した肺葉を切除してリンパ節を温存する。
(5) 癌が発生した肺葉によらず、一側の肺を全摘除してリンパ節を郭清する。
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)
20.次のうち正しくないのはどれか。
(1) 今日のような肺癌手術は20世紀になって確立された。
(2) 人工呼吸器の導入以前の開胸手術は大変危険が伴った。
(3) 胸腔鏡手術では生命危機に陥るような大出血の危険はない。
(4) 今日の保険診療では、術者の技量によって手術手技料が異なる。
(5) 呼吸器外科手術では呼吸と循環に関する深い知識が求められる。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
21.正しいのはどれか。
(1) 日本では毎年肺癌で10,000人くらいが死亡している。
(2) 肺癌の一次予防に禁煙は有効な手術である。
(3) 喫煙者が肺癌になる確率は非喫煙者の2倍に上ると言われている。
(4) 日本では現在も肺癌死亡者数は年々増加している。
(5) 喀痰細胞診は末梢型肺癌の発見に有効である。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
22.正しいのはどれか。
(1) 蛍光気管支鏡は中枢型早期肺癌の診断に有用である。
(2) 肺癌の治療は小細胞癌と非小細胞癌に分けて考えなくてはならない。
(3) ��A期肺癌は縮小手術の適応である。
(4) ��B期肺癌までは外科療法の適応となる。
(5) PETはリンパ節転移の診断という面では有用性の低い検査である。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
23.正しいのはどれか。
(1) 片肺移植では機能の回復が不十分なため可能な限り両肺移植とすべきである。
(2) 感染性疾患では対側肺を同時に切除できれば片肺移植で良い。
(3) 原発性肺高血圧症では右心機能が術式決定に重要な要因となる。
(4) 両肺移植は左右の後側方開胸を順次行って左右肺を移植する方法である。
(5) 気管支は末梢からの血流を考えてドナー側を極力短くして吻合する。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
24.正しいのはどれか。
(1) 我が国での肺移植施行例では肺気腫の頻度がもっとも高い。
(2) 国際登録では肺移植はこれまで約1800例が行われている。
(3) 国際登録での肺移植施行例では肺線維症の頻度がもっとも高い。
(4) 肺リンパ脈管筋腫症は女性に見られる疾患である。
(5) 両肺移植は60歳以下が適応となる。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
25.正しいのはどれか。
(1) 国際登録における肺移植後の5年生存率は約60％である。
(2) 一般に両側肺移植の方が片肺移植に比べて生存率はすぐれている。
(3) 日本ではこれまで約160例の肺移植が行われた。
(4) 日本ではこれまで脳死肺移植よりも生体肺移植の例数の方が多い。
(5) 生体肺移植ではドナーよりレシピエントの方が体格的に大きくなくてはならない。
a(1)(2) b(3)(5) c(1)(5) d(2)(4) e(4)(5)
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