平成18年度 外科学�供�BSL認定試験 選択問題
2006年 8月29日
- 乳癌（特に硬癌）について、
a)理学所見（視診、触診） b)マンモグラフィ所見 c)超音波所見
の特徴について簡潔に記せ。
- 栄養療法のうち、中心静脈カテーテルによる完全静脈栄養法と経腸栄養法の利点と欠点をそれぞれ3つ挙げよ。
- 私は一年目の研修医である。72歳、男性が来院した。6ヶ月前から、坂道を登ると右大腿部が重苦しいと感じていた。2ヶ月前から約150mの距離を歩くと、右大腿ついて右下腿が苦しくなるようになった。数分間休んでいると、また歩くことができた。下肢を見せてもらうと、右は左に比べ細いようであった。左下肢動脈の拍動は良好に触れたが、右は左に比べ微弱であった。
降圧剤服用中。糖尿病の治療を受けているが、コントロールはよくないようだ。喫煙1日20本 50年間。アルコールはつきあい程度。
身長160cm、体重70kg、血圧150/90mmHg
- このような症状（主訴）は、何と言われるか。
- 触診を行った4つの動脈は何か。
- 指導医に相談したところABI(ABPI、API)を測定するように言われた。ABIとは何か。
- MDCT検査では下の画像が得られた。最も重要な側副血行路となっている血管は何か。
- 本人は趣味がゲートボールで支障が大きいと言っている。薬物療法、血行再建を検討する前に行うべき指導を列挙せよ。
- このような症状（主訴）は、何と言われるか。
※以下の1.〜の記述について、
正しいものには[a]
誤っているものには[b]にマークをつけなさい。
食道悪性疾患について
- 食道癌の好発部位は胸部下部食道である。
- 日本人の食道癌の組織型は腺癌が最も多い。
- 食道癌の誘因は飲酒と喫煙である。
- 頚部食道癌は、胸部食道癌に比べて予後が良い。
- 食道癌で深達度が粘膜下層のものは進行食道癌である。
食道良性疾患について - Zenker憩室は圧出性憩室で気管分岐部に多い。
- 食道アカラシアの造影所見の１つにフラスコ型がある。
- 滑脱型食道裂孔ヘルニアでは食道胃接合部は正常の位置にある。
- 食道裂孔ヘルニアに対する手術としてHeller法がある。
- Boerhaave症候群とは飲酒後の嘔吐などで食道内圧が上昇し下部食道が全層性に破裂する疾患である。
移植臓器がドナーから取り出されてから起こる障害について - 温阻血障害は臓器を摘出している間（血流停止から冷却まで）の障害である。
- 冷阻血障害は冷保存中（冷却開始から血流再開まで）の障害で、肝臓の場合、冷保存時間が5〜6時間に達すると移植に適さなくなる。
- 再潅流障害は血流再開以降の障害で、臓器に対する影響は少ない。
- 温阻血障害に対し、心臓、肺は、腎に比べ強い臓器である。
- 全温阻血時間が短いほど、移植成績が良くなる傾向にある。
臓器移植について - 血液型不適合者間（例えばA型の人からB型の人へ）の移植では、抗体による拒絶反応が起こるので移植はできない。
- 通常使用される免疫抑制剤はサイクロスポリン、5-FU、プレドニン、MMFなどである。
- 免疫抑制剤の副作用を軽減するために、多剤併用療法が行われることが多い。
- 一般的な腎移植術では腎動脈は内腸骨動脈、腎静脈は外腸骨静脈、尿管は尿管と吻合する。
- 肝細胞癌の場合、肺転移があっても一個なら切除可能なので、肝移植の適応となりうる。
深部静脈血栓症について - 本邦では周術期深部静脈血栓症を予防するために、抗凝固薬のルーチン使用が推奨されている。
- 深部静脈血栓症が無症状の場合、重症肺血栓症を来すことはない。
- 下肢の腫脹、疼痛、発赤があり、背景には血栓形成の三徴候のいずれかが認められ深部静脈血栓症が強く疑われれば、薬物療法を開始する。
- 弾性ストッキングの着用は、深部静脈血栓症の発症予防、および発症後の血流うっ滞予防に有効である。
- 悪性腫瘍の合併は、深部静脈血栓症発症のリスクファクターである。
内視鏡下手術について - 腹腔鏡下手術で気腹する場合、使用されるガスは空気である。
- 気腹状態にあるとき腹部臓器の血液循環は増加する。
- 気腹状態における合併症として高炭酸ガス血症、ガス塞栓、静脈血栓がある。
- 自動縫合器は内視鏡手術のために開発された。
- 日本では全ての腹部手術が保険適応となっている。
70歳の男性が食道切除再建手術後にICUに入室。術直後から30m/hr程度だった尿量がその翌日の深夜から250ml/hr程度に尿量が増えてきたとのことで、看護師からコールがあった。体温37.6℃、脈拍88/分、血圧118/80。 - 利尿期の可能性が高い
- サードスペースへ逃げていた水が戻ってきたのだろう。
- 糖尿病の既往はないが、尿糖を調べておく必要がある。
- 血管内溢水ならば利尿薬を使うことはない。
- 超音波検査で下大静脈の径を測定してみることは水分動態の把握に有用である。
肝臓について - 日本における原発性肝癌の併存疾患として最も多いのはC型肝炎である。
- 肝癌治療成績の向上は画像診断の進歩によるところが大きい。
- 肝の良性腫瘍は肝切除の適応とはならない。
- Stage�気隆隆發紡个垢覺寮攴�後の5年生存率は約70%である
- 肝癌に対する治療は内科・外科の集学的治療である。
甲状腺疾患について - バセドウ病は薬物や放射線治療が行われ、現在では手術適応は限られている。
- 日本人の甲状腺乳頭癌は嗄声を主訴に発見されることが多い。
- 甲状腺未分化癌は臨床症状がほとんどないことが多い。
- germ cellのret遺伝子異常により発生する甲状腺髄様癌の治療は、甲状腺全摘手術が標準である。
- 続発性副甲状腺機能亢進症は肝不全患者に発生する病気である。
癌患者の術後モニタリングとして用いられる血清腫瘍マーカーと疾患の組み合わせについて - 乳癌=CA15-3
- 肝細胞癌=CA19-9
- 食道癌=SCC
- 転移性肝癌=AFP(αフェトプロテイン)
- 膵癌=DUPAN-2
炎症性乳癌の特徴的所見として - 発赤
- 発熱
- 浮腫
- 白血球増加
- 出血
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