外科学��
〔試験〕
※マークシート方式で全50問，解答は1つを選択．地雷はないと断言．
※今年から大きく変更された．記述式問題は消えて，全てマークシート方式．
※この傾向はCBTの本格的実施により今後も続くと思われる．
※教授曰く，
『卒試よりは簡単だろう，ただ，CBTを控えてるのであれば解けなくてはならない』
※落とす基準は，よく分からん．
※試験後，教授曰く，
『授業に出ても意味はあまりない．エッセンスを知ってもらうだけのものだから…』
〔対策〕
※授業に全て出席したが，授業プリントやノートとは関係のない内容が試験には多々みられた．
※授業範囲に関して標準外科学を細かいところまで読破したほうが良いと思われる．
※試験後，教授も標準外科学を読むことを薦めていた．
※解剖学的知識の完成は言うまでもなく，外科学的判断も重要となる．
〔お詫び〕
※一部，復元失敗（2,22,42）したところがありますが，ご了承ください．
By 波糊命
先生の試験後解説のコメント
1．動脈血採血について正しいものを選べ．
a．大腿動脈は，大腿静脈の内側にある．
b．大腿動脈は，鼠径靭帯の上にある．
c．下肢では，足背動脈を用いる．
d．採血後はガーゼで緩やかに止血する．
e．大腿動脈を穿刺するときは針を動脈に垂直に刺入する．
※大動脈穿刺の際，針は垂直に穿刺
2．?
※消化器術後に不足するとWernicke脳症を起こすビタミンはビタミンB12
3．CT-AP（Arterioportography）検査について正しいものを選べ．
a．上腸間膜動脈にカテーテルを挿入しCT検査を行うものである．
b．肝腫瘍の質的診断に優れている．
c．造影剤禁忌の患者にも施行できる．
d．肝血管腫は濃染する腫瘍として描出される．
e．転移性肝癌は濃染する腫瘍として描出される．
※CTAPは肝動脈から造影剤を流して撮るCTで肝転移が黒く抜ける
4．緑膿菌感染症について正しいものを選べ．
a．緑膿菌はグラム陽性球菌に分類される．
b．強毒菌であり激烈な症状を呈することが多い．
c．飛沫感染が主な感染経路である．
d．敗血症，菌血症を引き起こすことは稀である．
e．多剤耐性緑膿菌は標準予防策によって封じ込めが可能である．
※緑膿菌は接触感染で広がり，標準予防策を守ることが感染予防
5．創傷治癒に関連して正しいものを選べ．
a．血管新生阻害剤は創傷治癒を促進する．
b．肉芽組織は毎日消毒する．
c．汚染した挫滅創はデブリードマンを行う．
d．副腎皮質ステロイドは創傷治癒を促進する．
e．肉芽組織の洗浄は創傷治癒を阻害する．
※過去の常識にとらわれないこと
6．加齢による呼吸機能の変化として正しいものを選べ．
a．最大換気量の増大
b．PaO2の上昇
c．PaCO2の低下
d．1秒率の低下
e．コンプライアンスの上昇
7．転移性肝癌について誤っているものを選べ．
a．原発性肝がんの20倍の頻度である．
b．原発臓器としては大腸がんが最も多い．
c．肝動脈から栄養される．
d．大腸癌転移の切除後5年生存率は30〜40%である．
e．胃がん肝転移の約半数が肝切除後の適応がある．
※大腸癌肝転移は切除されるが，胃癌は切除に至らない
8．肝臓の解剖について正しいものを選べ．
a．肝左葉とは鎌状間膜の左側である．
b．胆嚢は肝右葉と肝左葉の間にある．
c．右葉は外側区域と内側区域からなる．
d．左葉は前区域と後区域からなる．
e．尾状葉は下大静脈の背側にある．
※肝臓の解剖．右葉は前区域と後区域，左葉は内側区域と外側区域
9．門脈圧亢進症に伴う胃もしくは食道静脈瘤の治療について正しいものを選べ．
a．EISはChild Cには禁忌．（内視鏡的硬化療法）
b．EVLは少ない侵襲で実施可能．（内視鏡的静脈瘤結紮術）
c．バルーン下逆行性経静脈的塞栓術は食道下部と噴門部の両側かつ圧迫して止血する方法である．
d．門脈下大静脈端側吻合（ECK手術）は血中アンモニア上昇が起こらない．
e．下部食道周囲の血管郭清により食道静脈瘤は根治できる．
10．肝細胞癌について正しいものを選べ．
a．日本の肝硬変では，10年で50%が発癌する．
b．総肝動脈に進展しやすい．
c．経門脈性肝内転移はまれである．
d．リンパ節転移の頻度は高い．
e．Hypovascular（乏血管性）である．
※肝細胞癌は肝内転移が多くHypovascular．動脈，リンパ節への転移はまれ
11．肝硬変において上昇していると考えられるものはどれか．
a．Alb
b．ChE
c．TTT
d．PT
e．HPT
※肝硬変において上昇しているのはTTT．Alb，ChE，PT，HPTは低下
12．肝硬変の成因として最も多いのはどれか．
a．B型肝炎
b．C型肝炎
c．非B,C肝炎
d．アルコール性肝炎
e．その他
※我が国の肝硬変の成因として最も多いのはC型肝炎
13．肝切除の術前術後管理について，誤っているものを選べ．
a．術前は高蛋白，食塩制限食をとらせる．
b．術前の腹水は利尿薬によって消失させる．
c．術前に経口的に抗菌薬とラクツロースを投与しておく．
d．術直後より高カロリーの中心静脈栄養を開始する．
e．ICG15分値が40%を超える肝硬変では肝再生は期待できない．
※肝切除について，術直後の高カロリー輸液はまず行わない
14．症例37歳女性．夕食後に強い右季肋部痛が出現したために外来を受診した．
体温37.2℃，右季肋部に圧痛と筋性防御を認めた．最初に行うべき検査はどれか．
a．腹部単純X−P
b．腹部MRI
c．腹部超音波検査
d．注腸造影検査
e．腹部CT検査
※最初に行うべき検査は腹部超音波検査
15．胆嚢癌について正しいものを選べ．
a．男性に多い．
b．胆嚢結石が70%以上に合併する．
c．90%以上が腺扁平上皮癌である．
d．Rokitansky - Aschoff sinus進展は進行癌として取り扱われる．
e．鑑別すべき隆起性病変として最も多いのはコレステロールポリープである．
※胆嚢癌は女性に多い
16．胆石症について正しいものを選べ．
a．内視鏡的逆行性胆嚢切石術を行う．
b．胆嚢壁の薄い場合には，経皮経肝胆嚢ドレナージを行う．
c．無症候性の場合には，保存治療の適応である．
d．衝撃派結石破砕術は再発が少ない．
e．石灰化の見られる場合，ウルソデオキシコール酸による溶解療法を行う．
※無症状の胆石は保存治療の適応
17．下図の内視鏡的逆行性胆管膵管造影（ERCP）写真の所見に合致しないものを選べ．
※ERCP写真なく，解答無効．
a．総胆管の膵頭部での狭窄を認める．
b．膵頭部の主膵管の拡張を認める．
c．主膵管の中に陰影欠損を認める．
d．膵頭部より上流の総胆管の拡張を認める．
e．広範な膵実質に石灰化を認める．
18．胆管閉塞を来たす病態で正しいものを選べ．
a．原発性硬化性胆管炎（PSC）はステロイドで軽快する．
b．総胆管結石症はコレステロール結石が多い．
c．下部胆管癌のため胆嚢が無痛性に腫脹して触知されることをMurphy signと呼ぶ．
d．胆嚢結石症が総胆管の狭窄を来たすことをMirizzi症候群と呼ぶ．
e．膵頭部癌は膵体部癌に比較して黄疸の頻度が低い．
19．原発性硬化性胆管炎について正しいものを選べ．
a．肝外胆管系拡張、あるいは一部の胆管粘膜が肥厚する．
b．胆管癌に移行する頻度が高い．
c．黄疸をきたすのは稀である．
d．診断には肝生検が有効である．
e．肝硬変に移行するのは稀である．
※原発性硬化性胆管炎は粘膜肥厚はなく，黄疸や肝硬変を合併する
20．膵全摘後の糖尿病について正しいのを選べ．
a．高血糖よりも低血糖に注意が必要である．
b．消化酵素剤の投与は不要である．
c．グルカゴンの補充が必要である．
d．尿中Cペプチド（CPR）は上昇する．
e．食事療法で血糖値を厳密にコントロールする．
※膵全摘後の糖尿病は高血糖より低血糖に注意
21．膵管胆道合流異常症について正しいものを選べ．
a．胆管に膵液が逆流することにより病態が発生する．
b．無症状で経過することが多い．
c．男性に多い．
d．膵癌を合併することが多い．
e．胆管拡張を伴わない．
※膵管胆道合流異常症は女性に多く，胆管に膵液が逆流して起こる
22．?
23．膵内分泌腫瘍に関して正しいものを選べ．
a．インスリノーマは多発が多い．
b．グルカゴノーマでは低血糖をおこす．
c．ガストリノーマは悪性の頻度が高い．
d．VIPomaでは便秘を認める．
e．多発性内分泌腫瘍MEN I型は常染色体劣性遺伝である．
24．慢性膵炎について正しいものを選べ．
a．CTで膵石を認めても診断基準を満たさない．
b．悪性化の頻度は低い．
c．膵頭部は複雑な膵管構造のため炎症の中心となる．
d．疼痛に対してネクロセクトミーを行う．
e．膵全摘術の適応である．
※慢性膵炎は正常人に比べて悪性化しやすいことが知られている
25．膵癌について正しいものを選べ．
a．直径2cm以内で膵内に限局していればStage Iである．
b．膵体部癌は膵頭部癌に比較し，切除率が高い．
c．遠隔転移を伴わず，上腸管膜動脈に浸潤する局所進行癌では
切除が第一選択である．
d．膵癌外科手術例の5年生存率は約30%である．
e．門脈浸潤を伴う膵癌は外科切除の適応となる．
※膵癌は直径2cm以内で膵内に限局していればStage��
26．以下のCT所見に合致するものを選べ．
a．左腎腫大
b．左副腎腫大
c．肝外側区域腫大
d．脾腫大
e．膵尾部腫大
27．Gastrinomaについて正しいものを選べ．
a．約10%が悪性である．
b．セクレチン負荷試験では血中ガストリン値の低下が認められる．
c．膵臓のほかに十二指腸にも同等の頻度で発生する．
d．SASI試験では支配動脈領域内の腫瘍が確認される．
e．下痢の発生を認める症例が多い．
※ガストリノーマは悪性度が高く，SASIテストで局在が分かる
28．急性膵炎の原因として最も多いものを選べ．
a．高脂血症
b．総胆管結石
c．アルコール
d．特発性
e．遺伝
※急性膵炎の原因として最も多いのはアルコール
29．胃潰瘍に比べて，十二指腸潰瘍に特徴的なものを選べ．
a．高齢の男性に多い．
b．胃液酸度が高い．
c．通過障害をきたしやすい．
d．穿孔する頻度が高い．
e．H.pyloriの頻度が高い．
※胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違いは年齢，性，胃液酸度，穿孔頻度，ピロリ菌
30．H.P除菌が有効であるものを選べ．
a．逆流性食道炎
b．十二指腸乳頭腫瘍
c．胃カルチノイド
d．胃MALTリンパ腫
e．潰瘍性大腸炎
※ピロリ菌はMALTリンパ腫の原因とも考えられる
31．胃ポリープについて正しいものを選べ．
a．山田�厳織櫂蝓璽廚詫�茎性である．
b．癌化率が高いのでポリペクトミーの適応である．
c．ポリペクトミーの際，内視鏡的粘膜下層剥離（ESD）では不十分である．
d．腺腫内癌の頻度が高い．
e．上部消化管造影では粘膜集中像を認める．
※胃ポリープは癌化率が低く，ESDで十分切除可能である
32．胃切除後にみられないのはどれか．
a．ダンピング症候群
b．高カルシウム血症
c．輸入脚症候群
d．逆流性食道炎
e．巨赤芽球性貧血
※胃手術後の障害はダンピング，逆流性食道炎，輸入脚，巨赤芽球性貧血
33.胃の解剖・生理について正しいのはどれか．
a．迷走神経幹は食道の小弯側と大弯側に1本ずつ走行する．
b．迷走神経刺激により胃酸分泌は低下する．
c．ヒスタミンは胃酸分泌を低下させる．
d．胃酸は主細胞から分泌される．
e．胃酸分泌は主として胃前庭部で起こる．
※胃酸分泌は主として胃前庭部でおきる
34．胃のリンパ節番号と名称の組み合わせで誤っているものを選べ．
a．1番リンパ節…右噴門リンパ節
b．2番リンパ節…左噴門リンパ節
c．3番リンパ節…小湾リンパ節
d．5番リンパ節…幽門上リンパ節
e．6番リンパ節…左胃動脈管リンパ節
※1-6番は胃の周りに順番にあり，左胃動脈は7番
35．1881年に胃切除術の成功例を報告した外科医は誰か．
a．Hippocrates
b．Lister
c．Langenbeck
d．Billroth
e．Borman
※1881年に胃切除の成功例を報告したのはBillroth
36．虫垂炎について正しいものを選べ．
a．Cullen徴候
b．Blumberg徴候
c．Homans徴候
d．Murphy徴候
e．Grey-Turner徴候
※虫垂炎に際してしばしば認めるのはBlumberg徴候
37．直腸の解剖について正しいものを選べ．
a．S状結腸は腹膜反転部までである．
b．Rbは第2仙椎下縁から腹膜反転部までをいう．
c．肛門管を取り囲んでいるのは内括約筋と外括約筋の2層である．
d．上直腸動脈は内腸骨動脈から分岐する．
e．直腸の静脈は上腸間膜静脈を経由して門脈に流れる．
※上直腸動脈は下腸間膜動脈から分岐．肛門管は内外括約筋により囲まれる
38．組み合わせが誤っているものを選べ．
a．Apple core sign 大腸癌
b．Target sign 腸重積
c．Goodsallの法則 直腸脱
d．Dukes分類 大腸癌
e．Cobble stone appearance Crohn病
39．クローン病について誤っているものを選べ．
a．発症のピークは10代後半から20代前半である．
b．男女比は2:1である．
c．肛門周囲膿瘍の原因となる．
d．小腸病変は切除が原則である．
e．難治性の潰瘍にたいして，シートン法が用いられる．
※クローン病では小腸をなるべく温存するように狭窄形成が原則
40．25歳の男性が急な下腹部痛で来院した．右下腹部に圧痛と筋性防御を認めた．
適切な対応はどれか．
a．臨時手術の準備をする．
b．大腸内視鏡検査を行う．
c．血清アミラーゼを調べる．
d．泌尿器科に診察を依頼する．
e．鎮痙剤を投与する．
※筋性防御を認めたら手術の準備
41．大腸癌の治療について正しいものを選べ．
a．切除術後の補助化学療法は不要である．
b．放射線療法は右側結腸癌に行われる．
c．SM深部浸潤癌は外科的手術の適応である．
d．孤立性大腸癌肝転移治療の第1選択は肝動注療法である．
e．2臓器以上の転移病巣は手術適応とはならない．
※SM深部に浸潤する大腸癌は切除の適応．単発性肝転移は切除の適応
42．?
43．遺伝性非ポリポーシス性大腸癌について正しいものを選べ．
（Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer, HNPCC）
a．Lynch症候群と呼ばれる．
b．BRCA遺伝子の異常が原因である．
c．左側結腸に多い．
d．大腸癌患者の30%程度を占める．
e．通常の大腸癌より予後不良である．
※HNPCCはLynch症候群と呼ばれ，ミスマッチ修復遺伝子の突然変異
44．肛門管について正しいものを選べ．
a．解剖学的肛門管は，恥骨直腸筋付着部から肛門縁までをいう．
b．外科的肛門管は第2仙椎下縁から肛門縁までをいう．
c．肛門管上皮は，単層円柱上皮からなる．
d．内肛門括約筋は自律神経支配の平滑筋からなる．
e．外肛門括約筋は不随意筋で，肛門管の持続的な閉鎖作用を有する．
※内肛門括約筋は自律神経支配の平滑筋
45．偽膜性腸炎に関して正しいものを選べ．
a．セファロスポリン系の抗生物質を使用する．
b．起炎菌はClostridium difficileである．
c．急性の下痢は止痢剤によって極力止める．
d．内視鏡は禁忌である．
e．ペニシリンの内服を開始する．
※偽膜性腸炎の起炎菌はClostridium difficile．下痢は無理に止めない
46．Meckel憩室について正しいものを選べ．
a．胎生期の臍動脈の遺残である．
b．腸管膜付着側に認められる．
c．無症状なことはまれである．
d．胃粘膜が迷入していることが多い．
e．癌化が高頻度に起こる．
※Meckel憩室は胎生期の臍の名残．胃粘膜の迷入が多い
47．イレウスについて正しいものを選べ．
a．絞扼性イレウスの痛みは緊急手術の適応である．
b．絞扼性腸閉塞は緊急手術の適応がある．
c．嘔吐による代謝性アシドーシスが起きる．
d．臥位の腹部X-Pで鏡面像を認める．
e．metalic soundを聴取する場合は緊急手術の適応がある．
※イレウスで嘔吐を繰り返すとアルカローシスになることがある．絞扼性は緊急手術
48．急性汎腹膜炎について誤っているものを選べ．
a．多臓器不全
b．代謝性アシドーシス
c．麻痺性イレウス
d．高齢者では筋性防御
e．直腸指診でダグラス窩に圧痛
※急性汎発性腹膜炎は高齢者では筋性防御が弱いことがある
49．ヘルニアについて正しいものを選べ．
a．腹壁瘢痕ヘルニアに嵌頓が起こるのは稀である．
b．閉鎖孔ヘルニアは若い女性に多い．
c．大腿ヘルニアに嵌頓が起こるのは稀である．
d．大腿ヘルニアは大腿動脈の外側に出現する．
e．外鼠径ヘルニアは大腿静脈の外側に出現する．
50．診察について誤っているものを選べ．
a．肛門周囲の静脈怒張はメドゥーサの頭という．
b．Blumberg signとは，圧迫を加え，急激にそれを離すと痛みを感じることをいう．
c．筋性防御は腹膜刺激症状の一つである．
d．金属性有響音は絞扼性腸閉塞で認められる．
e．Schitzler転移とは，直腸子宮窩，膀胱腸窩腹膜への癌の播種性転移をいう．
※メデューサの頭は臍周囲
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