主要基板(片面スルーホール)は3枚しかない上、受信部しかない(そりゃそうだ)。電源の構成もシンプルだ(電源部の怪参照)。
HF機をいじったことがあるアマチュアにとっては、大半の能動部品・コイル類・表示部が無事であれば、メンテナンスは容易いだろう。
ズレると受信機として致命的なのは、以下。 いずれも周波数カウンタ・テスタ・RFプローブ程度であれば調整可能なので、数年に1回ぐらいは確認・調整しておいたほうがよい。
定期メンテポイントの大半は、ボトムカバーを外すと出現する。
基本的には、適正な周波数と電波型式にしたうえで、PLL基板のTPのDC電圧や周波数を読みながら規定値に調整しておけばOK。
言うまでもないが、コア調整用ドライバを必ず使用のこと。下手に精密ドライバーのマイナスでいじってコアを割ったら、そこで試合終了だ。
適正な周波数と電波型式にしたうえで、RF UNITのTP((7)-2と(7)-3)でDC電圧を読み、規定電圧に収まっているか確認。 必要に応じL56(0-7.5MHz用VCO), L58(同7.5-14.5MHz), L60(同14.5-21.5MHz), L62(同21.5-30MHz)のコアを動かす。
モードをUSB、SHIFT VRをセンタークリック位置にしたうえで、制御電圧と中心周波数を確認・調整。
R-5000や同時代のTS-440Sは共通の弱点を持っている。
PLLに使われるVCOが樹脂(接着剤)で包埋されており、この樹脂が30年の時を経て高周波特性をおかしくしたり、部品のリード線を腐食したりする。VCOが発振しなくなったり極度に出力が弱くなることで、PLLがアンロックを起こしR-5000が不動品となるのである。
は、上掲RF UNITでL56, 58, 60, 62(4バンド分のVCO)が収まっているシールド部分である。
シールド缶の中にネチョネチョ付着する樹脂をきれいにポロっと取る方法はないので、ピンセットの先などで慎重にほじくりだす。家主は自力で樹脂の除去+VCOの再調整を行い無事復活した。
無論だが、全員が成功するとは限らない。家主は挑戦した方が壊そうと責任は一切持たない。 接着剤除去中、ミスで壊したパーツによっては復活できない。特に入手難のバリキャップ(ITT310TE)の破壊は致命傷。